Story Reader / 本編シナリオ / 13 終焉の福音 / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
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暗潮渦巻_02

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同刻、撤退の命令を受けたロランは、仲間に不満をもらした

こんなに早く終わるとはね

…………

やっぱり妙だ。ルナ様が自ら出撃したとしても、こんなに早いはずがない

ルナ様の能力を疑うのか?

まさか。正面攻撃でルナ様を止められる者はいないさ

でも、現実の人間は散り散りに逃げ回るだろう?隠れた虫を一匹ずつ見つけ出すには相当の時間がかかる

例えば、ラミア——

ひ、ひえぇぇぇ……!なんで私の名前が出るの……

この前「あれ」を捜索しに来た構造体小隊を撃退するの、丸々1日かけてたよね?

そ、それは、構造体があちこちに隠れたから……

ね。僕の言う通りだろ。やっぱりおかしいよ

速戦即決に何か問題が?

ガブリエルはロランとそれ以上話す気がないというように身を翻した。同時に、ラミアも再び影の中へと戻っていく

つまり、言いたいのは——

ガブリエルはしつこく食い下がるロランを追い払えずにいた

もしガブリエルさんと僕がこの任務に就いてたら、どんな結果になったと思う?

ルナ様が望むものを手に入れる、それだけだ

そう、「それだけ」だよ

航路連合に潜入して、欲しいものを手に入れる。絶対に相手には気づかれずに

……何が言いたい?

もし、ルナ様の目的が航路連合の破壊なら、もっと徹底的にやったはずだよ

生存者が多ければ、それだけ遺恨の芽を残しかねないしね

ルナ様の一連の行動は任務……ではなさそうだ。わかる?

それに、手加減するのはこれが初めてじゃない

………………

前もそうだったろ?αに殺すべき人物を内密で生かすように暗示したり。負傷させればおとなしくなると……でも結果はどうだった?

つまり、言いたいことは?

決断に迷いがありのちのちトラブルの種を残す……それって、代行者として適しているのかな?

ガブリエルは厚い布に覆われた発声装置から冷たい笑い声を発した。そして、ロランの静止を振り切り、出ていこうとする

え、まだ話が途中……どこに行くんだい?

まだ準備が残っている

ん?手伝おうか?

いや、些細なことだ

まあまあ遠慮せずに。最近いつもと違って忙しそうだよね、何か理由があるんだろう?

……仕事の分配の仕方に不満があるなら、率直に言えばいい

いやいや、そんなんじゃないよ

いつにもなくしつこいロランを見て、ガブリエルは足を止めた

「餌」の時間だ

ふーん?本当に「あれ」にご執心なんだね

連日残骸と会話する者に、執着を語られるとはな

仮面に隠された表情は見えないが、ロランはガブリエルの様子からある種の楽しさと軽蔑が混じり合った感情を読みとった

今、心惹かれるのは「あれ」だけだ

人類の悪夢にやっと命が吹き込まれた、しっかりと育てないとな

イライラしているようね

…………

いつもの戯言ならそんな表情にならないはずよ。華胥があなたに見せた情報とやらと関係があるの?

姉さん

ええ、何?

……あの研究所でのことを、思い出したの

αはしばらく黙っていた。ルナが何を言わんとしているかがわかっているからだ

……もう廃墟になったわ

気持ちはよくわかるけど、スマートなやり方ではなかったようね

心配しないで、姉さん

誰も昇格ネットワークの力を揺さぶることはできない。個人であっても、組織であっても

言わずもがなのことね

研究所を破壊しても過去は変えられない。ただ、気分を害されるだけよ

……何かしてあげたいと思っているの?

ううん、私はただ自分がやりたいことをやっただけ

ルナは姉にそっと寄り添い、遠くの廃墟を見つめた

「罪人」のために、正義を主張したかったんじゃないの

ただ、醜い不快なものを地上から取り除きたいだけ

あんなことをしても誰にも感謝されることはない。でも、別に人類からの感謝なんて必要としてないし

うん、そう、私は自分がやりたいことをやっただけ。やりたいことしか、やらない……

私はつい、ルナが幼かったころのイメージで考えてしまうわね……

ううん、いいのよ

思い出のクセには何の問題もないわ。姉さん