Story Reader / 本編シナリオ / 13 終焉の福音 / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
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記憶3

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ジョリーンを無事保護してから、しばらく経った頃――

ちょっと!ナイスタイミングね!

ブリギットは一見いつもと変わらないように見えるが、なぜだろう、重苦しい空気が漂っている……

緊急事態なの。15秒で説明するわ。ジョリーンのこと覚えてるわね?

彼女、新しい隊に配属されて勤務態度も良好だったんだけど、隊に馴染めないみたいで作戦連携もうまくいってなかったの。いつも「心ここにあらず」状態で……

身体の傷なら休めば回復するけど、心の傷を癒すにはかなりの時間がいるわ

そんなことだから、上層部が言ってきたらしいのよ。精神面への影響が大きすぎる記憶は削除した方がいいって

アシモフ直々に執刀すれば、特定の記憶だけを正確に消せるって話らしいわ

…………

話は順調に進んで、補償のことなんかも上手いことまとまってサインもして

それで、いざ執刀っていう時になって急に逃げ出して、今ここに戻ってきてるらしいのよ

ブリギットは端末の画面をこちらに差し出しながら言った。つい先ほどメールで事態を知らされたらしい

あなたなら他の人が行くよりよっぽどいいでしょ

これが彼女の座標。赤潮の近くにいるみたいね。防護服は用意してあるから、なるはやでお願いね

ブリギットは防護強化フェリーも用意してくれていた。ジョリーンの座標を目指し、赤潮を一気に進んでいく

リーフ

目標、赤潮中央石板上に確認!侵蝕重度、限界値を突破しそうです!

遠距離モニターレンズ越しにジョリーンの姿を確認できた。ジョリーンは赤い水面を……いや、水面をたゆたう赤い影を見ている

ルシア

スピードを上げてください!

赤潮の影

………………

フェリーは全速力でジョリーンへ接近した。影と何かを話していたジョリーンは表情を明るくし、石板の縁へと歩き始めている

叫び声はジョリーンに届いた。彼女は振り返り、静かに微笑んだ

ジョリーン

………………

ジョリーンの言葉は波の音にかき消され、何ひとつ聞こえない

ジョリーンはフェリーに向かって手を振ると、赤い海へ飛び込んだ——

そう、やっぱり……

……執行部隊に入る前はね、私の部下だったの。目立たないけどとても真面目な子だった

どうか気に病まないでね

そういうブリギットの口調は沈んでいた。彼女は遠距離モニターに記録された映像を指差して、苦笑いした

ほら、この唇の形……

あなたに「ありがとう」って言ってるわ