Story Reader / 本編シナリオ / 13 終焉の福音 / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
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記憶2

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十二分に防護を整え、グレイレイヴンは再び赤潮襲撃エリアへと足を踏み入れた

まるで街全体が負傷して血を流しているかのように、どこもかしこも真っ赤に染まっている

赤い水溜まりだらけの路上を、1体の女性構造体が彷徨っていた。何かを探しているように見える

受領済データとの一致を確認、捜索目標です。ですが、侵蝕がかなり進んでいるようです……

彼女の逆元装置は強化済のものでしょう?

刺激しないように遠巻きに囲みましょう。そのうえで指揮官から接触をお願いします

もし話ができない状態なら、また別の作戦を考えましょう

グレイレイヴンは散開し、音を殺して目標に近づいた。すぐにルシアから信号通信が入る

スタンバイ完了です。指揮官、目標との接触をお願いします

……談笑する時のような柔和な表情を顔に張りつけ、ゆっくりとジョリーンに近づいていった

あなたは……?……その制服は、指揮官でいらっしゃいますね

あの高名なグレイレイヴン……?私たちの指揮官もよく話題にしていました……

彼女の表情は少し和らいたが、すぐに何かに気づいたように警戒し始めた

私を連れ戻しにいらしたんでしょう?あなたの隊員はどこです?

話……?なにを……?

まだですが……必ず生きています!!

いいえ……もしかして、赤潮の情報をお持ちなんですか?

結局、赤潮の影に関わらない部分の情報をジョリーンに転送した。情報を確認した彼女はやや疑念を深めたようだ

多少は詳細なようですが、大筋で支援部隊に教わった情報と大差ありませんね

……あの人がこの程度のことで私を残して死ぬなんて、到底信じられません!

ジョリーンは声を震わせ、情報から目をそらした

ええ、幼馴染だったんです。私たち、一緒に育ったんです……

ジョリーンは赤潮の痕跡を見つめながら、過去を語り始めた……

……私たちは数えきれないほどの困難を経験してきたんです。家族も、友人も、皆死んでしまって

彼だけがずっとそばにいてくれました

ジョリーン

あの人はいつも笑っていて……その笑顔を見るだけで、私は安心できた

でも、私は……不治の病を患ってしまったんです

今の時代、パニシングこそが最も忌避される災難で、誰もが他の病気のことなんか忘れていました

でも、病の恐ろしさは昔から何も変わっていなかった

治療費は、私のような後方勤務の者には到底賄えない額でした

諦めかけた時に、彼が医療セクションから打診を受けたんです

ジョリーン

ええ

構造体となると、何より恐ろしいのは時間のことでした

構造体の寿命は長く、いずれ私は彼の死に立ち会うことになるでしょう

でも彼は……

シルクワーム指揮官

僕にコポリマー適性がないばかりに、君と一緒に構造体になることができない

でも、技術は日々進歩しているから。生きていればいつか必ず転機は来る

ジョリーン

あなたまで構造体になることはないわ……

シルクワーム指揮官

君をひとりぼっちにしたくはないんだ。だから、技術的に可能になったらすぐにでも志願するよ

ジョリーン

……もしその日が来なかったら?

シルクワーム指揮官

それでも、ジョリーン。君には生きていてほしい

そして、身勝手かもしれないけど、僕が生きている間はどうかずっとそばにいてほしい

あの人のそばにいるために、改造を受け入れたのに……

なのに、なんで行ってしまうの……

グレイレイヴン指揮官、あの人はあなたを尊敬していました。教えてください……私はどうすればいいんでしょう?どうすれば、あの人を見つけられます?

私には見えない……

どちらかが欠けてしまっても、ふたりがともに過ごした時間は消えない。ジョリーンが今ここに立っていることこそが、彼の願いが潰えていないという証明じゃないか――

ジョリーンは崩れ落ち、地面にうずくまって慟哭した

グレイレイヴンの3人もゆっくりと歩み寄り、ジョリーンをそっと慰める

グレイレイヴンの真心に、ジョリーンの彼女の表情も徐々に柔らかくなった

ありがとうございます……つらいけれど、受け入れられるように努力します。そして生き続けます。それがあの人の願いだから

こうして彼が慕っていた人にお会いできるなんて……ひょっとしたらあの人の最後の贈物なのかもしれませんね

ええ、行きましょう。ご迷惑をおかけしました。戻ったらきちんと謝罪しなくちゃ……当然処罰もあるでしょう

いつか真正面から向き合えるように……努力します