グレイレイヴン……無事でいてくれよな
……っていうかバンジ。ここまで一言もしゃべらないってどうなのよ?そんなんじゃ、お前の存在丸ごとみんなに忘れられちゃうぜ?
……
みんなって誰……
このまま歩いてく?目標ポイントまで結構な距離あるし、車かなんかを投下してもらった方がいいんじゃないか?
この状況でどんな車が使えるっていうんだ……
なんでよ?道幅十分じゃん
バンジは答える代わりに前方を指を差した
他のふたりは足を止めた。ずっと耳元でうるさかった風の音に、次第に波の音が混じり始めている。そして、灰色の建造物群の間を見え隠れする赤――赤い潮が大きく波打っていた
……赤潮だな
えらいことになってるな!高さ3~4mはあるんじゃないか!?
……探す手間が省けた。任務の優先順位は変更されたけど、サンプルを採るくらいの猶予はあるでしょ
うむ。まずは赤潮が到達する前に、高台に退避しよう
それにしても……本当気色悪い。近寄りたくないなぁ
アシモフによれば赤潮はパニシングが集まったものであり、さまざまな「不純物」を内包している
あの密度のパニシングじゃ、カムみたいな特殊な個体でもない限りおいそれと近づけないっしょ……
じゃ、カムに頼めば?
カムには別の任務があるんだよ。だから別行動
あっちの方は今頃どうなってんのやら……