隊長、今の爆発音……
侵蝕体の自爆攻撃だろう。九龍の外壁には通用しなかったようだが
爆発音はストライクホークの駐屯地まで届いたが、攻撃ではなく守りを任されたふたりには、武器を握りしめて戦況を眺めることしかできない
そんなに簡単に破壊できたら、九龍だってあんな偉そうな態度をとらないでしょうね
空中庭園が派遣した別小隊がようやく到着した。まるで傍観者のようなマイペースさで、ケルベロスがストライクホークに歩み寄る
すいぶんと待ちましたよ、ケルベロス。なぜ到着が遅れたんですか?
クロム隊長……その質問に答える必要はあるのかしら?
戦地への派兵命令は最優先……待ってください、他の隊員は?
クロムの指摘はごもっともだったが、ヴィラはどこ吹く風で微笑んでいる。ヴィラが本来連れているべき隊員2名が見当たらないのだ
命令即行動、そんなことは百も承知ですよ。杓子定規のお坊ちゃま
なぜ通信なんだ?近くにいるんですか?
喧嘩を売りたいなら私が買うわ。さっさと出てきなさい
あ!あんたの資料、見たことあるぜ?その身体にもうひとつ、別の意識があんだろ?なんかいい匂いもするし、面白そうじゃん……
勝手に持ち場から離れないで。何回言えばわかるのかしら?
チッ……
持ち場とは?他にも任務があるんですか?
ふふ、まあそう考えていただいて結構よ。どうせ、この状況で3人集まっても無意味だわ
いやいや、単機で敵に向かうより、集まった方がいいじゃん……
ストライクホークがケルベロスの勝手な行動を咎めようとしたその時、突然の震動が皆を襲った
上、敵がいる
――!!!!
通信越しに九龍へ飛び込む大量の侵蝕体が見える。ストライクホークのポイントもちょうど侵蝕体の落下点となっているようだ
隊長……こいつら、普通の侵蝕体となんか違いません?
——
目の前に落ちてきた全身漆黒の侵蝕体。カムイの頭を、主力部隊が宇宙ステーションで遭遇したという異重合体の姿がよぎる。横でクロムもうなずいていた
つまり、昇格者は新しい力を得ていると……本当に面倒ね。ノクティス、21号、作戦を開始するわよ
了解!
カムイ!私たちも防衛するぞ!
——!!!