簡単に乗り込めましたね。乗船口には守衛すらいなかった
それにしても……こんなたくさんの人間が……
行きましょう
ルシアは警戒しつつも、足早に先頭を歩く。リーは周囲を注意深く観察し、リーフは好奇心を抱きながら、その後に続いた
――さなぎゼリーの缶詰だよ!!1缶3蜉蝣銭!!
超長持ち!無侵蝕の酸素ボンベだ!!1本買ったらオマケでもう1本!2本買ったら2本ついてくる!!
――「刀刃蜜」はいかが!一刻千金だぁッ!!
……一体何なんでしょうか?
……関連情報は見つかりませんが……まあおそらく、ここは市場なんでしょう
市場……?
アディレ商業連盟のようなものでしょうか?
組織的な交易活動という点は同じですが……ただ……
……リーフ?
角を曲がった先の暗い路地。寂れた薄暗い屋台の前に、リーフは立ち止まった
……
大丈夫ですか?どこか具合が悪いんじゃないですか……?
……おや
太く、かすれた声が響く。発声器官に問題があるようだ
……か……買いますか?
露店商は震える手をポケットに突っ込み、密封された袋を取り出して、リーフに差し出した
そして口を歪めて、絞ったような笑顔を向ける
採りたてで……新鮮そのもの……
病変も……ありませんから……
暗くてはっきりとは見えないが、袋の中は……液体に浸されたさまざまな臓器……
……今すぐ治療しましょう!診せてください!
あと286里程……あと286里程で……
家に帰れるんです……286里程……いかがですか?少しなら、負けられますから……
買いましょう……買いましょうよ……!
今晩さえ乗り切ったら……蜉蝣銭さえどうにかなれば……
心拍数が異常です!どうか興奮しないで……今すぐ治療しますから……!
露店商はリーフの腕を掴んで引っ張ろうとするが、逆によろめいてしまった
あなた……人間じゃない……?
「角」……そうだ、外来の構造体には、角があるんだ……あんた構造体だなっ!!
高値で売れる……!!
九龍衆じゃない構造体!!
俺が!俺が見つけた!蒲牢衆!蒲牢衆――!!
リーフを引き離し、後ろへと庇う
リーフ!
……指揮官
りょ、了解です!指揮官!