まさか、最後に爆発するなんて……
あれは道を拓くのと探索するための機械
……ごめんなさい、言うの忘れてた
指揮官。列車に閉じ込められていた人の避難が完了しました
うん、良かった……
ありがとう……
……何か報酬はいらないの?
今、お金持ってない
えっと……お金のためにやってるわけではないんですよ
タダほど怖いものはないって、ジャミラが言ってた
私……役に立った?
はい。あなたの助言のお陰で、順調にいきました
あなたを助っ人に寄越したのはジャミラ……あのお飾りの指導者ですね
ジャミラはお飾りなんかじゃない
ふむ、何か事情があるようですね
雲上人のごとき「貴族」。その「貴族」の言いなりで、畜生のように扱われる平民。それから、あなたたちのいう「取引」……
正直に話してください。今回の混乱に乗じて、何らかの計画を実行しようとしている……そうですね?
……平民は、世界中から列車に集まってきた人たち
列車の作業員として生計を立ててる人もいるし、常羽みたいに列車に売られた人もいる
貴族は、生まれた時から貴族。アジールはジャミラのお祖父さんのお祖父さんが買った列車なんだけど
貴族は、永久列車が走り始めた時からいる人たち。だから、貴族だけが列車の個室を使える
貴族は平民を蔑んでる。平民のことを「勝手に繫殖する虫」って呼んでる
だから躊躇なく平民車両を犠牲にしたのですね……
ヒースは貴族派の筆頭で、ずっと前から昇格者の一員になるための取引を望んでた
貴族は、平民と資源を共有するような「不自由な生活」から抜け出したいんだって
荒唐無稽ですね。誰もが昇格者になれるのなら、今頃もっと大勢の昇格者が跋扈しているはずでしょう
……だから、ジャミラは別の提案をした。それが「商品」と、空中庭園の居住権との交換
本当に、ジャミラがあなたたちのリーダーなのですか?アストンではなく?
アストンは、階級間の均衡を保とうとするジャミラを助けるために、権力を使ってるフリをしてるだけ
アディレ商業連盟の内部事情は、思いのほか複雑ですね……
……ひとつ質問していい?
空中庭園はどんなところなの?
宇宙は真っ黒で、寒いのに
……怖くないの?
もちろん、怖いですよ
世界で最も安全な場所といわれる空中庭園にいても、怖い。だからこそ、ここに戻ってきたいんです
ふぅん……じゃあ、空中庭園もそんなにいいとこじゃないんだ……
ルシア、あなたらしくない言葉ですね
指揮官の真似です。指揮官ならこう答えるだろうと思ったんです
伊達に長い間、指揮官のお傍にいるわけではありませんから
…………
――――
ソフィア!早く戻れッ――
?!
何!?
あいつらッ――畜生っ――