ガラスのドームを突き破り、グレイレイヴンは車内に飛び込んだ。床面に着地した瞬間、周囲から驚く声が上がる
車内は外部から想像していたような狭い空間ではなかった――
豪奢な2階建てのホールの壁面には油彩画がかけられ、上下階をつなぐ階段は見るからに高級な木材でできている
パニシングから逃亡するための列車上で、人々は意外にも穏やかで豊かな生活を送っているようだ
……まるで、黄金時代にタイムスリップしたかのようです……
これはまた……豪華絢爛ですね……
ちょ……ちょっと、どこのどなたかしら!?
先ほどから上で戦っていた連中では?
もしかして……
皆さん、お静かに
人々の先頭にいた高身長の男が口を開いた。たった一言で、騒々しかった車内が静まり返る
アストンと申します。そしてこちらがジャミラ様――アディレ商業連盟の指導者です
男の傍らに立つ優雅な少女が軽く頷いた。その顔は白いレースで隠されており、はっきりと見えない
空中庭園の皆様、心より歓迎申し上げます
ようこそ、永久列車――アジールへ