連絡室
エゼット
カ……ムイ……
どうして……
ゴキッ――
彼女が最後の言葉を口にする前に、その掠れた声を絞り出した喉はマリスによって無情にもへし折られた
濃密なパニシングがカロルの体を侵蝕し、意識海にまで広がった。たとえ彼女が構造体になっていたとしても、今や命は完全に消し尽くされていた
カロル――!!
カムイは駆け寄り、そのボロボロの体を抱き止めた
生命の温もりはすでに冷え切り、彼の慚愧や後悔を一顧だにせず、カロルは完全に絶命していた
テストは終わり。残念、やっぱり君は私が探している黄金の太陽じゃなかった
蜂と蟻のくせに命懸けで私を阻み、守っていたエネルギーに近付かせないようにしていたのにね
君が戻ってくるのを待つとか、君にエネルギーを渡せば自分たちは助かるとかなんとか……
ほんとお笑いよ、黒点は所詮黒点なのに。このエネルギーはせめてもの施しよ。自分を燃やし尽くしてあと数秒間、私と戦ってみるがいいわ
黙れ……
蟻の哀れさは希望を託す相手を間違えたこと、そして君の哀れさは、いつまでも現実を直視しようとしないことよ
救世主は伝説の英雄よね。でもこの世にいるのは迷える凡夫ばかり
凡俗な者が世を救おうなんて妄想しても、そのせいでより惨めな代償を払うことになるだけ。君の持っている全てを含めてね
そして全てを失ったあとも……やはり誰ひとり救えなかった。これが、君のような凡人の最も哀れな結末なのよ
言ったぞ――黙れって!
振りかざした絶望は虚空へ向かって墜ち……そこでカムイを待っていたのは、ただ酷く虚ろな幻影だけだった……
どうして……逃げなかった?
どうしてここを守り続けた?
……どうして、俺を待った?
――どうして!!!?
カムイは折り重なった遺体に向かって叫び、問い質したかった――早く逃げればよかったんだ、安全な場所へ逃げればよかったのに、自分のことなんて気にしなくてよかったのに
誰も声を上げて答えてはくれないが、全員が無言のうちに同じ答えを彼に伝えてきた
カムイは彼らが自らの体を積み重ね、必死に守った場所へ目を向けた。暗号化されたロッカーだ。皆はこれを守り、彼が来るのを待ち、逃げることなくここを死守したのだ
だからこそ、こんな結末を迎えた
幾重にも塗り重ねられた濃い血の跡を踏み越え、1歩ずつそのロッカーへと向かう
冷たい鉄のロッカーがゆっくりと開き、か細くも眩い金色の光が目に映った
……こんなもののために?
みんな……
カムイは握りしめた手の中のボトルに、少しも価値があるとは思えなかった。こんなもののために、ここまでして、こんな代償を払うなんて――
自分にはそんな価値なんかないのに
エネルギー――黄金の太陽!
カムイは先ほどマリスが言った言葉を思い出した
まだ終わってない。マリスは真の黄金の太陽の適合者を探しているんだ
――他にもいる!!きっと、今まさに危険にさらされている!!
一瞬一瞬が鮮明によみがえる。光冠ゲノムの副作用は現れていないのに、カムイは意識海に刺すような痛みを感じ始めていた――
いや、あんな惨劇を再び繰り返させはしない。ひと足遅れで誰も救えなかったなんてことは、もう二度と御免だ
彼には力が必要だった
――エネルギーは吸収した!!今の適応状況なら、もう緩衝時間を取る必要はない
エゼットの最後の防衛線はエネルギー貯蔵室だ。[player name]、今すぐ向かうぞ!
少しでも時間を節約するため、カムイと指揮官は全力で前進した
落ち着け、カムイ。焦るんじゃない、カムイ。恐れるな、カムイ
彼は何度も自分に言い聞かせた
こんなことは初めてじゃない、そうだろう?たとえ絶望的な状況でも、きっと全員大丈夫なはず……
あんなに長い間太陽を見られず、暗雲が空を覆った大戦の時でさえ、彼らは耐え抜いたじゃないか?
