Story Reader / Affection / ルシア·逆冠·その4 / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
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ルシア·逆冠·その5

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深い眠りから緩やかに目覚め、瞳を開いた。すると、至近距離で見つめるαの顔があった

彼女の耳元から流れる数筋の白い髪が、はらりと落ちて瞳を隠す。柔らかな髪先がこちらの頬を優しくなで、少しこそばゆい

彼女はどこか心ここにあらずといった様子で、こちらが目を覚ましたことに気付いていない

…………

αは静かに立ち上がると、顔を背けて、部屋を後にしようとした

何でもないわ。ただ、あなたの回復具合を確認したかっただけ

ふん……しっかり休めたようね

αは静かに立ち上がると、部屋を後にしようとした

上半身を起こすと、自分がソファに横たわり、毛布を掛けられていたことに気付いた

それほどじゃないわ。3時間くらいね。まだ深夜よ

ロランが食事を用意しているわ

彼女は部屋を出て扉を閉めた。ひとりの時間を与えてくれたようだ

身なりを整え、扉を押し開ける

αは壁にもたれて、隅に立っていた。ロランはソファに座ってテーブルを整えている。ラミアはソファの前にしゃがみ、ロランの隙をついて牛肉にぱくついた

ステーキ、マッシュポテト、フォアグラ、ポップコーン、パスタ、ナッツ……統一感のないご馳走が並んでいる。これだけの料理を揃えるのに、ロランはかなり苦労しただろう

私のナッツが……うぅ……

どうやら、彼女が隠し持っていたおやつまで徴収されてしまったようだ

テーブルに座り、切り分けられた牛肉を口に運びながら、中断していた協力体制についての話を再開した

αもまた、こちらの隣へと静かに腰を下ろした

少なくとも、その大部分を掃除する必要ならあるね

街の西側に軍事工場がある。ジンはそこを改造して、機械体を次々と生産しているんだ

ロランが端末を操作すると、皆の頭上に街のバーチャルマップが投影された

ロランは言われた通り、バーチャルマップ上に、街の外と西のエリアにポイントを表示させた

マッシュポテトをほおばりながら、マップを見つめて考え込んだ

現在の戦力で、正面突破を仕掛けたらどうなる?

街の東の外れにある廃墟と化した広場を指差した。バーチャルマップが拡大されると、「クールオ広場」という名称が表示された

へえ?実にクリエイティブなアイデアだね。誘い出された機械体が十分に集まったところで……ドカン――

これでジンも機械体も、まとめてお陀仏ってわけだ

私もやらないといけないの……

サボらせないわよ

いいだろう。EMPと爆弾をかき集めるには、少し時間が必要だね

ジンには、私がトドメを刺す。ロラン、その時はあなたの武器を貸して

ロランは頷き、OKサインを作ってみせた

ロランはニヤリと微笑んだ。その表情は「待っていたよ」と言わんばかりだった

彼はソファから立ち上がると壁際へと歩み寄り、片手を背中に、もう片方の手を仰々しく掲げ、芝居がかった仕草で朗々と告げた

ロランの特選·武器宝物庫、ただ今より期間限定オープンいたします!お客様がた、どうぞお望みの品をお取りください

壁に1本の亀裂が走り、カチカチと歯車の回る音とともに、壁が中央から左右へと開く。すると、奥に密室が現れた

天井の照明から放たれる青白い光が、空間全体を冷徹な色彩で染め上げている。整然と並ぶ金属製の武器群は、古びたオフィスとは対照的な無機質さを放っていた

長刀、短剣、ナイフ、拳銃、ライフル……あらゆる武器が種類ごとに、整然と並んでいる

部屋の中央には、アーマースタンドに丁寧にかけられた動力甲があった。細部まで入念に手入れがされており、その胸に刻まれたグレイレイヴンの隊章には傷ひとつない

見覚えのある動力甲を見て、思わず声が出た

闇市で見つけた掘り出し物だよ。この私が丹精込めてメンテナンスしておいた

まぁ、細かいことは気にしないで。大事なのは、それが今のあんたにぴったりだということ

αの視線は防水シートで覆われた物体に引き寄せられた。彼女は歩み寄り、そのシートを一気に引き剥がした

そこに現れたのは、途中まで分解された大型バイクだった。αは近付き、フレーム、エンジン、そしてタイヤの隅々まで丹念に調べ始めた

これなら……私が直せるわ

工具も予備のパーツもここに、好きに使っていただいて結構ですよ、αさん

さて、ここからは各自の戦備時間だね。私は爆薬とEMPの準備に取りかかろう

ロランは背を向け、その部屋を後にした。去り際に彼はラジオのスイッチを入れ、音楽が響き始める

αは真っ直ぐにバイクへと向かうと、工具の山から目当ての道具を探し出し、無言で作業を始めた

αの傍らの作業台の上にソーダの缶を1本置いた。自分の分も取ってきて、プルタブを開ける。プシュッという小気味よい音が広い部屋に響いた

αの手は止まることなく、レンチで器用にボルトを締め上げていく

彼女は当然、こちらの言葉の裏にある意味を理解していた。少なくともファウンス士官学校の記憶の中で、自分はバイク修理の技術に長けていなかったはずだ

独学よ。何台も解体しているうちに、自然と身についたわ

地上には埋もれたままの「いいもの」がたくさんある。時間をかけさえすれば、大抵のことは習得できる

αはこちらの手にある缶をちらりと見た

…………

作業台に置いたソーダをαに渡した

ラジオから、やや退廃的なポストパンクの曲が流れている

「俺は信じてる……無駄じゃないと……」

αは作業台に寄りかかると、汚れた手を拭い、ソーダをひと口喉へと流し込んだ

彼女の瞳に、追憶の色が微かによぎった

あれは、私の行く手を阻む障害にすぎない

……私の心配ならいらないわ

言葉にできない想いもある。この瞬間、ふたりとも、ただそれで十分だと感じていた

決戦前の静かな時間は、瞬く間にすぎ去っていく。幾度も装備を確認し、武器に不備がないか、身体が万全かを確かめる

αは布でバイクのオイルを拭き取り、少し下がって、新しい姿に生まれ変わったバイクを眺めた

彼女はふと笑みをこぼすと、布を傍らの工具箱に投げ入れ、隣室のソファに腰掛けるロランへと視線を向けた

作戦開始よ

街の東側の郊外

一新された大型バイクは、ひと筋の土煙を荒野に長く引きずりながら東に向かって疾走していた

αは身を伏せるようにしてバイクを操り、自分は動力甲を着て後部座席に座っている

遠くには、無数の黒点がゆっくりと蠢いている。ジンの機械軍団だ。それは裂け目の近くに、粗末ながらも圧倒的な数の防衛線を築いている

着いたわ

バイクは更に加速し、タコメーターの針がレッドゾーンに迫る

ふたりの気配は、瞬く間に巡回中の機械体たちを刺激した

高脅威の目標を発見!データベース照合中……完了!指名手配レベル――最高!

高脅威の目標を発見!ただちに一切の行動を停止し、その場で指示を待て!

騒がしいわね

ブーン――ドォン――

人間が持つ銃からビームが発射され、前方の機械体を射貫いた

邪魔する雑魚が多すぎる。一気に片付けて

そう言われてグレネード弾を装填する

ボンッ――ボンッ――ボンッ――

グレネード弾が低く滑らかな放物線を描き、機械体軍団の中央に落ちた

ドォォォォン――

紅蓮の火球が、機械体の群れの中で炸裂した

衝撃波が円環状に広がり、10数体の機械体が宙へと吹き飛ばされ、空中で回転し解体され、爆発した

燃え盛る残骸が地に叩きつけられ、周囲の機械体をなぎ倒す

しっかり掴まって

αが急ブレーキをかけると、バイクは地面に長く黒いタイヤ痕跡を刻み、180度ドリフトして停止した

彼女が車体を降りると同時に長刀を抜いた。刃は獲物を求めるように紅く妖しく輝いている

その時、すでに第一陣の機械体たちが眼前まで迫り、10数体が統率の取れた動きでふたりへと襲いかかった

αは駆け出し、一閃の刃が横薙ぎに空間を切り裂いた

先頭の機械体がその長刀と正面衝突し、火花が炸裂、金属音が響く

機械体は一瞬で真っぷたつに裂かれた

αは刃を払うと、「裂け目」の方向へ視線を向けた

ジン、出てきなさい!

彼女の挑発に応えるかのように、背後の機械の群れの中から、禍々しい多肢の影が跳躍を繰り返しながら姿を現した

ヒ……ヒヒヒ!

さぁ……&%決着だ!

ジンは猛然と宙へ跳び上がり、肢を空中で大きく広げた。まるで狂い咲く金属の花のように、ふたりに向けて落下してくる

αは同時に、後方へと飛びのいた

先ほどまでふたりがいた場所にジンが激突し、鋭い肢が深く大地に突き刺さる。ジンを中心に地面が蜘蛛の巣上にひび割れ、陥没した

来い!

αは刀を振りながら突進し、刃先をジンの顔へ突きつける

同時に自分が発砲し、開かれたジンの肢を目がけてビームを放つ

ドォォォォン――

ジンはよろめきながら数歩後ずさった。その目には怒りが満ちている

殺してやる!!

その叫びに応じるかのように、更に多くの機械体が押し寄せてきた

αは踏み込み、刀光は死神の鎌のように閃く。振るう度に砕けたパーツが舞い上がる

戦闘が10分ほど続き、機械体の残骸はすでに小高い山を築いていた

αは「辛うじて」ジンの攻撃を受け流し、後退した

……

数が多すぎる

自分もまた荒い息を吐きながら、傍らの機械体の骸から小刀を引き抜き、計画通りに「焦り」を声に滲ませた

αも少し「悔しそうな」声で言った

……帰るわよ

αが周囲の機械体を斬り払い、ふたりはバイクに駆け戻った

乗って

エンジンがうなりを上げ、ふたりを乗せて街の郊外へ走り出す

ジンは興奮に震えながら肢を振り、機械体の群れに命令した

逃がすな!!

機械体の大群が、ふたりの退路へと雪崩れ込む

クールオ広場

街の東側

ロランは高い場所に立ち、広場へ猛スピードで駆け込んでくるバイクと、その後方に群がる無数の機械体たちを冷徹に見下ろしていた

計画はすこぶる順調だね

バイクが広場の中央で急停車すると、機械体たちの群れもまた、広場へと雪崩れ込んでくる

空には100機を超える武装ドローンが、イナゴの群れのように集結していた

ジンは高く跳び上がり、前方の機械体たちを越えて広場の中央に着地した。その真紅の双眼でふたりを見つめている

逃げ場はない!……%で終わりだ!

バンッ――

撃った弾がジンの言葉を遮り、怒りを更に煽る

αは体を低くし、小刀を構えてジンへ突進する

次の瞬間、クールオ広場を中心に地面が低く震動する。直後、目に見えぬ電磁パルスが広がり、あらゆる電子機器を一瞬で沈黙させた

突撃していた者も、照準を合わせていた者も、引き金を引こうとしていた者も、全ての機械体が、時を止められたかのように活動を停止した

一瞬のち、全てが糸の切れた人形のようにバタバタと地面に倒れ込んだ。空中のドローンも一斉に地面に墜ちていく

何だ!?

いつまでもごちゃごちゃと!

眩いばかりの刃の閃きとともに、赤い長刀が一瞬で幾度も閃き、ジンの全ての肢を切り落とした

ふっ

αは静かに呼吸を整え、刀を滑らかに鞘へと収めた

街の西側、薄暗い工場の中では生産ラインが順序よく稼働し、次々と新たな破壊兵器を製造している

ヒィッ……

ラミアは息を殺し、工場から静かに抜け出した

爆弾は全部設置した。あとは起爆するだけ

十分に距離を取ってから、ラミアは振り返り、静まり返った工場を見つめた

えっと……ここを押せば、いいのよね

ジンは地面に伏したまま、怒りに満ちた目で歩み寄ってくる3人を睨みつけた

bravo、上出来だ

銃を

ロランは特製の炸裂弾を装填して、銃をαに手渡した

貴様ら!!!

銃を受け取ったαは、一切のためらいなく銃口をジンへと向け、引き金を絞った

バンッ――

同時に、街の反対側にある軍事工場の方角から、天を突くような爆発音が轟いた

立ち昇る爆煙の中、特製の打ち上げ花火が華やかに弾け飛ぶ

その火花は上空で、ラミアのデフォルメされた笑顔を描き出した

これで終わりよ、ジン

バイクはαと指揮官を乗せて街から離れ、遠方に聳える巨大建造物へ向かって疾走していく

どうやら私たちは確実に「影」へと近付いているようね

バイクには同じように車が並走していた。ロランが車を運転して、ふたりの最後の旅路を見届けると言ったのだ

ラミアはアイドル活動に専念するだろうね

私は……そうだな、事務所を市の中心部に移すのもいいかな

そうだ、ルナ社長を探しに行くのもいいかもしれない。いずれにせよ、平穏な日々を送るよ

…………

前方の「裂け目」が次第にその輪郭を鮮明にしていく。それと同時に、10数体の機械体が立ち塞がるように姿を現した

機械体に近付くと、3人はバイクと車を降りた

ご覧あれ、最後のエキストラのお出ましだ

あんたの作戦は、想像以上の大成功だったね

ここはお任せを。これが、私にできる最後のおせっかいだよ

彼はいつもの笑みを収め、その声音はどこか含みを帯びる

αさん……

こんな私が言うのも、余計なお世話かもしれないけれど

でも……これからは、もう少し素直になった方がいいかもね

たとえ、泡沫の夢にすぎないとしても……

……どういう意味?

舞台の役者が、真偽を気にする必要なんかある?

そう言い残し、彼は笑みを浮かべたまま機械体の群れへ駆け出した

……そうね

ふたりはバイクにまたがり、αはスロットルを力強く捻った。バイクはひと筋の土煙を長く引きずりながら、真っすぐに「裂け目」の中へ突進した