Story Reader / 外伝シークレット / EX04 響鳴のアリア / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
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EX04-5 夜間の休息

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……

指揮官A

C区域1-13ブロックの掃討進度32%

……

指揮官B

A区域57-65ブロックの掃討進度45%

指揮官C

A区域20-34ブロックの掃討進度29%

バネッサ

D区域1-45ブロックの掃討進度83%

ふん、作戦初日だからってこんなもの?

後れをとっている小隊には明日からもっと頑張ってもらわないとな

夜、ようやく平和なひと時を迎えた。遠くのブロックからは散発的に戦闘音が聞こえてくる。全員の奮戦のお陰で、B区域に比較的安全な建物を見つけ、仮の休憩所とした

初日の作戦の進捗を報告して、廊下から休憩場所に戻ると、リーがドアのところで待っていた

報告を終えられましたか?

これを見てください

リーがそう言いながら手を目の前で軽く振ると、電子文書が空中に浮かんだ

昼間に都市内に残存していた端末から解読したものです

文書には、なぜこの都市が外部からまったく検索できなかったのかが書いてあります

ここは、一時期、アルカディア計画の撤退場所のひとつだったようです

その時間データまでは復元できませんでした。ですから、いつのことなのかは不明です

ですが結論としては、ここの撤退作戦は失敗し、侵蝕体が都市全体を占領してしまったようですね

資料、物資、人的資源など、全てがこの都市の地下に埋められました。そして、その記録さえも抹消されました

今になって、ようやく僕たちが再びこの都市に戻ってきたわけですが、しかしここはもうすでに荒廃しきっています

文書の内容は確かに、リーの要約通りだった。ぼやけた文字で、撤退の開始、湧き出てくる侵蝕体の攻撃、そしてここを守ろうとした人の遺言が記録されていた

文書を読み終えると、リーが軽く文書の端をタップして、文書は跡形もなく消えた

読了されたようなので、破棄いたします

上層部はおそらく、この都市について広く知られたくはないでしょうから

ルシアが上で警備しています。僕は下方をもう一度パトロールしてきます。指揮官は先にお休みください。明日もまた苦しい戦いになるでしょうから

リーは話し終えると歩き出し、階段を下りていった

次の作戦を決めてから、朽ち果てたソファに向かった。このソファは、この建物の中の唯一の家具だった。ルシアがどこからか運んできたものだ

壁は弾痕で覆われ、掃き出し窓はグレート·エスケープの時に破損し、ガラスの破片しか残っていなかった。月明かりが窓から注ぎ、薄暗い部屋をぼんやりと照らしている

ソファに座った時、ずっと張り詰めていた神経が、一時的にではあるが、ようやく緩んだ

リーフ

指揮官?

後ろから、リーフの声が聞こえてきた。振り向くと、リーフがこちらに向かって歩いて来ている

もうお休みになりますか?

そうですか……手の具合はいかがですか?

えっ?!傷を見せてください

……笑えないです

そうですか、よかった

もう大丈夫です。フロート銃の制御も完全に回復しました

え?

あ……

そうですね、感じといえば、グレイレイヴンはホワイトスワンと大きく違っています

戦術のスタイルの違いではなく……雰囲気が違うんです

外部では、ホワイトスワンの功績しか耳にしなかったと思います。小隊内の雰囲気について、隊員はバネッサ総司令官に口止めされていますから

はい……たぶん私がグレイレイヴンにいることを、あの方のプライドが許さないんだと思います

えっ?い、いえ、そんなことはありません。そんな風に言わないでください

……

指揮官は、本当にバネッサ総司令官とは違います

一緒に過ごした時間を通して徐々に、訓練室にいた当時のルシアが、どうしてあんなに執着していたのかがわかりました

えっ?指揮官はご存知ないのですか?

あ……おしゃべりがすぎましたね

えっと、何でもないんです。たいしたことじゃありません。機会があれば、ルシアが自分から話してくれると思います

……

これは[player name]指揮官だけの特徴ですね

そうですね……構造体への尊重と信頼、といいますか

話したがらないことを問いつめない、やりたがらないことを強要しない

周りにいる全ての構造体が自由に選択する権利を持ち、皆が自分の意志に従って行動することができる。単なる武器とか工具とかではなく……

もちろんです!

でも時々、すごく心配させるようなことをされるのが玉にキズですけど

指揮官、もっとご自分の状況に注意を払って、無茶はしないでくださいね

……

人に本音を伝えるのが苦手で、厳しい口調で迫るけれど、常に仲間のことを心配しているリーさん――

時に迷いながらも、強く強く前進し続けるルシア――

――グレイレイヴンで皆に知り合えて、本当によかった……

リーフは、気持ちを話したことに少し動揺したようで、その表情を見せないように下を向いてしまった

指揮官……

誰が、人に本音を伝えられず、厳しい口調で人に迫るんだ……

リー、どうして中に入らないのですか?

廊下で休憩場所のドアに寄りかかっていたリーに、階段の上から下りてきたルシアが話しかけた

何でもありません

……そうなんですか?

ルシアは少し頭を傾け、疑問に思ったようだったが、そのまま休憩場所に向かってきた。そして、ドアノブに手を伸ばす

ルシア

何ですか?

さっきのパトロールで、通りに落とし物をしてしまいました。一緒に回収に行ってくれませんか?

……ええ、構いませんが

では、とにかく一緒に来てください

ルシアは頷くとドアノブから手を離した。リーはルシアが階段を下りるのを見て、ほっと一息つくと一緒に下の階へと向かった

リーは階段を下りる前、少し振り返って、誰にも知られずに休憩場所のドアに目をやった。その瞬間、任務開始以来ずっと寄せていた眉根が緩んでいた