Story Reader / 外伝シークレット / EX03 在りし日の残照 / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
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EX03-3 同道

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ハセンは背筋を真っ直ぐ伸ばし、ブリッジの巨大な窓の前に立っている

窓の半分くらいの視界を占める、静かに自転する青い惑星を黙って見ている

ブリッジのメンバーはハセンの沈黙に慣れておらず、そこには微妙な空気が流れていた

命令の伝達や戦略の策定、慰労等、ハセンは常に意識してメンバーの士気を高める言葉をかけてくれる

今のように、メンバーにただ押し黙る自身の痩せた後ろ姿を見せるようなことはしたことがなかった

目の前に多数のアイコンとファイルが展開していくにつれ、セリカの頭の中では周囲の話し声が重なって、やがて凄まじいノイズへと変わる

物資リスト、部隊の調整、勢力間交渉注意事項、偵察部隊からの報告と地図、オブリビオンとのグレー物資の取引、アディレへの情報委託契約……

セリカはひたすら煩雑なファイルを高速レンズで通読し、重要事項を200文字以内で決裁概要にまとめる。ハセンに詳細を読む時間はないため、全情報を完全かつ正確に要約する

セリカは今日ほどこの仕事を耐えがたいと思ったことはなかった

セリカ

(……退勤時間はまだまだ先なのに、もうこんなに眠たいなんて……)

(まったく……どれだけ概要を整理しないといけないのかしら……)

情報官A

セリカさん、こちらは航路連合の核心後方支援隊に駐在するメンバーが提出した支援物資需要明細と後続強化防衛の設計図です……

情報官B

あ……すみません。いまは最優先レベルのHUMIT情報を記録しなければいけないので……

セリカ

(……イライラしてる場合じゃないわ)

わかりました。機密規則Omegaに従って、規定の回路で資料庫に送ってください……

…………

通信

…………

…………

通信

……私たちはリスクを冒さないといけない……

……これはあなたの計画通りに行った必然的な選択です

…………

通信

……時間がありません……

わかった

通信

…………

通信切断

ハセン議長

どうした?

ハセンはセリカの方を向いた。セリカが覚えている限りでは、ハセンがこのような表情をしていたことなどかつて一度もなかった

その表情には失望、戸惑い、ほんの少しの恐怖——セリカがこの表情を誰かに説明するとしたら、「初めて殺人をする無鉄砲な人」としか言えそうにない

しかし、その表情はすぐハセンの顔からかき消された——いつも通り、何もなかったかのようだった

10分ほど前、合計76部の全ての決裁概要を暗号化端末に送信しました。ご確認をお願いします

わかった

ひと通り目を通しましたが、本日中に対応を要するものはありません

……もし本日お休みされたとしても、空中庭園には何ら支障はありませんよ

そうか……

ハセンは微妙な表情を浮かべ、少し上を向いた。セリカの言葉を受け入れるべきか、自分自身に問うているようだった

議長、昨日はちゃんとお休みになれました?

……あまり寝ていないな

……でしたら、お休みになってください

……いや、必要ない

そう言うとハセンは自分の暗号化端末に手を伸ばしがた、セリカが横から素早く端末を取り上げた

いいですから、今、寝てください

……76部の決裁概要があるのではなかったか?

先ほども申し上げましたが、本日中に対応しなければならないものはありません

……そうか、そこまで言うのならお言葉に甘えよう

そう言って、ハセンはさっとセリカの手から暗号化端末を取り返し、ジャケットのポケットに入れた

横になりながら確認する。それで休んでいることになるからな

ハセンは少しふらつきながら指揮ブリッジの外へ出た。体力を消耗し切っているのか、階段を降りるスピードがいつもより遅い

——そのため、ハセンは階段を上がってくる人物と、正面からぶつかってしまった

何です?こんなに早い時間に退勤だなんて、議長らしくもない

そっちこそ、こんな時間に出てくるのも、らしくないな

……すぐに目を通していただきたいものが

ニコラは手の記録メディアを振ってみせた。真っ赤な「極秘」の封蝋マークがはっきり見える

……では、会議室に

議長が舞い戻りニコラとともに会議室に入っていくのをみて、セリカはため息をついた。

……まあいいわ

E.T.I——Eden Tatical Interface— Version1.417

ローディング:最下層システム[>>>>>>>>>>]100%

ローディング:地形情報[>>>>>>>>>>]100%

ローディング:記録ファイル『Serial-3394275-β』[>>>]33.1%

ローディング:記録ファイル『Serial-3394275-β』[>>>>>>>]74.8%

ローディング:記録ファイル『Serial-3394275-β』[>>>>>>>>>>]100%

……再生開始……

テスト、テスト、空中庭園執行部隊所属のパラックスです

ウロボロス司令部、こちらはウロボロス小隊、計画予定通り任務地点に入り、ムルマンスクへの監視任務を開始します

パラックスという構造体は話し終えると、カメラの方向を山の方に向けた

現場指揮権は准尉パラックスに帰属し、同行は伍長のノバルです

おい!ノバル!所定位置についたか?

パラックスが通達を終えると、カメラから少し離れた場所からノバルの声が聞こえてきた

ノバル

とっくにいますよ!弾道表を書いているところです!

わかった!今から監視位置に入る!

カメラはパラックスの動きを追尾し、前方の何重にも偽装された監視掩体壕の中に飛び込んだ

位置に着いた。事前キャリブレーションは終わったか?終わったら同期してくれ

ノバル

7つの事前キャリブレーション位置、2つのホットスポットを端末に転送しました。ただ、ひとつ疑問が……

言ってみろ

ノバル

なぜ新ムルマンスクに任務目的が異なる2つの空中庭園の部隊が派遣されたんです?

それは知らなくてもいいことだな。どうしても知りたいなら……我々は誰に属しているかわかってるか?

ノバル

ニコラ司令、ですよね?

そうだ。今、自分で答えを言ったな

ノバル

……その意味は……

知らなくてもいいことだ

同時刻、新ムルマンスク空港跡、第一ターミナル。現北極航路連合船長総代表のオフィス

二等航海士

船長総代表、こちらは船隊のメンテナンス報告です

よし……これでやっとひと段落ついたな。よかった、春が来る前に全てのことを終えられた

シュテッセンの話が終わると、部屋の隅から白衣を着た知らぬ顔が現れた

その通り。あとは残った研究所とインブルリアの残骸を「処理」して、当事者の口を封じれば終わりだ

研究所のことは私が手配する。口封じのことは……そちらに任せた。俺はもうそんな【規制音】なことをやりたくない

早く解決してくれ……初回の出航時期に影響したら、食料が間に合わなくなる

安心しろ。今回の空中庭園の介入で、この歴史を知られずに地に還すことができる

その繋がりさえ露見しなければ、我らはこれからも平和に……オブリビオン及び空中庭園の道徳心あふれる方々と仲良くできるというものだ

もちろん守林人の心象の方も……よろしく頼んだよ、「船長総代表」

研究主任は立ち上がってシュテッセンの肩を叩き、出ていった

二等航海士

船長総代表、あれはどういうことですか?

あれは……旧研究所の……研究主任カプランだ

居住地の建設から所有する船のメンテナンスまで、全て旧研究所の技術支援が必要だ……持ちつ持たれつってやつだよ

二等航海士

つまり……これまでもずっと、罪人に協力してきたと?

……ここまで航路連合を維持するのに、どれだけの苦労があったかわかるか?

二等航海士

…………

もういい、研究所の持ち出せる物は全て持ち出して分配し、そのあと研究所を破壊する。それでやっと……このクソみたいな負の歴史と綺麗さっぱりオサラバだ

空中庭園の方はなんとか誤魔化せた。これからは罪ってもんを利用できないんだ、守林人には優しさってやつで航路連合のために働いてもらわなきゃな

守林人の「罪人の肩書きを取り消す」張本人なんだ……このくらいの顔は、立ててくれるだろう

二等航海士

……航路連合として総代表の行為を批判することはできませんが、しかし……

だから何だ?彼らを研究所に送ったのは我々ではない

俺はただ……自分が使える力をあますところなく使ったまでだ

二等航海士

…………

とにかく、このことはこれでおしまいだ。それ以上余計な首を突っ込むな。お前ももう終わったことで航路連合が揺さぶられるのは嫌だろう?

二等航海士

……わかりました

……もうじきに春だ。皆の食料を尽きさせないことが最も重要なんだ

おい、春の出航の時は俺も呼んでくれよ!もう少し鰯を捕って甘露煮にしたいんだ!

甘露煮?調味料はどこから手に入れるんだ?

船長総代表が教えてくれたんだ。旧研究所には生活物資を貯蔵する倉庫がまだ2、3カ所あって、運がよければ……調味料が袋ごとあるそうだ

だから考えたんだ……オヤジの魚の商売を再開しようと思って

オヤジの魚の甘露煮はしばらく食べてなかったな。その時は少しわけてくれよ!

その時、笑いあうふたりの前に、白い光が現れた

地平線から伸びるひと筋の白い光が漁師たちの前で瞬時に拡がり、あっという間に漁師たちを高温が襲う

そのあまりの強烈さに、ふたりはとっさに板の下にうずくまり、目を守るために手で顔を覆った

なんだあれ……太陽が出てきたのか?

バカか……今は正午だ、日の出じゃない!あれはなんであれ、太陽なんかじゃねぇよ!

ふたりの後ろにある桟橋の建物は、どんどん強さを増す光に完全に包まれた。太陽にも負けず劣らぬ高温の中で、鋼鉄の建物が一瞬にして灰と化す

漁師たちは突然のことに驚くあまり、響きわたる警告の声を聞き逃した

しかし、たとえ漁師たちが聞き取れていなくても、発信者にとっては警告は既成事実だ

???

ここから離れなさい

…………

…………

???

……ふん

白く光る存在は、何もない中空から軌道砲らしき物体を取り出し、周りを気にする様子もなくエネルギーを充填し始めた

軌道砲から放出される熱エネルギーでやっと漁師たちは我に返り、すぐ側にいる白く光る存在に気付いた

——刹那に、恐怖が襲う

ぎゃぁぁぁぁ————!!!いやだぁぁぁっ!助けて——!!!

…………

こんなふうに昇格ネットワークの力を使うのは久しぶりだから、制御が効かないわ……

まぁいいわ、警告ってことにしましょう

さてと……

白く光る存在は軌道砲らしき物体のエネルギー充填を完了し、あさっての方向に向かって光の束を発射した

その戦闘スタイルは、単純な襲撃や牽制ではなく、焦りもためらいもない。戦闘というより——もはや、審判のようだった

罰せられる側の阿鼻叫喚を無視し、彼女は攻撃を続けながら進んでいく

クソッ、【規制音】が!

ノバル

あ……あれは何だ……

視覚的特徴を照合しろ!早く!キャプチャ映像を端末に送った!

ノバル

これは……「ルナ」です!

……チッ、なぜ「彼女」がここに来たんだ?こんなところに昇格者にとっての戦略価値があるのか?

いや、あったとしても、そこらの権限で閲覧できる情報ではない……とにかく、できることをやるまでだ

ノバル

……空中庭園に通信確立要請を出しました、向こうで接続できるまで時間がかかりそうです

そっちに期待できそうにないな

近くの保全区域のサーバーを利用してデータ中継をしよう。そうすれば最終的に連絡が取れなくなっても、保全エリアに一部のデータが残る

2台のドローンを飛ばして、できるだけさまざまな角度から「ルナ」の映像情報とエネルギー詳細を収集するんだ

ノバル

……収集して、その後は?

どうするもこうするもない!それは空中庭園の決定次第だ

ノバル

ですが……

特殊装備を備えているからといって強がるな

我々にとっては、ここで犬死にするより、正確な情報を空中庭園に送ることの方が重要だ

ノバル

……ラジャー

ルナによる数回の凄まじい攻撃によって港はその半分が破壊され、居住地にいる人たちにとって十分すぎる警告となっていた

攻撃のあまりの苛烈さに、まだルナが遠く離れているうちから航路連合の居住地は大混乱に陥っていた

守衛

どうなってるんだ?どこからの攻撃だ?

漁師

家が!俺の家がぁぁぁぁ!

誰か!何が起きたのか教えてくれ!

二等航海士

何者かが、軌道砲のような物で攻撃してきました!

……!

急げ!伝令全員出発!新ソフィア、辺境コミューン、近くのオブリビオン、全員に知らせろ!どこでもいい、助けをもらうんだ!

漁師

もう間に合わない!

水夫

船長総代表、俺たちには船がある!なんなら……

守衛

見張りの報告によると敵との距離はおおよそ5km、船を動かす時間は……

水夫

ちくしょう!まさか、俺たちはただ……

焦るな、一致団結すればなんとかなる!

シュテッセンが水夫たちをなだめている時、研究主任が白衣のスタッフたちを連れて、居住地の外に歩いていくのが見えた

待て!カプラン!どこにいくんだ?

冗談じゃない、こんな汚いところで死ぬなんてまっぴらだ!

研究所にしばらく避難して、南に向かいアディレに行く!

ふざけるな!

大まじめだ!どんなトラブルに巻き込まれたか知らないが、我々には関係ない!

……お前!カプラン!

お前?シュテッセン、いつから私と同等の立場になった?

…………

ふん、知ったことか。我々はもう行く!

……早く出ていけ

研究主任はシュテッセンを凶暴な目で睨むと、足早にその場を立ち去った

水夫

船長総代表

……見苦しいところを見せた。とにかく、我々はできることをやるしかない

そうだ。研究室の全ての壁には防御用の装甲間層があったな。装甲ドアの暗号キーなら、私も持っている!

やつらが義理を立てないというなら、こちらもする必要はない。防衛できなければ我々もすぐさま研究所に退避しよう

水夫

……わかりました。老人や子供はどうしますか?

旧劇場の地下にある民間避難室に避難させておけ。あの3つの避難室なら100名くらいは収容できるだろう

もし攻撃を耐えきれば我々が解放しに行く。もし耐えきれなければ……誰かが、彼らを見つけて解放してくれるさ

水夫

……それしかないですね

まったく、いつになれば俺はこういうメチャクチャと縁が切れるんだ……

30分後

戦闘は始まりと同時に終わりを迎えた。あまりにも早すぎる展開にシュテッセンたちは、自分たちが置かれている状況を把握できなかった

彼らの目に映ったのは、爆発、穴が開いた壁、溶けた建物、蒸発した体……悲惨すぎる光景だった

あの全てを滅ぼす白い光は、どうやって一瞬のうちに堡塁やトーチカを消し飛ばして港の半分をバターのように溶かしたのか。一体何が起こったというのか

今はもう、一刻も早く逃げなければいけない。シュテッセンは動ける者全てを連れて研究所に避難することにした

白い光はつかず離れず一定の距離を保ち後ろをついてくる。彼女は一体何のためにここに来たのか?誰を狙っているのか?シュテッセンにはもう、そんなことを気にする余裕もない

今はもう、どうやって白い光がもたらす破滅と混沌から生き延びるかが、最大の問題だった

急げ!

二等航海士

あの遮蔽物の中に!

一行は爆発の炎の中を、廃墟を遮蔽物にしながら、研究所に向かって進んでいた

二等航海士

総代表、研究所に行ってどうするんです?あいつとやりあう方法なんてありませんよ

ハハッ……カプランのやつは慌てるだろうな

自らの身に危機が迫れば、隠している札を出してくるだろう

シュテッセンの予想通り、研究所の壁から数台の砲塔とロケット発射筒が突き出てきて、ルナに向け一斉に発射し始めた。一瞬にして、爆発と炎がルナを包む

…………

ルナが炎と煙のなかに隠れても、攻撃がやむことはなかった。引き続き、一点に向かって砲撃を続けている

二等航海士

総代表、これからどうしますか?

どうもしない。せいぜいやりあってくれればいいさ。我々は引き続き移動する

シュテッセンは一行を引き連れ、砲撃の隙を見て研究所の入り口まで来た。暗号キーを入力し、すばやく地下に向かうエレベーターに乗る

よし、地下なら安全だろう

あのドンパチが終わったら、カプランを見つけ出してじっくりと清算してやる

…………

船長総代表

なんだ?

二等航海士

ここは何なんですか?

この研究所の中で絶対に安全な場所だ。装甲層は頑丈で、地図にも載っていない

ここは、実験対象の選別のための……処刑場だったんだ

二等航海士

……なんですって?

あの柱が見えるか?カプランたちは、ここを「平和賛美ホール」と称し、被験者を呼び入れる。研究者たちは観察室に入って、それから……実験用の薬剤を注ぎ込んだんだ

1度に200名から適した実験体を選別することができる方法ってわけだ

カプランは、おそらく今観察室にいるんだろう

二等航海士

総代表、こんな場所のことをよく知っていましたね……もしかして……!?

二等航海士の声が突然高くなったので、シュテッセンは急いで彼の口を覆った

しっ……!静かに!やつは戦闘中だから、我々に気づいていない。戦闘が終わったら、こっそり観察室に忍び込むぞ。わかったか?

二等航海士

うぐ……う……

わかったわかった、手を離すから、小さい声でしゃべれ

二等航海士

……一体どこまでご存知なんですか?

……ひとつ言えるのは、やつのために人殺しをしたことはない

二等航海士

……この混乱がおさまったら、話すべきことがたくさんあるようですね……

…………

二等航海士

あ、あれは!?

!!……な……なぜ……

ここは……6層の鋼鉄製装甲をもつセーフティエリアだ……たとえ、軌道砲であっても……

……我々が戦っているのは何なんだ……

二等航海士

これ、観察室の方の壁からです!

早く、柱の後ろに隠れろ!

シュテッセンたちが柱の後ろ隠れると、壁が瞬く間に赤く膨れた

そして、瞬く間に爆発し散弾銃のように大量の瓦礫がホール全体に飛び散った。ホールにそびえる3本の柱は真正面から攻撃された形になった

黒い物体がホールに無造作に投げ出され、シュテッセンたちが恐れていた白い光を纏う存在がやってくる

(あの黒いのは……カプランだ!)

カプランは身体ごと床にたたきつけられ、コンクリートと鉄屑の中で瀕死の状態だ

……はぁ、はぁ、はぁ……

……な、何が望みだ?……望むものをくれてやるから……!

別に何も。ここの存在を教えてくれただけで十分よ

それに、欲しい物はもう見つけたわ

ルナは瀕死であえいでいる物体から視線をはずし、破壊されながらもかろうじて立つ3本の柱を見た

……?

もういいわ、ご苦労さま

ルナは軌道砲を召喚した。カプランは驚き、瀕死の体を引きずりながら、必死に柱の方に這っていった

やめろ!やめっ、や、やめろぉぉぉぉぉ!!

時間の無駄はやめましょう?

そう呟くとルナは逃げるカプランをそのままに、砲口を向けもしなかった。どうやら何かを待っているようだ

カプランは、やっとの思いで崩れかけた柱のそばまで這い寄った。柱の後ろに身を隠そうとして——隣の柱の後ろにいるシュテッセンに気づいた

……お前か……

その瞬間、白い光の束が彼を飲み込んだ

さっさと出てきて?ここに逃げ込んでいるの、気付いてないとでも思っているの?

…………