Story Reader / 外伝シークレット / EX02 極夜再臨 / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
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EX02-4 異論反論

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うっ……確かにマスターユニットの声が聞こえなくなった。あんたは一体何者だ?

ナナミはナナミだよ!

名前を訊いてるわけじゃないと思うぜ……

危ういところで侵蝕の危機から逃れたバイオニックたちは、安堵でへたり込んでいた。そのうちの何体かはナナミのもとへやってきて、色々訊ねている

だが、何をどう訊いても、ナナミの返答はちんぷんかんぷんだ

何人かは侵蝕体が出てきてすぐどっかに行っちゃったけど、でも全体的にいったらいっぱい助かったでしょ?

なんというおせっかいをしてくれたんだ!!

ヘ?

次の手を考えていたナナミの前に、またしても数体のバイオニックが現れた。一様に憤怒の表情で、今にも飛びかからんばかりだ

今マスターユニットの声が聞こえなくなったら、俺たちのすべきことがわからなくなるだろうが!メインの部隊がどこを攻撃してるのかさえわからなくなっちまう!

おい待て、まだ戦い続けるつもりなのか?

はあ?

当たり前だろ?お前、まさかあの構造体の一味なのか?

そういうわけじゃないが、戦いを続けても互いにメリットはないだろう

メリットって……お前、本当にバイオニックか?俺たちを兵器として開発して地下に閉じ込めやがった人間を許せるのか?

目覚めたその日から創造者に攻撃され続けたと思ったら、今度は強制制御されたままで地下に捨てられた

そんなことばっかりする人間を許しておけるものか!

うっ……そんなことは、おそらく俺が失ったデータにもなかったはずだ。一体何の話かわからねぇ……

ふん、なるほどな。お前は新生産のロットだな?

ロットもそれぞれなの?

当然だ。そうじゃなきゃ、人間と戦うための兵隊を調達できないだろう。お前の周りにいたのはどうせ新生産の軟弱者ばかりだったんだろうな、チッ

古くても新しくてもいいけどさ、さっきまでずっとマスターユニットにコントロールされてたんでしょ?

俺たちの目的は同じだ。マスターユニットと接続しているとマスターユニットの感情も共有できる。俺たちは自分の意志でマスターユニットのために戦ってるんだ

自分の意志なの……

そのマーチンって野郎は多分データをなくしちまったんだろうけど、マスターユニットインブルリアの境遇は誰だって知ってる

旧ロットのクマ型は周囲をひと通り見回してから、再び目線をナナミに向けた

俺たちのマスターユニット、インブルリアはお前と同じ構造体だ

構造体なんだ!?

パニシング流行後、航路連合は瀕死の者や重症者を研究の名目で研究室に送り込んだ

表向きはパニシング対策のためってことになっていたが、実際は自分たちだけの兵器を作るためだった

それで航路連合はとてつもない犠牲者を出した挙げ句、ようやく「亜人型」構造体を完成させた。俺たちのマスターユニット、インブルリアはその初号機だ

つまり……インブルリアは兵器として作られたってこと?

奇形とも呼べるような恐ろしい機体だし、一挙一動が周囲の環境を破壊してしまう危険もあった。やがて彼女は、自分自身を制御しているのは自分の意志ではなく——

航路連合の連中であることに気づいたんだ

ひとりぼっちの少女が、そんな現実を受け入れられると思うか?その凄まじい感情は暴走した意識海や受信装置を通って俺たちのCPUに流れ込んできた

絶望だ。その凄まじい絶望の感覚を、俺たちは決して忘れられない…………だから!

クマ型は視線を他のバイオニックたちに向けた

たとえ受信装置がなくても、戦いは続けられる。まだ自分はマスターユニットとともにあると思ってるなら、ついて来い!

クマ型の怒声に一部のバイオニックが立ち上がり、連れ立ってその場を去ろうとする

待って!今はまだ変な侵蝕体が雪の中をウロウロしてるし、さっきだって狙われてたでしょ?

侵蝕されるかどうかなんて些細な問題だ。マスターユニットを再起動して、自由にしてやることに比べれば

俺たちはただ……マスターユニットを悪夢から解放してやりたいだけだ

…………