Story Reader / 外伝シークレット / EX01 グランブルー / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
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EX01-8 片時

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結果は?

順調よ。裏切り者は世界に裏切られ、幼き日の夢の中で死んだわ

ショーメイの結末は、いい警告になるはず

私たちは全てを掌握しているということね

……どうして、あまり嬉しそうじゃないの?

え?

虚を突かれたルナは、すぐに普段の様子に戻った

何でもない

そう。話したくなったら、いつでも聞くわ

……うん

今回の目的は無事達成……次はどうするの?

……

どう答えるべきか、ルナは下を向いて考えた。αはそのまま、島の様子を眺めている。夏の潮風が吹き抜け、ビーチのココナッツの木がカサカサと音を立てた

まだ決めてないなら、ここで少し休んだら?

いい……!賛成……!

突然ラミアが海から這い出て嬉しそうに拍手したが、αの刀を首に向けられすぐに止めた

ひぃぃいぃぃっ!

あなたには言っていないわ

何度も警告したでしょう。私の周りで姿を隠すな、空気を読まずにいきなり現れるな

ごめんなさい、ごめんなさい!もうしません!

それも聞き飽きた。足を何本か切り落としたら忘れないかしら?

いやぁぁぁああっ!

必死に抵抗するラミアは、目でルナに助けを求めた。ふたりのやりとりを見つめていたルナは、思わず声を出して笑ってしまう

ふふふふ

その笑い声に、αとラミアの動きが止まる。ルナは頭を横に振ってから、言った

姉さんの提案だし、そうしましょう

空中庭園の増援が来るまでの間、ゆっくり休みましょう

蒸し暑い夏の夜。潮風が熱を帯び、ビーチにいる者たちの熱気を更に煽る

空中庭園は、ビーチで盛大な宴を開いていた。それに比べ、反対側の遊歩道は物寂しげだ

遊歩道を進む足音が、物寂しい街にわずかな彩りを添える

やっと気を抜ける……

そう?いつもと対して変わらないように見えるけれど

い……いつもと違って、任務とか考えなくていいから……精神的にリラックスしてるの!

でも、またすぐ次の任務だと思うと……絶望だ……

あなた、感情モジュールが故障してるんじゃない?

正常です!

……どうして私たちは、あのポスターみたいに、水着を着て、食べ物を持って……ビーチに横になって、だらだらできないんだろう……

何もしないで……何も考えなければ……絶望なんてしないのに……

……

何よ?

ラミアは突然黙り、目の前のルナとαをじろじろと観察し始めた

ふたりが水着を着て、ビーチに横になってる姿を想像してみたけど……怖すぎてやめた

……

ああ……そう考えると、水着は私たちにとって意味なんかないもんね……やっぱり水着は、可愛い人間の方が似合う……

花火でもすれば?

……それも別に意味がないけど、やろう

負のスパイラルに陥りそうになったラミアに、αがどこからか拾ってきた花火を渡した。ラミアは花火を受け取って、ビーチに走っていく

私たちもあの店を見に行きましょう

何か欲しいものがあるの?

ええ

αはうなずき、ルナを連れて遊歩道の横の店へと入った

店内の棚には大小さまざまなサメピーのぬいぐるみ。壁一面にサメピーの広告やポスターが貼られ、カウンター前には「開店セール7割引!」の大きな看板が掲げられている

サメのお土産売り場かしら

サメだけじゃないわ、ほら

αはサメピーの山の後ろからカエルのぬいぐるみを探し出し、ルナに渡した

どうしてこの子はどこにでもいるの?

別にいいでしょう

いいけど……私も姉さんに何か選ぶわ

別にいらな……いえ、わかったわ

ルナ

これはどう?

α

どうも何も、ただの服じゃない

ルナ

結構いい感じよ

α

ルナがそう思うなら、それでいいわ

ルナ

……

姉さん。もしただの構造体に戻ったら、何かやりたいことはある?

今と変わらないわ。何がどうなっても、私はずっとあなたの隣にいる。ただそれだけ

そもそも、そんな「もし」はありえない

αは即答したが、ルナは黙ってしまった。αが振り返ると、ルナは足を止め、真剣な表情で姉を見つめている

その「もし」があったら?

……ショーメイの研究?

……そう

ショーメイには研究の片面しか見えていなかった。でもあの研究には、まだ誰も気づいていないもう一面がある

その先に、真の「根源」がある

……

夜は深まり、潮風は一転して肌を刺すような冷たさへと変わった。ルナは顔を上げ、隣にいるαへ話しかけた

姉さん。私、少し疲れちゃった

あそこで少し休憩しましょう

αはルナの手を引き、遊歩道の傍らのベンチに腰を下ろした。ルナはαの肩に頭を乗せ、目を閉じる

遠くのビーチから奇妙な音が聞こえる。どうやら、ビーチで複数の侵蝕体が楽器を叩いているようだ

ショーの時間になると、自動的に準備が始まるのね

……少し騒がしいわ

ちょっと行ってくる

αは鞘から刀を抜くと、ビーチへ向かった