21号の連続攻撃をくらい、すでに動けなくなっている侵蝕体は轟音の中で微かな音を立てて破裂した
しかし21号は手を止めず、次々とビームを打ち続けた
21号は手を止め、目を大きくみはったまま激しく呼吸している。何かを怖がっているようだ
……21号を落ち着かせなければ
……
さっき、あの盾を持った侵蝕体が飛び出した時、21号の視覚がまた乱れた
いや、視覚の乱れではない。それは強烈な感情の揺れだった
彼女にはぼやけた光が見えた。光、続いて強烈な痛みが彼女を襲った。人工心臓が体からえぐり出されたかのような痛みだった
光の中で彼女はぼんやりとした顔を見たが、その背後では侵蝕体の恐ろしい歯車が回っていた
侵蝕体……大切な人を、殺した
よく見えなかった……でも……大切な、大切な人……隊長?
21号は困惑している。先ほど見たものに彼女は強烈な感情を覚え、かなり動揺しているようだ
どうして、あんなものが見えた?
繰り返し経験したことで、すでに幻覚が発生するパターンがなんとなくわかってきた。発生を誘発するのは、懐かしいと思う場所と物のようだ
うん、21号覚えてる
そこに行く?
21号は警察署に背中を向けると、あの影が消えた場所から前に向かって歩いた
視野が突然歪み、目の前の全ての物の形が変わった
見える物全てが伸び、湾曲した瞬間、世界は恐ろしいほどの静寂に包まれた。景色が加速度的に流れ、時間は逆流し、建物が立ち上がり、木々が生え、日差しが降り注いできた
……待って……
遠くから断続的でくぐもった、まるで夢から滲み出すような声が聞こえた
……待って!
頭の奥から直接響いてくるようなその声とともに、前の道にあの女の子の後ろ姿が現れた
うん!