まあ素敵。大発見ね
でも、それは任務と関係ないわよ。引き続き、任務座標を調べて
こんなわかりやすいメッセージだぞ?俺らの注意を惹きたいに決まってる
ただ騒ぎたいだけでしょう?
俺らは4人もいる。全員でバカみたいに同じ座標に行く必要はないだろう。俺が、この落書きを残したカワイ子ちゃんを追えば……
ノクティスが手を伸ばしてそのペンキを触ると、赤色のペンキが指についた
これは今書かれたばかりだぜ。俺らが探している昇格者かもしれないだろ
ふーん、昇格者をよくご存知なのね
ヴィラは興味なさげにそう言い放ったが、皮肉なのかそうでないのかはよくわからない
さあ、今第三勢力が現れたわけだけど。これからどうしたものかしら?
だから?
ノクティスと21号は同行不可よ。追跡が得意じゃないんだもの
状況を整理するわ、私とあなたは別行動で互いにひとりずつ連れていく。連絡を取り合いながら行動し、1時間後に合流よ。どう?
じゃ、私と一緒に来るのは――
自分が
……それはだめよ。グレイレイヴン指揮官の面倒を見てあげなきゃ
面白そうな方に俺は行く。グレイレイヴン指揮官、21号は優秀だ。チームメイトとして推薦するぜ
……
グレイレイヴン指揮官はどうお考え?
ハハハハ!却下ァ!
うーん――意見を求めたけど、だからって言い分を聞くとは言ってないわよ?
冗談よ。ふたりのうちどちらが扱いやすいかと言われたら、どっちもどっち。でもこんな状況だし、選択できる余裕はないわね
じゃ……21号、指揮官と一緒にここで任務の座標を調べて
ヴィラの顔に浮かぶ笑みは、何かを企んでいるように思わせる
……
……了解
よし!やっと仕事らしくなってきた!まずその辺りをご偵察っと!
ノクティスは我先にとすぐ飛び出していった
今のうちに遠隔リンクの対象を切り替えておいて頂戴
……
21号は何も言わないが、隣で飛び回っているスレーブユニットの様子から見るに、どうやら嫌がっているようだ
隊長から聞いた
……
21号はまた黙り込んだ
……必要ない
隊長の指示。21号はやる。聞く必要ない
21号はなんだか気分が晴れない様子で、どうやら他人に自分の気持ちを訊かれるのが嫌なようだ。でも、今は仕方がないことだった
少しお待ちください
すぐにレベッカの声が聞こえた
グレイレイヴン指揮官、それは必要な行動ですか?
何者かの痕跡……わかりました。でもひとつだけ言っておきますが、21号との遠隔リンクは不必要なリスクを引き起こす可能性があります
任務座標からは第三者の存在を発見していませんが、引き続き調査します。今はそちらの判断を尊重しましょう。作戦にはなるべく干渉したくありません
……ですが任務の目的はお忘れにならないよう。もしトラブルが起きたら、すぐ21号とのリンクを切断します
ではご武運を、指揮官
遠隔リンク対象切り替えの申請が許可されました。意識海モデルをリロード……シンクロ率……初期化……
21号に先ほど言ったように、21号との遠隔リンクの過程は順調とは言えなかった。拒絶して揺れ動く彼女の意識海を何とか安定させなければならなかったからだ
再び目を開けた時、もう視界は21号のものになっていた。目の前に立っているヴィラが笑いながら手を振っている
結構――後は21号に任せたわ。いい子だから、しっかり面倒見てあげて
サプラーイズ!これを見てくれよ!
暴走気味のパトカーが目の前に止まり、窓からノクティスが顔を出した。どこで見つけたのか、彼はサングラスをかけ、大きく口笛を吹いた
隣に警察署があってさ。結構な数のパトカーが停まってたんだ
却下
えっ、俺の車検済みだぜ?ボロボロだけど、エンジンもかかるし、走れるし……
あなたがハンドルを握るんならどんな高級車でも座る気はないの、おわかり?私が運転するわ
ちぇ、わかったよ。俺は心が広いからな。ヴィラのドライビングテクを信用するぜ。サンシチより悪いってことはないよな?
?
ヴィラは運転席に乗り込みバタンとドアを閉めると窓に手をかけ、こちらに手を振った
じゃあね指揮官――ぜひケルベロス流のおもてなしを楽しんで
……
パトカーは21号とスレーブユニットをその場に残し、走り去った