Story Reader / 外伝シナリオ / EX03 在りし日の残照 / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
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EX03-14 名もなき戦争

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電源供給トラブルシューティング開始、活動区分スキャン、プログラムをローディング中

>>80%>>92%>>100%……システム接続

音声受信、環境情報処理、プログラムテスト判定<<<<<現在の状態は安全

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HNB1が現在の状況を分析することができずにいると、頭部に衝撃が走った

その後、視覚モジュールが弱く点滅し、表示モニターはしばらく暗転し、その後再び作動を開始した

HNB1の視覚範囲に現れたのは、頭と足が逆さまになっている太阿だった

目の前の太阿は、力強く手元の刀を振り落ろした

何かの繋がっていた物が切れたあと、HNB1は地面に強く叩き落とされた

視覚範囲の景色は体とともに反転した

スキャン……九龍商会太阿……HBG3

感情モジュール起動<<<

……HBG3?ここはどこ?なぜ縛られていたの?

私は何もしていません。あなたを発見した時には、すでにここに吊り下げられていました

相対する2台の機械はまったく同じ外見で、立っている機械の方は、手に持っている刀を収めようとしている

いったいどういうこと?

今は28日午後4時44分23秒、私たちは市中区から14km離れた車両修理工場の中にいます

私たちは14日前に定期点検のために工場に送られるはずでしたが、何らかの手違いによって、この無人の工場に忘れさられたようです

それに私の故障箇所はまだ修復されていません

おかしい。本部に接続できない

私もです。九龍商会の蒲牢衆警衛隊の規則によると、すぐに本部に戻って報告しなければいけません

九龍商会蒲牢衆警衛隊規則第1条、太阿は許可なく人類を傷つけたり、あるいは人類の危機に際しこれを無視してはならない。第2条、命に従う。第3条、命令失効時は帰隊し……

わかってる。私の電子脳の中にもしっかりと保存されてるよ。第1条から最後まで復唱するつもり?

忠告しただけです。あなたは35%の確率で、隙を見て逃げようとしている

HBG3の発言で、HNB1はキョロキョロするのをやめた

しょうがない……好奇心は「人の本性」だよ

私たちとともに修理に送られてきた太阿たちは?どうなったの?

起動したらここにいたんです。ここには私たちの他にはいなかった。工場全体の外部電源は切断されて、私たちはこの修理場に閉じ込められているようです

HNB1とHBG3は、市内の蒲牢衆警衛隊の第7分隊に所属していた

警衛隊は通常2名1組だ。G3は負屓衆が新しく開発した、優れた戦略分析と戦闘力を持つ新型HBシリーズ太阿。そしてB1は疑似感情モジュールが搭載された一般向けのHNシリーズだ

ある観点では、この異なる2タイプの太阿をセットにすることは有効であると言えた

14日間、警衛隊の誰も、私たちの不在に気づかなかったの?

情報不足で推測にすぎませんが、私たちは、違法な手段で連れ去られた可能性があります

シンプルに言えば、盗まれた……

城下町のチンピラたちは、強盗とケンカだけでは満足できないと?「公共物」にまで手を出すとは……

そうだ!私の体はどこかぶつかったりしてないか確認して!先月……いや、先々月にペンキを塗り替えたばかりなんだ

…………

……ありませんね

よかった!!!ドロボーめ、許せない!

行きましょう。まず予備電源を起動しましょう。そしてここから離れて、九龍商会に戻り、帰隊するんです

——

ねえ、G3。何か気味悪くない?

機械は「気味悪い」と感じません

無粋だなぁ。何か感じるんだ、ここは少しおかしい

2台の太阿は中央制御室の前に立った。HNB1が指でドアを触ってみたところ、埃が落ちてきた

ここは廃棄工場じゃあないのかな

この修理工場は確かに4年前に廃業したはずです

……あなたにもデータベースが……データベースを検索しないのですか?

知ってるよ。ただ、私は自分で観察する感覚が好きなんだ

それは変です

失礼な!私の方が先輩なのに!

機械には「先輩」という概念はありません

HBG3は周囲の環境スキャンを止め、HNB1を後にして、部屋の中に入った

周囲には雑多な物が散らばっていた。作業台には使いかけの工具箱が置いてあり、カビが生えたパンもあった

正体不明の生物

チューチュー——

盗み食いをしている1匹のネズミが作業台から飛び降り、素早く逃げ去った

HNB1の言うことは正しいかもしれない。もともとここで作業をしていた人は、タバコを吸いに離れただけなのに、二度と戻って来なかった

ここで何か起きたのかな

判断するには情報不足です

予備電源を起動することが先ですね

——

システム

応急予備電源起動成功。続けて指令を執行する

指令?何の指令?

突然、部屋の明かりがついた。電力が回復し、システムが運転を始める

これを見てください

机の上に設備から地形図が投影されている。図面は大きな赤い点で覆われている

画像を切り替えてみると、区域ごとの赤色の点の大きさはそれぞれ異なり、さまざまなレベルの危険区域を示しているようだ

画面の最後は、1枚の総合分析図だった。激しく光る赤色の点で満ちており、燃え上がる火の海のようにも見える

ここはどこだ……?

九龍商会の管轄区域から遠くない場所ですね

???

……世界政府から独立して東アジアの広大な領土を統治し……

スピーカーから若い女性の力強い声が聞こえてきた

???

人類の都市が次々とパニシングに陥落するなかで、なぜ我らのみが安寧に過ごせたと思う?

勇敢な兵士たちが九龍を守るために前線に赴き、パニシングに、世界に、九龍の意思を示したからだ。あのクズ鉄どもをこの九龍の地にて錆びて朽ち果てるまで眠らせたのだ

この声は……

九龍商会の最高指導者

……曲

曲(キョク)

我らは同じ誇りを抱いているゆえに、我らの確固たる信念は決して揺るがない。

過去のすべてが今の九龍を作り上げた。九龍の民は戦争を恐れない。なぜなら戦いで九龍の意思を砕くことはできぬ

彼女は何と?戦争だって?

……受信機が壊れていなければ、そのようですね

曲(キョク)

戦争に犠牲はつきものだ。しかし、九龍の民の意識のバックアップが終わるその瞬間までに、最後に一人が残れば、それは九龍の勝利である

そして九龍の歴史のなかで、これほど美味なる勝利はない。

九龍衆は我らの守護者。我らは、破壊したすべての侵蝕体に勝利を刻むだろう。

九龍の神聖な土地を侵した侵蝕体どもは、代償を支払うことになる。パニシングは勝てない相手ではないと、九龍は証明する。九龍の文明は、地球が終わるまで存在し続ける!

ここは九龍商会の都市、九龍の民は……ここで——滑稽な——

機械から流れる声が突然止まった。残された電力が尽きたようだ

…………

…………

この映像はちょうど我々が停止していた14日間のもの。まさか、この間に九龍環城で戦争が勃発していたとは……すぐにここを離れないと

戦争?この半月の間で?

分析では、録音に加工の形跡はありません。私は九龍環城において最高の偵察能力を持っています。分析結果に誤差が出る可能性は0.3852%

過去データの解析によると、人類が突然戦争を始める可能性は12.252%。戦争が起きたかどうかにかかわらず、私たちはすぐ帰隊する必要があります。戦略分析は専門ですから

そんなこと知ってるけれど、誰と戦うの?彼女は「侵蝕体」って……

「侵蝕体」「パニシング」と言っていましたね

立ち向かう敵がなんであれ、太阿は全てを消滅させます。太阿は九龍を守るために生まれたのですから

それは、もちろんそう

わかった!準備完了、九龍商会に戻ろう

システム

警報——異物侵入——警報——異物侵入——

!!

「何か」が入ってきた