Story Reader / 外伝シナリオ / EX03 在りし日の残照 / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
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EX03-5 再会

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その怪我……どうしたんだ!?

……はぁ

院長は常羽を怒りかけ、しかしため息を吐くだけにとどまった

チンピラにひっかかって……たいしたことない

常羽はそう言いながら、劇場をぐるりと見回した。于が机に座っていて、ここしばらく見なかった俞生もいる

俞生!ひさしぶりに会えた!!!

気持ちがふさぎ込んでいた少年は、長らく会えなかった知った顔を見つけて驚いたような笑顔を見せた

兪生(ユショウ)

家にちょっと用事があって、だから……

俞生は自分の指をさわった。彼の白くて綺麗だった手には、いまは包帯が巻かれている

兪生(ユショウ)

ちょうどいいところに来た。お別れを言いに来たんだ

お別れ?どこかに行っちゃうのかよ?

兪生(ユショウ)

曲様の話を聞かなかったのか?ここには侵蝕体がもうすぐ押し寄せるから、私は前線に赴く

なんでだよ?港に向かっているやつらを見たぜ。俺らも荷物をまとめて船に乗って逃げたほうがいいだろ?

その言葉を聞いて俞生は頭を横に振った

兪生(ユショウ)

広場で演説を全て聞いたんだ。私は曲様を信じる

え?「九龍の意思」なんかにこんな大事なことを決められるのかよ?

兪生(ユショウ)

いや、これは私自身が決めたことだ。曲様は決定権を私たちひとりひとりに任せたんだ

私の妻は病気だから船には乗せられない。街に残って万世銘に参加するほうが私たち夫婦には合っている……

万世銘?何それ?いや、どうでもいいや。なんで前線なんか行くんだよ?奥さん、置いてくのかよ?

兪生(ユショウ)

彼女はすでに万世銘の審判を受けるつもりだ。ただ、順番待ちでまだ時間がかかる

だからって……

兪生(ユショウ)

そうだ。曲様たちのように、いずれこうなる必要があったんだ

院長!俞生を説得してよ!

…………

院長、何で黙ってるんだよ……?もしかして、院長も……

私には私の決断がある……。船に乗って逃げはしないが、万世銘にも参加しない。劇場に残ることにした

肉体を捨て、自分を機械に渡してしまうようなことはできない

私ができることは、最後の最後まで、先祖が残してくれたこの劇場とともにいることだ

……じゃあ、俺もここに残る!

甘ったれるな!さっさと上に行って荷物をまとめるんだ。于よ、常羽を港まで送るように

于(ウ)

へ……へい

お前はまだ若い。人生をこんなところで終わらせるべきじゃない

この歳でも十分だ!俺も戦える!

今はわがままを言う時じゃない!

残って戦わせてよ。戦うことなら俺にもできる。そして戦いが終わったら、また劇場も営業できるじゃん。劇場の道具は全部修理できたよ……

常羽、もういい歳だというなら、いい加減に聞きわけるんだ!

これまで言えんかったが……実はもうとっくに劇場を売った。俞生もその金で奥さんの病気の治療ができた

なのに、まだ病気が完治しないうちにこんなことになって……

お前は子供だから戦争の残酷さを知らない。この戦争では誰も生き残ることができないかもしれん。これが皆を見る最後になるかもしれんのだ

院長として、劇場のためにしてくれたことに感謝するよ……しかし、世の中は努力が報われるとは限らない

私たちは九龍の長い歴史の中の小さな存在にすぎん。荒波に押されれば、進むしかない

もういいッ!

何も失いたくない、昔の生活に戻りたいだけだ!俺を子供扱いして何もかも勝手に決めつけて……!俺の気持ちを考えたこと、あるかよ!?

……お前のためなんだよ

もういいや、わかった!俺のためだよね!?俺は皆にとって、いつまでたっても半端なガキなんだ

でも、その前に俺だって九龍劇場の一員なんだよ

知ってること、全部教えて!俺にもできることがあるはずだって!

大声で叫んだせいで、常羽の小さな体はわずかに震えていた。しかし、彼の目は真っすぐに前を見据えていた

院長

常羽……

突然、劇場の外から爆発音がして、常羽たちの会話を中断した。俞生はそれを聞いて、即座に立ち上がった

兪生(ユショウ)

時間がない……私はもう行かないと。見送ってくれるか?

…………

俞生の言葉に皆沈黙してしまった。俞生は微笑み、玄関へと向かっていく。常羽たちも俞生の後に続いた