オブリビオンの面々は出入りを繰り返しながら、レーダーサイトのメンテナンスと信号接続を行っている
ルシアは任務報告をアップロードし、リーは作戦記録を整理している。そしてリーフは海辺に立ち、水平線を静かに見つめている
……手持ち無沙汰なのか?
事後処理は全て隊員に任せたということか
……また成長したな、指揮官
また一段と図太くなった
……冗談だ
面白くなかったか?
ワタナベは軽く笑顔を見せながら、海沿いのガードレールに体重を預けた。心地よい沈黙……聞こえてくるのは、遠海まで響き渡るドレークの鳴き声だけ
……
いつのまにかクラークがワタナベの背後に立っていた
年かさの隊長の顔は、タバコの煙でぼやけている。やがて半分ほど残ったタバコを投げ捨て、足で踏み消すと、尊敬するオブリビオンのリーダーへと視線を投げかけた
リーダー、相変わらずお若いですね。昔とちっとも変わらない……
……
……チャリド大尉の事後処理のことは安心してください
……わかっている
彼は最後に信じることを選んだ。我々は、決してその信頼を裏切ってはならない
ワタナベのその言葉はきっと、オブリビオンだけに向けてのものではない……