いえ……ここにはあまりにたくさんの痕跡があって……本当に色んな跡が混じっています
ですが、林道を離れていったような跡はひとつもありません
イヴァンはいまだこの道に沿って歩いているんじゃないかと……
急ぎましょう。先ほどの見張りが言っていた通り、ここは少し危ないようです
歩き続けるうちに、守林人のテントが見えてきた
だが、イヴァン少年の痕跡は見当たらない
もしかして、道中守林人たちと遭遇したんでしょうか
イヴァンの足がこれだけ速いなら……ありえると思いますけど……
イヴァン?見てないな。なぜイヴァンがここに……?というか、なぜあなたたちがここにいる?
ロゼッタは守林人にテントの修理を指揮しながら、炉を立てる傍らでそう答えた
あなたたち……集会はどうした?なぜここに?
シュテッセンの言葉、その一字一句をロゼッタとディアンナに伝えた
……気持ちだけいただこう
それだけ言うと、ロゼッタは身を翻し、再びテントの修理の指示を出し始めた
……なぜですか?
…………守林人が間違いを犯したのは覆しようがない事実。罪人の名もそのことによる
たとえシュテッセンがそう決めようとも、航路連合の人間は守林人に対する態度を変えることはないと思う
では、ディアンナは?他の人は?あなた方守林人自身の利益という観点から考えるべきなのでは?
…………
ロゼッタの意志は我々の意志だ。来い、送ってやろう
居住地を出るまでの間一言も発さなかったディアンナは、居住地の外に出るとようやく重い口を開いた
……守林人は理由なき恩恵を受け入れない。他者に借りを作ることもない
外部の者からすれば愚かしいことかもしれないが、でもあなたたちには理解して欲しい
なんだか、黄金時代の文学に登場する「騎士道」のようですね
……そういうものかもしれないな
その時、雪原から子供の絶叫が聞こえてきた
……イヴァンだ!!!