長い長い仕事をようやく終えて、眠りにつこうとした時――うとうとしていると、ひそひそ声が聞こえたような気がした
こうして……こうすれば……
……きっと……気に入るはず……
……少し……睡眠導入……
この夢は転がり続けているようで、お馴染みの落下感まであった
起きて、聞こえる?
指揮官、起きて……そろそろ時間よ
不規則に揺らされてうっすら目を開けると、目に入ったのは見慣れた指揮官宿舎の天井でも、スターオブライフでもなかった
この事態の張本人であるアイラはニコニコしながら、小さなロボットのケイシーと一緒に目の前に立っている。目を擦ってみたが、夢ではない
指揮官、目が覚めた?
ピピピピ――ピュピュピュピュ――{226|153|171}
ここはコンステリア!まもなくここは幸せの愛の巣、楽しい海になります!
今日は皆が楽しみにしている大切な祭日、恋音祭り![player name]、絶対にご参加くださいね!
ひとりの指揮官の座標をいとも簡単に変更したという衝撃的な事実はさておき、拉致犯たちはまったく悪びれた様子もない
あなたのスケジュールは、もうセリカに報告してあるわ。日頃の苦労を忘れて、のんびり楽しい祭日を過ごしましょ!
うふふ、秘密よ。だってサプライズだもん!
ふふっ
そんなに急いで評価しなくて大丈夫よ。指揮官が十分に楽しんだあと、改めて今回のイベントの感想を聞くから!
芸術協会は、この特別な「恋詩チケット」を配ることにしたの。これを使えば、好きな人と一緒にアクティビティをひとつ無料で体験できるのよ!
指揮官は何を体験するか決めた?
いえ、もっと重要なのは……誰を誘うか、ね
私たち、このイベントのためにすっごく頑張ったの。このチケットがあれば、色んな体験だけじゃなくて、恋人同士の仲を深めるミニゲームもできちゃうんだから
ピピピピ――ピュピュピュピュ――{226|153|171}
ぜひ、ご体験ください!
ぜひ、「真実か挑戦か」を――!
指揮官は、どんなメロディを奏でるのでしょう?素敵な1日を!
アイラとケイシーは別れを告げ、ミニゲームを楽しみにやってくるゲストにチケットを配り始めた
食べ物の甘い香りが通りから漂ってきた。ショーウィンドウには色とりどりのチョコレートが並べられており、軽やかなワルツが聞こえてくる
街のイベント会場の入口には、バルーンと花でできた「奏でる恋音」という文字が掲げられていた。このテーマに合わせて、さまざま楽器の音色が主旋律とハーモニーを作っている
よく見ると、見慣れた街の階段にもちょっとした工夫が施されていて、階段を上る度に音楽が変化するようになっていた
まだ早い時間なのに、バラの海となったイベント会場周辺にはすでに多くの人が集まってきていた。皆、期待に胸を膨らませている
人々は賑やかに、春の始まりを感じさせるピンク色の街を行き交っている。皆、今日のイベントのために早くから準備をしていたのだろう
恋詩チケットか……周りの雰囲気に呑まれて少し期待が膨らんだのか、いつの間にか鼻歌を歌っていた
さて、どうしようかな?