こんにちは、指揮官
約束の場所に着いた。笑顔で横から歩み寄ってきたノアンが、自然な様子でこちらに手を伸ばしてきた
そうやってアーケードを散歩しながら、いつも通り世間話をした
うん。ぱっと見たところ、協賛はアディレ商業連盟でしょ?
一部の店がいかにも行商人や輸送部隊らしい風貌だからね
彼は「多様性のある」花屋を指差した。そこには、生花や盆栽、プリザーブドフラワーが置かれている
彼らは特定の決まった場所で原材料を手に入れて、職人へ加工依頼をするんだ。営業中の店はだいたいそうで、品種は多くてもどれも同じ原料から作られてるんだよ
うん。ただ、花は必需品ではないから、交換できる物資も少なかった。小さい頃は、夜の廃墟で野バラを探したこともあるよ。あの時は商人の心しかなかったからね
アディレの特産品?
アディレ出身のはずの青年は、大量の塩を食べる奇特な者を見るかのように、困惑の色を示した
自分が手に持っているさまを見て、ノアンはほっと安堵した
茶葉かな?
袋の音でね……それに少し茶葉の香りも
旅の行商人のほとんどは、そんなに誠実じゃない。ボンヤリしてると価値のない物を掴まされることもある……見抜くのも必要なスキルのひとつなんだ
ノアンはそう言いながら装飾品店の前で止まった
……この店はなかなかよさそうだ
彼はうつむいてカウンターに並ぶ装飾品をじっくりと眺めた。どれを贈り物にするか真剣に考えているようだ
そう、それなら……
彼は、廃棄されたらしき歯車を磨いて彫刻を施した、金属の栞を手に取った
うーん……
彼はもう一度店内の商品をじっくり見たあと、ひと組のピアスを手に取った
これはどうかな?
せっかくの機会だから、新しいことを試そうかと……でも君がそう言うなら、やっぱり栞にしようかな?
構造体だよ、そんな心配が必要かな?
なるほどね、それほど心配なら……君が手伝ってくれる?