抑揚のある心地よい音楽が休憩室から流れてくる。耳を澄ませて聴いてみると、それはドリーヴのワルツ「シルヴィア」だった
部屋の中に入ると、目の前に見慣れた姿が現れた――バレエを踊っているバンビナータだ
バンビナータが優雅に体をくねらせている。薄いブルーと純白のスカートが動きに合わせて風に乗る
彼女は完全にバレエに没頭しているようで、近付く足音にまったく気付いていない
し、指揮官!
バンビナータは突然踊るのをやめ、やや緊張して小柄な体を翻した
指揮官のお邪魔をしてしまいましたか?バンビナータはここで音楽を聴いていて……
休憩室で流れる曲に、つい体が動いてしまって……
ここの近くで迷子になってしまったので、ご主人様を待っています
バンビナータは、指揮官を怒らせてしまいましたか?
指揮官、ありがとうございます
えっ、指揮官の前で踊ってもいいのですか?
……指揮官のご命令なら、バンビナータは従います
では、始めます
バンビナータは軽やかにつま先を立て、まるで蕾を膨らませていく花のように、腕を外に伸ばした
両足は床の上で滑らかに動き、ひとつひとつの動作に力と美が兼ね備わっている
七夕?バンビナータは、七夕の意味を知りません
データベースを調べる許可をください
なるほど、そういう祝日でしたか
指揮官の仰った意味は……
いえ、バンビナータが何か誤解しているのかもしれません
えっ?それは……
これは、オルゴールですか!
バンビナータは……こんな素敵なものがもらえるとは思っていませんでした
ありがとうございます、指揮官。このプレゼントは、大切な宝物として保管します
はい、踊ります。指揮官のご命令さえあれば……
いつだって指揮官のために踊ります
バンビナータは「好き」の意味がまだよくわかりません。ただ、バレエには親しみを感じています
指揮官が喜んでくれるのなら、きっと……バンビナータも好きです