賑やかな通りを歩いていると、視線の中に見慣れた姿が飛び込んできた
よし、ここも問題なし。次!
あれっ!?
指揮官!
こちらの姿を見つけ、真剣だった蒲牢の表情がパッと明るくなった
巡回です!危険が潜んでいないか確認しています。人々を守るのが私の責務ですから
ぜーんぜん!誰かの笑顔を見ることで、私も元気いっぱいになれるんです
蒲牢の視線をたどって辺りを見ると、行き交う人々の顔には幸せな笑顔が溢れていた
この時代に、このような美しい光景は本当に珍しい
当然です!私たちチビっ子は、いえ、我らお子様同盟はすごいんですから!
そうそう!
指揮官も色々体験したんでしょう。どうでした?改善点とかありますか?
ふっふーん、でしょうね~
えっ?
蒲牢は急に緊張した面持ちになった
蒲牢は目をパチパチさせた。緊張していた表情が次第に和らぎ、彼女は両手を胸の前で組んで、口を尖らせてみせた
もう!いつもいつもそうやって、指揮官は蒲牢を脅かしますね!
それは……
うぐ……確かに、指揮官の言う通りかも。じゃあ、どんな感じか知るためにも体験してみましょうか
指揮官、一緒に来てくれますか?
……
巧果!
巧芽麺!
チャーシューまん!!
小柄な体が、食べ物の香りにつられてピョンピョン跳ね、気付かぬ内に腰元に下げた飾りがチャラチャラと音を立てている
指揮官!早く!これ、見てくださいよ!
少女の笑顔は、いつもよりずっと楽しそうだ
名目上は実地体験だが、いざ始めると予想通りとても楽しんでいる
こちらの計画成功の笑みに気がついた蒲牢は、少し考えてハッと理解したようで、少しだけ気恥ずかしそうになった
蒲牢は普段、真面目にお仕事してるんですからね!
ただ今日は指揮官が一緒だから、不思議といつもより楽しくて、つい……
あっ、指揮官を責めてるんじゃありませんから!
本当ですか?指揮官も楽しいなら、最高ですね!
後で指揮官に話そうと思ってたことがあるんです
指揮官、目を瞑ってくれますか?
じゃじゃーん!
目を開けると、蒲牢は彦星の衣装を着たパンダのぬいぐるみを両手で手渡してきた
去年、織姫の衣装のパンダぬいぐるみをくれましたよね?今回、指揮官に贈るこの子とで、ペアなんですよ!
あの時は、サプライズのブラインドボックスを渡す約束をしましたけど、ボックスにはプレゼントをひとつしか入れられないんです。蒲牢はたくさん贈りたい物があるし……
だから、いい方法を思いついたんです!
今日、指揮官に贈るプレゼントの中に、ひとつだけ特別なプレゼントがあります。他のものは普通の七夕のプレゼント
どれが特別かはわからないから、これもある意味ブラインドボックスですよね!
じゃあ、これがひとつ目。指揮官、早く受け取ってください。まだまだ残りがありますよ!