……七夕のプレゼント……七夕って?
うん、九龍出身の人を何人も知っているし、彼らから七夕の伝説も聞いたことがある。でも、お祝いの行事をしたことはなかったな
ありがとう、まさか七夕にプレゼントを贈る風習があるとは知らなくて。何か返礼を用意しておくべきだった
ノアンが頷きながら箱から取り出したのは、半分赤く、半分青い……リンゴだった
ちょっと待って、なんでリンゴが?それにこの色……し、白雪姫?
構造体は食べる必要がないから……でもせっかくのプレゼントだし、他の誰かにあげるのも悪いよね……じゃあ、物語のように半分こにしようか?
ええと、物語では赤い方が毒入りだから……「毒入り」の方をもらうよ
彼はリンゴを半分に割って、青い実の方を渡してきた
ノアンから受け取ったリンゴに齧りついた途端、レモンのような酸味が口の中で炸裂した――これは同好会が「悪役」を罰するために作ったものなのだろうか?
酸っぱい?……そんなことあるかな?……じゃ、こっちのと交換しよう
彼は申し訳なさそうに持っていた半分の実を差し出し、こちらのリンゴと交換した
これならどうかな?
ノアンがじっと見つめる中で、赤いリンゴを齧ってみた。今度は、普通の甘い味だ
そう、それならよかった
彼は安堵したように、酸味が強い方のリンゴを顔色ひとつ変えずに齧った
確かにちょっと酸っぱいけど、食べられなくはないよ。僕は昔、こういうのばかり食べていたし、せっかくのプレゼントを無駄にしたくはないしね
彼は微笑みながら、ポケットから稲穂が入った小さなガラス瓶を取り出した
そう、これはヒエ、稲に似たイヌビエっていう植物の穂なんだ。稲ほど栄養はないのに養分をたくさん吸ってしまう。実験畑に生えたら根絶すべき有害植物なんだよ
でもこの1株はたまたま引き抜かれずに、大きく育ったんだ
よかったら、リンゴのお返しにこれを。値がつくものじゃないけど……ちょうど持っていたから
ノアンは微笑みながらガラス瓶を手に乗せるとこう言った
これを……身に着けていてくれないかな?
これを……身に着けていてくれないかな?