これは……これは!!!!!!
国王だけではない。その場にいる全ての者が驚愕のあまり動きを止め、ただただ光を見つめた
秘宝と魔王は一体化して、太陽のごとく眩しい球体になったかと思うと、奇妙な平面へと変化した。まるで……伝送ゲートのようだ
そしてゲートから、見知った人影が姿を現した
ふう……実体化するのは本当に久しぶりだわ
本物の……セリカさんだ……
秘宝はリーフの召喚に答え、魔王をセリカに変えた
ここでセリカを召喚したことが、何の役に立つんだ……
リーが皆の心中を代弁する。秘宝は強大かもしれないが、セリカはどうなんだ
もしリーフの意識海から抽出された投影にすぎないのなら……あまり期待できませんね……
勇者たちよ……ようやく女神を召喚したというのに、女神の力を疑っているんですか!?別に見た目がセリカなだけですからね!
ちょっと待ってください。まさか何も知らないのに女神セリカの名を呼んだんですか?
魔王は私の一部となりました。だって、私は肉体を持たない女神ですから、ちょっとお借りしてるんです
は……覇王……ああああああああ!
覇王と呼ばないでって言ってるでしょ!
リーの次に反応したのは国王だった。目の前にいるのが何者なのか、よくよくわかっているらしい
だが、国王は何かを言い終わる前に女神の飛び蹴りを食らい、壁に激突した
なるほど……実力のほどは十分なようです。とにかく、女神でもセリカでも構いませんが、私たちに力を貸していただけませんか?
それはもちろんです。勇者の召喚に応えたんですもの、私はあなたたちの味方です
じゃあ早速、あの国王をやっつけてくれ!
いえ。国王をやっつけるのはあなたたちです、勇者よ
女神はシステム上のゲームの管理者なんです。できることは多いですが、ゲームに存在するものを殺すことだけは絶対にできません
私は妨害くらいしかできないんです……先ほどの蹴りも国王にダメージを与えていません。気づきませんでした?
え~……じゃあ、俺たちがしてきたことは全部無駄だったってこと?
無駄なことはありませんよ。先ほども言いましたが、国王をやっつけるのはあなたたちです。私が女神の名の下に、最新のミッションを与えます
セリカがポーズを決めると、耳もとで奇妙なシステム音が鳴った。そして、自動的にミッション画面が表示された
ミッション更新:悪い国王に勝利する
ミッションが変わったぞ……おい、まさかこれって……
そうだ。国王を殺すことができなかったのは、システムがそういう設定だったからだ。だが、今ようやく「国王を倒す」というミッションを得た
ミッションはクリア前提のもの。つまり、国王は不死身ではなくなったということ
……うっ、こんなところで……やられてなるものか!
風向きが変わったことを察知した国王は、魔王城の奥深くに逃走した。入れ替わりに大量の衛兵が突撃してくる
了解です。総員、突撃開始!