急いで祭壇に駆けつける。そこにいたのは、疲労で跪いた状態のリーフと、完成した秘宝を拾い上げた国王――
まさか、ここまでくる余力が残っていたとは。だが遅かったようだな……
我はたった今、女神の秘宝を手に入れたのだ!
なんてことだ!秘宝が合体してしまったではないか!
国王の手中の秘宝は、虹色に輝いている。「女神」と呼ばれるにふさわしい暖かな光……
あなたの目的は無事達成されたようですけど、私たちが勝つためにはどうすべきかおわかりかしら?
わかっておる。今すぐに完全形態の我に生まれ変わろう。そしてシステムを利用し、我に助力したパーティーに勝利をもたらそうぞ!
秘宝はより一層輝きを放つ。すると、国王の姿かたちが徐々に崩れ、中から新たな身体が登場した
おおおおおおお!これぞ……これぞ、秘宝の力。力が流れ込んでくるのを感じる!
振動とともに誕生した新たな機体は、もはや人の形をなしていない
それは、巨大な球体だ。各所に火力装置とミサイルを搭載しており、中央に据えられたモニター装置が不気味に赤く点滅している……
だが、何よりも大きな変化は、システム画面で国王のHPゲージを確認できるようになったことだ
見るがいい!これこそが力を得た者の真の無敵躯体!
ええ、ライオットですね
ふん。ただのライオットではないぞ?我こそは――キングライオット、だ!
……知能も更に低下したようです
この!!フザけた勇者どもが!!!!
指揮官の言う通りだ。HPゲージを持ってるボスが現れたってことは、今まさにボス戦の時ってことだ!
では、行きましょう
貴様ら!!!!!我は眼中にないってか!?!?!?
……ふん。せいぜい好き勝手いうがいい。まずは、システムの力で貴様らをだな……女神の秘宝よ!
ぐッ!何ごと!?
国王は女神の秘宝を使って何かしようとしたようだが、何も起こらない代わりに重い一撃を食らったようだ
オイ!図体がでかくなっただけならまだしも、音量くらい制御しろよ!うるせぇんだよ!!
それはカレニーナの砲撃だった。カレニーナはとっくに拘束から解放されており、後ろにリーフをかばっている
なんだ!?ヴィラに拘束されていたはずでは!?
いつまでも拘束しているとは言ってないわよ
ひゃーっ!!
続けて、国王の頭頂部に幾度も攻撃が当たり、秘宝が転げ落ちる。落ちた秘宝はカムによって拾われた
どういうことだ!?何をしている!?
指揮官、私たちも動きましょう
え、え、一斉攻撃!?
ええ、最後の作戦はリーフなしでは実現できません
見ればわかるでしょう?あなたって本当に間抜けなのね……
たとえゲームだろうが、何者かの指示通りに行動するというのは不快だ。特にアイツは自分が全てをコントロールできると思い上がっていた。まるで黒野のようにな
私はそれほど嫌いってわけでもないけれど。バカな上司とはさっさとサヨナラするに限るわ
おいいいいいいいいいい!一体どういうことだ!?!?
お前、本当にバカなんだな……つまりお前は、ヴィラとカムに一杯食わされたんだよ
オレたちは皆、お前のHPゲージが出るのを待っていただけだ
何だと!?
総員、出撃!