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All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
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伝説の執行者‐24

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魔王、お怪我はありませんか?

うむ、問題ない。感謝しているぞ、我らの聖女よ

聖女、というのはちょっと……恥ずかしいですし。直接「リーフ」と呼んでくださいませんか?

聖女は聖女。魔王は呼称の変更を拒否する

はぁ

衛兵から逃げ出したリーフと自称魔王は、再び旅に出た

あの……すみません、あなたは本当に魔王なんでしょうか?私、魔王というのは全身真っ黒の巨人みたいなイメージでした……

以前のわしはそうだった。だが、勇者に敗れたのち、生き長らえるためにかように落ちぶれてしまったのじゃ

出会い頭にわしのことを「異重合体」とかなんとか言ったな?

はい。見た目がほぼ同じだったので……

聖女がそう言うのであれば、おそらくそうなのだろう。所詮わしらの世界は、現実世界の投影にすぎぬ

リーフはゲームのスタート地点で魔王と出会った。そして当初こそ驚いたものの、魔王の話を聞いた結果、この世界を助けることにしたのだ

魔王いわく、現在の国王に突如としてバグが発生した。そのバグにより、国王はここがゲームの世界にすぎず、自身も娯楽のために創られたAIにすぎないと「自覚」してしまった

そして国王はクレイジーな行動を開始した

国王の具体的な計画はわからんが、おそらくこの世界を一旦削除したうえで作り直し……ゲームの中の神として君臨するつもりだろう

削除……そんなことをしたら、今この世界で生活している人たちはどうなってしまうんでしょう?

無論、一片のデータも残らんだろう。もともとこのゲームソフトは大した容量がないのだ。新しい世界を作るのに、古いデータを残す余地などないであろう

……皆、消えてしまうんですね。自分がNPCだとも知らないのに……

誰もがこの世界を現実だと思って生きておる……少々不合理的な存在であったとしても

……国王はバグによって自分が「ゲームキャラクター」であることを自覚したというなら、魔王のあなたはなぜそれをわかっているんですか?

わしにもバグが出とる

本来であれば、勇者たちがクロロになったアレを再度討伐してゲームを終わらせるはずだった。だが、勇者たちがここを離れるのが早すぎたのだ

全ては不完全だった。そしてある日突然リセットされ、新たな勇者、つまりお主らがやってきた

魔王はそういったエラーの積み重ねによって、もうひとつのバグと成り果てたのだ

これだけは言っておく。わしは世界を支配する気など毛頭ない。以前はプログラムの設定に基づいて人間を滅ぼし恐れられたが、今のわしは愛と平和のために生まれた魔王なのだ!

は、はは……

見た目異重合体の魔王が大真面目に愛と平和を語る様子に、リーフは乾いた笑いを返すことしかできなかった。魔王は少し不満そうだ

ゴホン。敵は封鎖線を縮めることで我らの行動を制限するつもりのようだが、我らが向かうべき場所は始めからただひとつ――

最後の魔将、カルナの城。まだ秘宝をとられていない魔将は、おそらくカルナだけ

ただひとつでも秘宝を得れば、わしの力は補強され、戦うこともできるようになる