Story Reader / 幕間シナリオ / 瑕無き者 / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
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隊長

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カムイ

た……

隊長

隊長、隊長!

あっ……

長く入り組んだ思考の迷路からクロムを引っ張り出したのは、またしてもカムイだった。目の前には、今回の任務地が広がっている

今回の任務の主目的は、侵蝕体を自動生成するこのエリアの制圧だ。ストライクホークは他小隊とともにエリアCに入り、敵個体の誘導及び包囲を担う

(「他小隊」というのは……実際のところ……)

隊長、何回目っすかぁ?任務内容ならもう耳にタコができるほど聞きましたよぉ

そうだったか?

輸送機で、ずーーーっと繰り返してたじゃん。「もし何かあったら、すぐに撤退しろ。あとは私が処理する」でしょ?

……そんなこと言ったのか?……だが……

俺は言うこと聞くつもり、ありませんからね

……他の隊員はどうした?なぜ信号が皆、エリア外にあるんだ?

スミスのお飾りなんて、もう十分じゃないですか

お前……

クロムは、カムイが全てを知ったことを悟った。いつの間に知られたのかは、さっぱりわからないが

一瞬にして身のうちから湧き出たものは、焦りでも、敵意でもない。これが何なのかは、クロムにもわからない。いまだかつて経験したことのない「看破された」という感覚――

どうするつもりだ?

いや、別に……

カムイの声が段々低くなっていく。

俺はただ、隊長のあの浮かない顔が嫌なんです。あれを止めさせたい

浮かない顔?

ええっと……五官全部シワだらけ、みたいな、しっぶい顔ですよ。自覚ないんですか?

——!——!

あ、敵が動き始めたな。ちょっくら行ってきますね!

言うが速いか、カムイはクロムの許可を待つことなく、侵蝕体に向かって走っていく。そして、武器を構えたかと思うと、思い出したように振り返った

スミス隊長!まだスミスじゃないのかもだけど、俺はスミス隊長って呼びますよ!そこで俺の戦勝報告を待っててくださいね~!

……

戦闘が始まったな。クロム、支援部隊をそちらへ向かわせた。速やかに撤退するように

そうしたら、スミスになれますか?

それにはまず、私が登り詰めなければな。もちろん、お前も「スミス」の役目を十二分に果たしている。理想のスミスになれる日も近いだろう。わかったら急いで撤退しろ

私は、スミスになりたいのでしょうか……

うん?

いや、違う。そうでしょう、スミス……いいえ、お父様

私はスミスになりたいのではない。スミスになる必要があるだけだ……

同じことではないのかな?

いいえ。私はずっとあなたの意思に従って行動してきた。スミスを目標とするのも、そうしなければならなかったからだ

私の行動は、全てあなたの意思によるもの……

それが、お前というものが存在し続けることの代償ではないか。何を今更……

……私は、私の意思を取り戻したい

「肉体という殻を捨てた時、人間に残るもの」

私に残されたもの……それがクロムだ!ランストンでもなく、スミスでもない!

クロムはこれより先行隊員と合流します。そして、最後の1秒まで陣地を守り抜く!