Story Reader / シークレット / 16 永夜の胎動 / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.

舞台裏

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私はここに記す:

アジールの駅より5km離れた場所で、異重合コアの破片を回収した

過去に回収した破片に比べ、この破片は強烈な活性を示しており、他の破片を統合できる能力がある

異重合コアを除去した空中庭園の4隊目の小隊を排除し、私はかなりの数の破片を集めた

私が「驚いた」のは、破片を統合したあと、他では見られない特質が表れたことだ

実験中に分離した流動的な赤い混濁液は、異重合コアの現場で発見した物質の性質とほぼ同じだ

液は互いを飲み込み、衝突し、進化する

異重合コアは液の流れの中で絶えず形を変え、分解する。その中から通常の侵蝕体とは異なる信号パターンを感知した

その感覚をまだ定義できないが、この鼓動はかつて解体されかけた時に私が感じたものと似ている

この赤い沼の中で私は昇格ネットワークの未来を見た

そのために私は自分の持てる力を捧げることに決めた

プリア森林公園跡作戦の1週間前――

ある旅人が都市の廃墟を歩いていた

目の前に広がる街はすでに住む者が変わっていた。何体かの異合生物が廃墟を彷徨い、時々うごめいては不思議な鳴き声を上げている

荒涼と混沌、それが今のこの星のありさまだ。そびえ立つ摩天楼は鉄でできた枯木のジャングルとなり、その影で生霊が生を求めてあがいている

旅人の足音をたどって近づいてきた異合生物は、濁った音とともに旅人に引き裂かれてしまった

ガブリエルが残した不良品が、ここまで来たとは

旅人はゆっくりと鎖剣をしまい、遠くにある建物の影を見た

影の下では数人が身を縮めながら体を寄せ合い、焚火の横に座って粗末な道具で料理をしている

我々の「役者」が揃ったな

では、少し準備をするとしようか

これが、最後の公演だ

もう一度歓迎の意を表しますよ、ロラン

挨拶は遠慮しておくよ

自分の体の変化を感じたロランは拳をぎゅっと握り、あざ笑うような笑顔を見せた

その謎の力に包まれても、純白の代行者に与えられた力は消えなかった。その微かな力をたどるとルナの存在を感じる。彼女は今、この世界のどこかにきっといる

あの謎の「慈悲者」は彼の体を再構築する時、ルナとの細い繋がりを抹消しなかった。しかし、目の前のこの謎の代行者はそれが気になるようだ

これで十分でしょうか?

ご存知でしょうが、私が他人に昇格者の権限を与えること自体が珍しいんですよ。同じ目標でも私とルナは選定の仕方が違いますからね

しかし、私は力を分けることを惜しんだりしません。堂々と注文をつけてくる以上、私を最大限に利用する腹だと思いましてね。今の「お試し」みたいな状態ではなくね

厚意には感謝するよ。でもこの程度で十分かな。何せ、私の頭は切れるんでね。そっちに頼るよ

そう、それで十分だ。彼は制御できず、自分の身を滅ぼすような大きな力など欲していない。あの微かな繋がりが残っていれば、彼の最終目的は達成できるかもしれない

じっと時期を待つことに彼は慣れていた

わかりました

フォン·ネガットは眉を上げ、ゆっくりと拍手をした

忠実な「ナイト」に敬意の拍手を。「キング」との繋がりを、決して断ちきろうとしない

常識外れの行動をする部下を見て、うんざりしてるのかい?

いえいえ、そんなことはありませんよ

まさに私があなたに感心している点なのです、ロラン。あなたは執着はしているが愚かではない

ロランは鼻で笑った

お互い、お世辞はここまでにしよう。本題に入ろう

そうだな……私に何をさせたい?このボロボロの体を修復していた時、君たちは空中庭園といい芝居をしたそうじゃないか

上演に参加できなくて本当に残念だよ

私は「実験品」の場所を隠すつもりはなかったのです。空中庭園があれほど速く見つけたことは、少し心外でしたが

私のことを彼らに知られるのは時期尚早と思っていたのですよ。ですが、なにぶん空中庭園が鋭かったので

ですがそのお陰で、私は素質のある「種」を見つけられましたしね

何か愉快なことを思い出したのか、フォン·ネガットの目に笑みの色が浮かんだ

これらの新発見に比べれば「実験品」をひとつ失うことは、大した問題じゃありません

「厄介な敵が増えた」ことを、そんな優雅に表現するとは恐れいったよ

空中庭園のあの小隊たちは……いろんな意味で厄介な相手だ

いかなる対立も、永遠ではない

また、永遠の盟友も存在しない

あなたも私も利益を追求しようとしているだけ。でしょう?

私の手が触れられる全てのものは、私にとってのチャンスと成りえるんです

いずれにせよ、私から彼らが最も必要としているものを提供すれば、いずれ彼らは私の提案を検討することになるでしょう

「実験品」が壊されたから、より強力な実験品2号を作るとか?

前の「仲間」も同じ轍を踏んだ……彼は失敗したよ

確かに本当に重要な「母体」はここにはありません。ハイジがすでにその状況を見に行っていますがね

異合生物の孵化について、ガブリエルは間違いなく先駆者です

私たちはただ彼の未完の研究を受け継ぎ、それをもとにより多くの可能性を模索しているにすぎません

赤潮と異合生物の出現は、昇格ネットワークの進化にとって重要な一歩です。しかし「集噛体」は異重合コアの進化の限界を示しています

あれらの生物は生存本能しか持たず、知恵もなく、決断もできない

あんなもの、侵蝕されて理性を奪われた不良品と何が違うのです?より強い戦闘力を持つとはいえ、あれではただの操り人形ですよ

あんな生物とともに新世界へは歩めませんね

ガブリエルの失敗の主な原因は、彼がひたすら力を求めて成功を急いだからです。パニシングの意志を完全に無視した

「母体」は……道を踏み外したガブリエルに対する——心優しい指摘みたいなものです

「母体」こそパニシングの意志の結晶であり、人を惹きつける可能性を持っていると私は思っています

あれの未来が、楽しみですよ

というと、「母体」から何が生まれるかを君は知らないのか?

君みたいな人はきっと全てをコントロールしたがると思ったんだけど

我々はまだお互いをよく知らないようですね

私たちにできるのは「母体」の孵化を見届け、パニシングの真の意志を受容することだけです

……少しそれを早める必要がありますが

早める?

その前に、ひとつお見せしたいものがあります

あなたはまだ完全な「母体」をご覧になっていないはず――