Story Reader / シークレット / 15 ラストスパーク / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
<

15-2 愚鈍

>

最近、あのお猿さんはどうしてる?

主任、彼女の名前はラミアよ

体調はいいようで、島のスタッフたちは皆あの子が好きなの

好き?何を言ってるの?

そのままの意味で。皆彼女が大好き、すごく「面白い」子よ。暇つぶしにでも見に行けば?

私に「暇」はないわ。あなたたちもそうでしょう……でもそこまで言われたら、一体何が「面白い」のか、ちょっと見てみたくなったけれど

――医療部の一角

ラストリアスがラミアを見つけた時、その子どもはコーヒーカップで、今にも倒れそうなタワーを積み上げていた

ダンボールの壁にもたれていたラストリアスが手を伸ばし、上の数個のコーヒーカップをどけてやると、揺れ動くタワーはバランスを取り戻した

ラミアはラストリアスを見上げ、不満げな顔を見せた

ラストリアスがコーヒーカップを彼女に返すと、小さなラミアは喜んでそれを受け取り、破顔した

ラストリアスはメモを取りこう書いた――

カップを取り上げる――ネガティブ感情

カップを与える――ポジティブ感情

感情変化の閾値は狭く、小さな刺激だけで感情の切り替えが可能

幼児と成人の感情論理は非常に差がある――面白い

――数カ月後

主任、ここへ来られるのは久しぶりですね

そう?

前回は、ラミアはまだしゃべれませんでしたが、今は簡単な言葉を話せるようになりましたよ

ラストリアスはラミアをちらりと見た

私の名前は、ラストリアス

ラミアはコーヒーカップで遊ぶのをやめて、不思議そうな顔で目の前の女性を見た

私は、ラストリアス

何かを理解したように、ラミアは自分を指さして、とぎれとぎれに話した

わたし、ラミア

彼は?

おじちゃん

これは?

カップ

ここは?

ラミアは戸惑いながら頭を振った

アトランティス

あと――らんます

ア·ト·ラ·ン·ティ·ス

しゃどら――てぃつ

ラストリアスは首を振りながら、メモに書き留めた

聴力――正常。声帯――正常。言語能力――遅延

ラストリアスはため息をついた

愚かな人間の子

――医療部の一室

ここは病室だが、医療部長は特別にここをラミアの個室に変えた

調剤台を机に改造し、点滴用の椅子を置いた。しかしどちらも小さなラミアにとっては高すぎる。椅子に座ると、ラミアの機械義肢は宙ぶらりんだ

机の上の紙には簡単な数式が描いてある

今回、ラミアに会いに来たのはデータ部の部長だ

こんにちは

彼女は他のスタッフを真似て、腰を曲げてお辞儀をした

やあ

データ部の部長は適当に返事をして、隣にいるラストリアスを見た

確かに知能も低そうで、本当に猿みたいですね

私の感想と同じね、安心した

最近、数学を勉強しているみたい

進展はどうなんです?

さあ

では、私がテストしてみましょう

以下の定義を構築せよ――足し算はふたつあるいはそれ以上の数字を足し、ひとつの数字にする行為だ。それと同じ言葉で、掛け算を定義せよ

ラミアは怯えた目で目の前の男を見つめ、洋服の裾をぎゅっとつかみながら、おそるおそる答えた

な……なんて言ったのかわかんない

では問題を変えよう。囲いに鶏とウサギがいる。全部合わせて、頭が35個、足は94本。では問題、鶏とウサギはそれぞれ何匹いる?

ご……ごめんなさい、その問題、わかんなくて、わたし……

データ部の部長は振り返ってラストリアスを見た

彼女はアトランティスの平均IQ値を下げましたね

こんな頭の悪い生き物を見たことがない

ラストリアスはマスクの下で、忍び笑いをした

私の判断と同じ判断ね、光栄だわ

彼女は自分のメモに書き留めた

理解力――低い

反応速度――鈍い