よし、準備完了だ
一番大きいサイズの女物を根こそぎ持ってきた……あとはマーレイからの連絡を待つのみ
ですね
そういえば、お前……よくマーレイにリーのことを訊かなかったな?らしくないじゃないか
そりゃあ、興味はありますけど、俺にだって多少の分別はあるんですよ
まあ多分、あのマーレイが……リーの「戦う理由」ってやつだ
日頃からそうあってほしいものだがな……。では、お前の「戦う理由」はなんだ?バンジに聞かれても誤魔化しているようだが……
そのまま誤魔化されといてくださいよ。それについては、アイツの方がよっぽど発言権があるし……
あいつ……カムのことか?
シーッ、アイツを起こしちゃダメです……!
クロムが「カム」の二文字を口にした瞬間、カムイは慌てて口を塞ぐ手振りを見せた
……うーん、このまま座って待ってても仕方ないし、俺、先に着替えときましょうか?
思ったほど難しくなさそうだな……見たことがある類の衣服だ
これを、こうすんのか……?
動き回るな、まずはスカートの部分を頭からかぶれ
ま、待って隊長!逆元装置が引っかかってる、引っかかってるって!
……頭を上げればいいだろう。よし、腹筋を閉めろ。背中のファスナーを上げるぞ
痛っ!隊長、痛いって!背中の肉挟まってる!隊長~~~!
これが一番大きいサイズなんだ。我慢しろ
はぁ……はぁ……
………………
うずたかく積まれた衣服の山、その上でぐったりと横たわるストライクホークのふたり――通信を繋いだマーレイの眼前に、惨状が広がった
えっ、えっ、何してるの?
着替えだ……戦闘を遥かに凌駕する難易度だ……
殺人事件の現場と見紛うような惨状に、マーレイは内心そっと手を合わせつつ、準備した資料をクロムに送信した
とにかく、ここからは僕が引き受けるよ。僕の指示通りにカムイの着替えとメイクを進めてもらえるかな?
了解です……カムイ、早く立て
俺もう、嫌になっちゃったよ……
ふふ、今にまた乗り気になるから……楽しみにしててよ、カムイ……
え……?