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All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
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再会·下

うっ――!

天地は苛烈な戦いに色を失い、万物は崩れかけた法則に引き裂かれたあとに再び形を得ながら、それでも終わらぬ戦いは続いていた

かつて天を支えていた黄金の楼閣は銃火の中で崩れ落ち、聖堂の威厳と荘厳はもはや影も形もない。しかしそれらが遺した法は、今もこの世界を縛り続けている

ネイティアは胸元から流血しながら、四騎士とグレイレイヴンによって「主神残躯」が安置されていた玉座の縁へと追いやられた。だが彼女は諦めず、座下の者へ怒声を放つ

私の方法が完璧じゃないって……私自身が一番わかっているわ。でも、あなたたちも知っているはず!これが唯一、現状を打破する道であることを!

気に入るかどうかで私の計画を否定する、それこそ焦土の辺境全体を泥沼に沈める行為よ……

この大陸には正義を司る英雄なんか必要ない。必要なのはただ1度きりの、徹底した改革よ!

あなたたちだって、かつての悲劇で心も体も傷だらけになったはずなのに、なぜ……

そう言いながら長い階段を登り、四騎士も自分に続いた

誤解しないでくださいね?私は「憎しみを手放しなさい」なんて言いませんから

ただ、自分の復讐に他人の命を使うなんて、いささか不格好ですわね?

リリスはカードをネイティアの背後にある崩れた聖座へと鋭く投げた。鋭い鉄片が彼女の頬を掠め、ひと束の長い髪を切り落とす

もう十分でしょ?グレイレイヴン。彼女がこの執念に囚われたのは、あなたのせいでもある。だから、終わらせるのはあなたがやって頂戴

不毛な言い争いに飽きたヴィラは双頭槍を地面に突き立てると、自らの血の契約者に指示を出した

グレイレイヴン、あなたの心に従えばいい

向かってくる敵のことは、我々に任せろ

……7345――おやすみ、ネイティア

バンジはランプを掲げながら、1歩、また1歩と、聖座の下で惨めな姿を晒す暗黒の魔君へと近付いていく

無理よ、そんなのできるはずがないわ。私は生まれてから1度も夢を見たことがないのよ……

ネイティア……君は、夢の中で本当の自分自身に出会うだろう

彼の声は静かで凛としていて、決して逆らえない威厳が宿っていた

バンジ

おやすみ

その言葉が告げられると、彼女の体はまるで蜘蛛の糸から放たれた蝶のように、深い夢の世界へと落ちていった

そよ風が野を渡り、耳元に風鈴の音が鳴る

瑠璃色の空の彼方に、金色の光が煌めいている。まるで世界全体が、夜明け前の夢の中に迷い込んだかのようだった

少女は目を開けた。春の気配に包まれたその平原でそっと身を起こし、咲き乱れる花と甘やかな香りを胸に抱いた

ようやく……たどり着いたのね……この夢に……

ネイティア

長かった……本当に、長い旅だった

彼女はこの夢にたどり着くために、幾多の苦しみと試練に耐え続けてきた

ネイティア

ごめんなさい。ここに来るために、私はあまりにもたくさん、取り返しのつかないことを……

ネイティアはそっと顔を上げ、夢の空を呆然と見つめた

ネイティア

言い訳はしない。でも、もしこの試練の果てに、あなたたちと再会できるこの楽園にたどり着けたなら……

私は「悪魔」に堕ちたことを後悔しないわ

だが今この瞬間、全ての苦難が終わった

彼女はようやく大鎌を手放し、ただひとりの純粋で優しい少女に戻ることができるのだ

ネイティアは花の海へと歩き出した。かつて夢の中ですら出会えなかった「誰か」を探すために

ここがかつて夢で見たあの風景なら、きっと彼らとこの平原で出会えるはず――

全ての善き魂がたどり着き、英雄たちが再び巡り会う伝説の地、水仙郷

刹那の瞬きの間に、全てが色を変えた

清らかで香り高い平原は腐臭を放つ死の大地に変わり、腕に抱いた花々も、気付けば全て枯れていた

腐った茎から血のような液が滲み、咲き切った花は突然破裂し、悪臭漂う汁が顔を濡らす。それは、どこか見覚えのある過去の情景を思い起こさせた

異様な声に導かれるまま振り返ると、見覚えのある影が遠くに立っていた

これこそが、あなたの夢。かつて自分が何をしてきたのか、忘れたの?

血に飢え、目的のためなら全てを捧げる……それが、あなたの本性でしょう?

違う、私は、そんな……

久しぶりに対面するもうひとりの「自分」を前に、彼女は思わず1歩後ずさった

全部忘れたの?なら、私が思い出させてあげる

幼い「自分」が微笑んで手を掲げると、世界は瞬く間に反転し、無理やり別の方向へと「捻じ曲げ」られた

ま、待ってくれ!俺はあいつらとは違う!

む、無理やりやらされたんだ!本当は、お前の母親だって殺したくなかった!でも、お、脅されて……言うことを聞かないと、俺の娘を殺すって!

……他人を傷つけるチャンスを与えてはならない……だっけ?

大事な教訓を学べてよかった……ちゃんと守らないと

――ぎゃあああああ!!!

どうして……?

どうして、あの子に手を下したの!?

絶対に許さない。地獄に堕ちようとも、私はあなたたちの魂を未来永劫、斬り続ける――

この三界のどこにも、あなたたちが安らげる場所はない!!!

彼女は「第三者」の視点から、初めて完全に自分自身を「観る」ことができた

あの時、自分の顔に浮かんでいたのは、満足した微笑みだった――

それは哀しみではなく、運命の不条理に抗えると気付いてしまったがゆえの、殺戮に溺れる者の笑みだった

自分は、そのことに今まで気付いていなかったのだ

他人の真似をすれば、自分も本当の「人間」になれると思ったの?

幼い「ネイティア」がひと足ごとに近付いてくる。過去に自分が編み上げてきた全ての言い訳は、もうひとりの「自分」の前に霧のように消えていった

残念だけど、あなたはここに永遠に留まった方がいいわ

あなたは所詮、悪魔なの。人類を救うなんて綺麗事は全部、偽善的な快楽のためにすぎない

いいことを教えてあげる。そうね……あの「血の契約者」を殺せば、四騎士もいなくなり、全ての問題は消えるわよ

そんなことは許さない!

許さない?

幼い少女のスカートが血生臭い風に揺れる。血の色に染められた世界の中で、少女は「真摯」な笑みを浮かべた

ネイティア、私は「あなた」よ。どうして、自分の魂の本質を否定しようとするの?

ネイティアが深い眠りについたのを確認したあと、「疫」の導きに従って、彼女の夢の中へと足を踏み入れた

闇に包まれた道を光のないままただひたすらに進み続ける自分自分に、やがて微かな光が差し込んできた

「黒い虚空」の外へ出ると、懐かしくも、どこか異質な城の中央に立っていた

しかしそれは、記憶の中の「鉄逝」と対峙した光景とは違っていた。もっと古びていて、なぜか懐かしさを強く覚えた

グレイレイヴン……鋼鉄軍団の統帥

顔を上げると、少女の姿が映った。彼女は窓辺にふわりと浮かび、漂うように宙に佇みながら、眠る「自分」を羨望の眼差しで見つめていた

もし私が……あなたみたいな「人間」になれたら……

私も、あの景色を夢に見ることができる?

少女は手を上げ、指をガラス窓に当てながら呟いた

あなたのような「人間」に、なってみせる

遠くからこの光景を静かに見守り続けたあと、まるで夢から突然覚めたように、全てが結びついた

グレイレイヴン。その質問の答えは、あなた自身で見つけて

一体何がひとりの「悪魔」の魂を変え、「善き者」になろうと思わせたのか。その答えは、あなたに委ねる

グレイレイヴン、やめて。お願い、お願いだから……

今やっとわかった。この世界で、決して失ってはならないのは、あなたのような「人間」……

それとも……

あなたはこう考えているの?また以前のように自分さえ犠牲になれば、この世界がよくなると?

その通り、ずいぶん時間はかかったが、ようやくネイティアの魂の「本質」を見抜いたな

夢の果てで、真っ黒なワタリガラスが城壁の上に止まり、城の中央に立つこちらを眼光鋭く見下ろしていた

その声も語り口も、よく知るあの使い魔のモリガンだった。しかし、その態度にどこか得体の知れぬ違和感があった――

戸惑いながらそう問いかけた

ワシはモリガンだが、あんたが知ってるあのモリガンではない

ワタリガラスはそう言って首を振った。こんなに冷静なモリガンを見るのは初めてだった

ワシはネイティアが過去に出会った「悪魔の領主のモリガン」だ。彼女の記憶にだけ宿る虚像で、外の世界には存在しない

ただこの夢の中では、ワシは何でもできる

なぜだ?もう見ただろう。あの娘は生まれながらの悪魔だ。力と殺戮で全てを征服する道しか知らない

かつてあの娘はあんたを真似して「善き者」になろうとした。でも、あんたが死んだ時に、その言動と心に大きな溝ができ、今もそれを埋められないでいる

人間であるあんたには、永遠に彼女の傍にいて、彼女の道を照らしてやることはできないんだぞ

グレイレイヴン、所詮あんたは彼女の執念が呼び起こした「過去の亡霊」にすぎない

ふん……

本当の意味で今まであんたあんたと関わったことはないが、確かにネイティアの目に映る「あんた」とそっくりだな

ワシに答えを期待するな。そういう気色悪いセリフは大嫌いだ

モリガンは翼を広げるとこちらの肩に舞い降りた。それは聖堂残庭に来て以来、久しぶりに彼と肩を並べる感覚を思い出した瞬間だった

無駄話はここまでだ。ネイティアのところまで送ってやる。後は自分ひとりで何とかするんだな

ワシは忙しいんだ。この不安定な夢が崩れないのは、誰のお陰だと思ってる

ワタリガラスはこちらに一瞥をくれたが、そこに責めるような響きはなかった。むしろ少しだけ懐かしさが滲んでいたように感じられた

ああ、そうそう。行く前に、どうしても言っておきたいことがある

その言葉が終わると同時に、目の前に突然黒い渦のような穴が開いた。その中からは強烈な重力が漏れ出し、夢全体を吸い込もうとしている

あのな――

戸惑っているこちらを、ワタリガラスの翼が弾き飛ばした

今度ワシの頭をつついたら、後悔する羽目になるからな!

短くて長い「墜落」の最中、ずっとネイティアの「記憶」の中で漂っていた

自分自分は見た――聖堂の兵士が、両手に返り血を浴びた少女を無理やり母親の腕から引き離し、そのまま裁きの庭へと連行していくのを

自分自分は見た――自ら胸を張って生きる権利を勝ち取るため、歓声の中で「魔女」の冠を戴く少女の姿を

自分自分は見た――朽ちた花畑に座って亡骸を抱きしめながら、その復活を願い、ついに同胞の魂を喰らい「悪魔の領主」となる少女の決意を

そして墜落の果てに、再びあの花の海へと戻ってきた

血に濡れた水仙が汚れた大地で揺れている。風は死の匂いを運び、枯れた花びらが舞う

ネイティアは穢れた水仙郷の中で跪き、その頭を垂れていた。足下には、顔の判別もつかないひとつの亡骸が横たわっている

その遺体が誰なのかを知る術はなかった。けれど、その身に纏う見慣れた衣服を目にした時、全てが繋がった

グレイレイヴン……

彼女は虚ろな目で顔を上げ、花の海の向こうから歩いてくるこちらを呆然と見つめた

「彼女」の言ったことは正しかった

私は、力で物事を解決する術しか知らなかった

「彼女」が私の意識を乗っ取り、あなたたちを殺すと言った瞬間、思考より体が先に動いた……

気付いた時には、すでに、この手は血に染まっていたの……

花をかき分けながらゆっくりと血に濡れた少女に歩み寄り、その目をまっすぐ見つめた。長い時を超え、ついにその答えを告げるために

何のために?

そう告げてネイティアの前に立ち、そっと手を差し出した

……

彼女が目を閉じると、無数の可能性が視界を駆け巡った。彼女はこの大陸に訪れるあらゆる「未来」を見た

その全てを見た上で理解した。その未来を手にするためには、計り知れない「絶望」をも呑み込まねばならないということを

死の王&枢機主神の残留思念

これら全てを手放すことができるのか?

神々の魂の残留思念が、耳元でノイズとなって囁き続けた

死の王&枢機主神の残留思念

ネイティア。これこそ、お前が成し遂げられる最上の結末だ

この機会を逃せば、また過去に戻り、あの何もできない自分に戻るだけだ

耳を覆うような囁きが、彼女の中に微かに灯った希望の光を再び呑み込もうとしたその時――

再度目を開けると、彼女の視界にはあの懐かしい青空が広がっていた

あの人が目の前に立ち、声を枯らして必死に叫んでいる

強く照りつける白昼の光が、彼女にあの記憶を蘇らせる。幼かった頃、野原に寝転びながら見た「美しい夢」

今回も、儚い白昼夢にすぎないのか?それとも、今こそ自分が掴み取ろうとしている真の未来なのだろうか?

彼女にはわからない。けれど、胸に刺すような痛みは、あまりにも痛烈だった

私は……

本当はずっと知っていた。わざわざ問い直す必要など、最初からなかったのだ

そのたったひとつの目的のために、彼女は長く、遠回りをし続けてきた

そして今、体の内側から湧き上がる温かな力に包まれながら、彼女は、その人の方へと手を差し出した

ならば、変えましょう――

あなたが選んだ未来へ、私を連れていって、グレイレイヴン

それから数年後、焦土の辺境の人々は「永遠の白昼」を終わらせたあの長い夜を「破暁前夜」と呼ぶようになった

その長いに、まるで皆が終わりのない夢の中に閉じ込められたようだった。けれど翌朝、淡い陽光が空を割いたその瞬間、人々は驚嘆とともに歓声を上げた――

淡い金色の太陽が彼方の地平線に姿を現した。それはただの夜明けではない、30年ぶりの奇跡だった

人々は涙を流して泣き崩れ、互いにその喜びを伝え合った。誰もが、これは至高の御方が大いなる慈悲を示し、この大地に憐れみを与え給うた奇跡なのだと信じて疑わなかった

だがすぐに、人々は気付いた。「永遠の白昼」とともに消えたのは、暗黒の魔君ネイティア、そして聖堂の天使と地獄の悪魔たちであることに

枢機主神と死の王の権能を手にした魔女は、神格を得たのち、数百数千の星門を開き、天使と悪魔を宇宙の彼方へと送った

そして星門が閉ざされた時、聖堂残庭にいた人影は全て消えていた

大陸中に名を馳せ、多くの苦難を救ってきたあのグレイレイヴンと黙示録の四騎士でさえ、跡形もなく姿を消していた

「グレイレイヴンと四騎士は人々の苦しみを終わらせるために己を犠牲にし、魔君ネイティアとともに姿を消した」――そんな噂が焦土の辺境に広まった

マッチはいかがですか、とてもお得ですよ!旦那様、奥様、マッチはいかがですか?

時が経ち、ある雪の夜。ひとりの少女が街角にうずくまり、小さな声で必死にマッチを売っていた

人々は皆、足早に通りすぎていった。街角に少女がいることに気付く者はほとんどなく、彼女の消え入りそうな呼び声に、耳を傾ける者はひとりもいない

マッチはいかが……もう、やめた。お家に帰ろ……

少女はため息とともに白い吐息を手に吹きかけ、凍えた指先を擦り合わせた

突然、目の前に人影が現れた。少女が見上げると、灰黒のフードをかぶった人が立っていた

その顔はフードの影に隠れてはっきり見えなかった。鼻筋に白い雪がうっすら積もっていたが、それを拭おうとする様子はない

久しぶりに戻っても、相変わらずつまらない町ね

天使たちが消えたら全てが丸く収まってハッピーエンド……なんて思っていませんよね?

焦っても仕方がない。我々がやるべきことは山ほどある

ふわぁぁ……今日はすごい雪だね。このマッチは僕が全部買うから、早く家に帰って

フードの人物に連れられた一団は、てんでばらばらに話した。反応する間もなく、少女にはマモン貨幣が詰まった重い袋が手渡され、全てのマッチをドクター風の男性が持ち去った

あ、あの、これは多すぎます……

最後尾を歩いていたフードの人物が、ふと振り返り、少女に微笑みかけた

先を行く4人は、依然としてしゃべり続けていた

あの本殿と星門が一緒に落ちた場所……今は「聖堂残庭」って呼ばれてるんですって?

そう。急げば、雪が道を覆い尽くす前にたどり着ける

あんなにバラバラになってしまうものでしょうか?あの時、少し手加減すればよかったかしら

グレ……いや、指揮官。道中で準備するものは?

そうか

雪はますます激しくなり、彼らの声は次第に白い雪の中へと吸い込まれ、ついには聞こえなくなった

彼らを率いたのはひとりの英雄……そして4人の騎士は……

最後は、世界を滅ぼそうとしていた魔君とともに姿を消した……

まさかね。あれは、お伽話なんだし

少女は小さく首を振り、頭の中に渦巻く英雄たちの物語をそっと押し込めた。そして、家路へと1歩を踏み出した

人間は1輪の清らかな水仙の花を、瓦礫で作られた「墓碑」に供え、「聖座」に積もった白い雪をそっと拭った

聖堂の本殿が崩壊して生まれたこの「墓場」は、人々に忌み嫌われていた。あの魔君ネイティアが、いつか地の底から蘇るのではないかと恐れられているからだ

か弱くも気高い水仙は風雪の中でしっかりと咲き、氷晶に揺れても、折れることはなかった

……グレイレイヴン。あの女――ネイティアって本当にいなくなったと思う?

ヴィラは壁にもたれながら、こちらを見ていた

あの遠くから伝わってくる、温かく微かな鼓動。間違えるはずがない

でもあの時、彼女の胸を撃ち抜いたでしょう?そして彼女は「主神」と「死の王」の権能を代償として、聖堂の全ての星門を開いたわ

あの時点で、彼女にはもう力がほとんど残っていなかったはず……

夢からネイティアを連れ出したあと、彼女はすぐに気付いた。自分に残された力では、法則を完全に再構築することはできないと

彼女が無理やり「混乱」させた三界を救うための唯一の方法は、全ての天使と悪魔をこの焦土の辺境から追い払うことだった

……そんな顔をしないで、ちょっと旅に出るだけだから

彼女は全ての力を集め、その手を解き、ひとりで宇宙の彼方に繋がる「星門」の向こうへと歩き出した

本当はね、この「心臓」をあなたに返すつもりだった。でも……ひとりで行くのって、やっぱりちょっと寂しいじゃない?

ネイティアの姿は「星門」の奥から溢れる白い光に呑まれている。光に包まれながら、彼女は水仙の花のように輝く笑顔を見せた

だから……また会う日まで、あなたの「心」をもう少しだけ預からせて

次こそ、運命よりも早く私を見つけてね

真実は誰にもわからない……もしかしたら彼女は今もこの世界のどこかにいるのかもしれない。単に、あの姿で我々に会いたくないだけかもな

ワタナベの言葉に、深い思索から現実に引き戻された。焦点の合わなかった視線が、再び目の前の水仙へと注がれる

疑問はまだ残る。でも、心の中に迷いはない

ヴィラは静かに笑い、壁を離れて歩き出した

リリスが日傘を広げ、その後に続いていく

バンジはランプを掲げ、皆の進む道を照らす

では、行こう

言葉はもう要らなかった。僅かな休息ののち、彼らはまた歩き始めた。それは、彼らに与えられた、長く険しい反逆の旅路

茨が覆うその道を、彼らは止まることなく進み続ける

なぜならそれは、彼らが冥土を捨てて、この世に留まって貫こうとする「使命」だから

この世界には神も天使ももういない。けれど、心からの祝福を……安らかな清き夜を

微かながら、優しく耳に届いた祈りの声がして振り向いた。しかし、雪原には誰の姿もなかった

しばらく、何もないその雪景色をただ黙って見つめていた

どうしたの?ぼうっとしてたら凍死するわよ?

その言葉に、4人の騎士は視線を交わし、誰ともなくそっと頷いた