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All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
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期待の終着点·上

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アハハハ!なんてザマなのかしら。結局天使長とやらも、より高位の力の前には跪くしかないのね!

「マモン」は鋭く尖った傘の先端をラファエルの胸元に突き立て、何度もその肉体を貫いた。かつてこの天使から受けた屈辱の仕返しに、安らかな死など与える気は毛頭なかった

ラファエルの金色の紋様が次第に色褪せてゆく。何度も抉られ、再生を繰り返す胸の穴。肋骨の奥に隠された「核」も明滅を始め、彼女の力はすでに尽きかけていた

……やめなさい……これ以上、侮辱しないで……!

瀕死の天使は最後の力を振り絞って「加害者」の手を掴んだが、その手はすぐに膝から突き出た骨に貫かれた

……侮辱?この程度で侮辱ですって?笑わせないで!

かつて優雅で礼儀正しかった淑女は、もはや礼節の仮面をかなぐり捨て、剥き出しの憎悪を吐き出した

私が味わった苦しみの、たった10分の1を返しただけですよ?それすらも耐えられないなんて……

天使長サマは、ずいぶんと甘やかされて育ったのね!ああ、なんて哀れ!

ぐあぁぁぁ――!

「マモン」が傘の先端を力任せに「核」に捻じ込むと、天使の体内で骨を裂く音が響き、ラファエル夫人はついに断末魔の悲鳴を上げた

……これで復讐したつもり?人間って、つくづくくだらない動機で動くのね!

血にまみれた口元で、意識が途切れる寸前まで最後の憎しみを絞り出した

私はあの時、あなたに新たな町で静かに暮らす機会を与えた。それなのに、あなたは何度も聖堂に牙を剥いた。くだらない欲望のために、自分の魂を何度も賭けに差し出して

私は確かに不正をしたわ。けれど私でなくとも、遅かれ早かれ誰かがあなたを処理したはずよ

あなたは目障りで、利己的すぎた……あなたが選んだ道は、最初から自滅する運命だったのよ。自分の破滅を他人のせいにしないで

あなたの王位は長くは続かないわ。この無帰城もいずれ崩壊する!

もうしゃべらないで。ただ素直に負けを認めるだけでいいのよ

聖堂カジノで殺されたあの日から、その行き場のなかった怨念と屈辱が、ついにこの瞬間に解き放たれた

私は証明したわ。最後に勝つのは私。欲望も野心も、全てを手に入れるに値する者……

ラファエル、あなたは野良犬のように野垂れ死ねばいい

もはや情など介在しない。このやりとりに興味を失った「マモン」は、手を伸ばして「核」を引き抜き、そのまま握り潰した

淡い金色のガラスのような心臓は、彼女の手の中で砕け、地面に散らばった。ラファエルの残骸もろとも光の粒と化して風に消えた

天使長は静かに、永遠にその命を閉じた。圧倒的な力の前に、ただ煙となって消えた

背後で見守っていた人間と、玉座の上で目を覚ましたワタリガラスは、この光景の全てを目に焼きつけていた

その狂気と強さを併せ持つ姿に、人間はただひと言、問いかけた

どれでも構いません。もはや名前なんてどうでもいいでしょう

彼女は握り潰した手の形を保ったまま、人間の方へゆっくりと振り返った。その姿は無言のまま、自身の手中にある力を誇示しているようだった

もはや、偽りの仮面など必要ない。今の彼女は、口にした嘘からも逃げる必要はなかった

グレイレイヴン……あなたはこれまでで唯一、私を裏切らなかった存在。だから、私はあなたに償いたいのです

ここに残って、一緒に無帰城で過ごしましょう?ここは、あなたの欲望を全て満たしてくれる。尽きることのない富が、あなたに捧げられる……

裏切りと陰謀ばかりの外の世界より、よほどいいと思いません?

ああ……その約束は最初から無理な話です

彼女が指差したのは、崩れかけた玉座に鎮座する白骨。前任マモンはとうの昔に滅びていたが、黄金の法則だけは今もなお、静かに全世界の富をこの宝庫へと吸い寄せていた

黄金の法則に縛られし者として、歴代のマモンは生涯この無帰城から離れられません。ここで法則の中心を担わねばならないのです

私はここで、ずっと城主を務めることになります。少なくとも、次のマモンが現れるまでは

その間……あなたも一緒にいてほしいのです。この富をともに味わい、満ち足りた欲望を味わいましょう

罠だ!こんな狭い場所に一生閉じ込められるなんて、牢獄と変わらねぇぞ!

モリガンが先に声を上げ、ルールの虚構を暴いた

閉じ込められる?牢獄?別に構いません。だって私の「飢え」は、この王冠で満たされたのですから

彼女は閉鎖的な巨大な瓶に閉じ込められた城を見渡した。入り組んで見えた回廊も、玉座に立つと、全てが一望できる構造にすぎなかった

無帰城のあらゆる場所で煉獄の炉が絶えず燃え続け、炎の中から金色に輝くマモン貨幣が吐き出されている

それらは黄金の法則に従って循環し、地上の全ての財布に流れ込む。歴代の黄金の王たちは、この法則によって焦土の辺境の経済を支配してきたのだ

彼女は、これからの人生に一抹の寂しさを感じてはいた。だがそれ以上に、ついに安息の居場所を得たという満足感が心に満ちていた

かつての私は外の世界で騙され、追われてきました。でも、ここは違う……全てが私の掌中にある

私が満足できるのなら……ここに留まるのは、悪くない選択だと思いませんか?

「変わらない」……?じゃあ、あなたと私との違いは?

玉座の側に立ち、彼女は静かに振り返る。問いを投げかけたその人間をまっすぐ見つめた

実はずっと、あなたの欲望を「覗いて」みたいと思っていたんです

彼女が手の平を掲げると、人間とワタリガラスの体が形なき力に引き上げられ、高く宙に吊り上げられた

その足下に褐色の丸い小さな穴が現れた。それはすぐに人間が通れるほどの大きさに広がり、まるで血を湛えた口のように、ひとりと1羽を迎えようとしていた

黄金の王は指を動かして無限幻境の入口を開くと、ゆっくりと玉座に腰を下ろした

あなたのように正直で誠実で、人のために行動することを優先する人は……

「束縛」という皮が剝がされた時、どんな姿を見せてくれるのかしら?

彼女の顔に、もう嘘の微笑みはなかった。ただ静かな表情だけがそこにある

その一瞬、人間はかつて「リリス」や「飢の騎士」と呼ばれた存在の本質に触れた気がした

巧みに繕われた嘘で彩られた善意。微かだが、確かにその存在を感じ取った

まるで雪の下に深く埋もれた火種のように、密やかで、でも確かに熱く、触れたその瞬間にはもう蒸発してしまうようなもの

だが、人間がそれを深く考える暇もなく、彼女は容赦なく血の契約者とワタリガラスを無限幻境の穴へと突き落とした

さあ、あなたの全てを私に見せて

……包み隠さずに、ね?

彼女は、ゆっくりと両手を閉じた

パンッ――

人間はワタリガラスを抱えながら、果てしない闇の中へ落ちていった

その黒い穴はまるでウサギの巣穴のように細く長く、いくつもの輪廻を転げ落ちる感覚の果てに、ようやく底の縁へと激突した

強く打ったためか、痛む頭を押さえながら疲れ切った体を無理に起こすと、そこに広がっていたのは想像を遥かに超えた広大な空間だった

何列にも並ぶ環状の構造物が、標識のように荒野に点在している。内部には人が暮らすための設備など一切なく、音もなく、秩序もなく存在していた

それ以外には何もない。風も雨も植物も、生き物の声すらも存在しない

まるで、あらゆる自然の法則から切り離された、独自の理を持つ世界のようだった

カァ!あの恩知らずめ!あれだけ助けてやったのに、最後にはこの仕打ちか!

モリガンはいつも通り文句を言い始めた。この静寂に包まれた世界では、その声が刺さるように響く

人間はしばらく周囲を探索してみたが、構造物の中には何の痕跡もなく、それが何のためのあるのかすらわからない。この世界は外来者に対して一切の秘密を明かそうとしなかった

試しに壁を叩いてみても粉塵は落ちず、反響すら返ってこない。その構造自体が変化を拒絶しているかのようだった

??

お客さんだ、珍しいね。「無限幻境」に来たばかり?

返ってきたのは、妙に癖のある声だった。振り返ると、空中にぼんやりと浮かぶ黒い影が見えた

おお、ちゃんと顔があるじゃないか。これは大ニュース!本当に珍しいお客さんだ。すぐに「マモン」に知らせないと!

人間の顔をじっと見たその影は、不気味な興奮を露わにし、声のトーンが高くなった

ここ?ここは俺が作った「輪廻の墓場」さ。ああいうのを並べたらどう見えるか試してみたくてね

影は肩をすくめながら答えた

そうとも。もしかして、ここのルールを知らずに入ってきたのか?

影は一瞬動きを止めたあと、鋭く甲高い笑い声を上げた

ハハハハハッ!こりゃ傑作だ、ビッグニュースだ!皆に知らせないと!世紀のビッグニュースだ!

その声は静寂の空気を裂いて環状の構造物に反響し、やがて混沌とした共鳴音へと変わっていった

笑い終えると、彼はその異様な笑みの理由を口にし始めた

友よ、教えてやろう。これは君の人生で一度きりの輝きだ。二度とない奇跡、至高の御方からの慈悲なんだよ

ようこそ「無限幻境」へ。ここは君が願えば、なんでも叶う楽園だ――マリア様を蘇らせること以外はな