Story Reader / 叙事余録 / ER07 雲郷に潜む影 / Story

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ER07-4 墓隧

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焼けるように熱い真鍮製の薬莢が車内の床に散らばり、鋼鉄でできたマシンガンの銃身が青みがかった赤い光を放つ

侵蝕された機械体との戦闘で、この新しい機体の絶対的な実力は証明された。だがそれは同時に、新しく知り合った仲間たちに疑念を抱かせた

……さっき見せてもらったが、見事な腕前だな、お嬢さん

それにしても、生身で侵蝕体と戦ってなお余裕があるとはな。俺が率いていた一番優秀な兵士ですら無理だったのに

いつの間にか、数名の生き残った兵士たちは徐々に含英から離れ、微妙な包囲態勢をとっていた

……

俺は不器用なんだ、もってまわったような言い方はできない。そこは勘弁してくれ

レンズの下に、鷹のように獰猛な老兵の眼差しがあった

あんた、一体何者だ?

他の兵士たちも戦闘態勢と同レベルの警戒をしている。彼らが持つ銃器は、どれもセーフティ機能が外されていた

目の前の兵士たちは天航都市に接触する唯一のチャンスだったが、またもや一瞬の出来事で、コミュニケーションの難度が跳ね上がってしまった

含英は利害を考慮し、どう対処すべきか慎重に考えた

……私の立場と戦闘力は、対立する理由にはならないはずです

フン

老兵は冷たく笑った

いずれにせよ、私が九龍人なのは事実……

あんたが九龍から来たってことは誰も疑っちゃいない……だが、本当に九龍の「人」か?

……

彼女は誤魔化しが得意ではない。更に、自分の正体を嘘で包み隠すことにも慣れていなかった

「構造体」とかいう、ケンタウロスみたいな半人半獣のやつらなら見たことがある。だが、あんな鉄の塊に人間を詰め込んで……

それで、本当にまだ人間と呼べるか?

あんたは一見人間のようだが、もしあんたもその類いのものなら……

あなたたちに危害を加えるつもりはありません

含英は手に持っていた銃を安全な場所に置くと、一歩後ろに下がり、危害を加えるつもりがないことを示した

彼らの機械体に対する敵意を感じ取った時から、彼女はこんな状況を予想していた

機械体に対する偏見は、当然ながら血肉で構成されない構造体にも向けられる。そうだとしても、彼女はこの目の前の人間たちに敵対的な態度を取りたくはなかった

ポケットの中のチョコレートに、まだ人間の少女の体温が残っている。含英は唇をギュッと引き結び、もう一度話してみることにした

森の中は非常に危険です。これ以上、ここで時間を無駄にするつもりですか?

私は確かに人間ではありません。でも、私の戦闘力はあなたたちのお役に立つはずです……

そいつは大きなお世話ってものだ

老兵が兵士たちを下がらせて質問を続けようとした時、装着した無線機からノイズ混じりの途切れがちな音声が聞こえ、彼は一時的に目の前の事態を棚上げした

……こちら輸送部隊。突発的な状況が発生している……そっちの進捗はどうだ?

待ち伏せの攻撃地点に到着したか?発砲はするな。繰り返す、発砲はするな

相手は、何か老兵を驚かせる内容を言ったのだろう。含英の鋭敏な聴覚システムが「城主」「大勢の機械体」という言葉を捉えた

……了解、すぐに向かう

彼が含英を包囲していた兵士たちに手で合図を送ると、彼らは再び輸送車両の傍らに戻った

悪いがあんたが構造体であれ、理解できない何かの新技術であれ、俺たちは危険を冒せない

あんたの実力なら、ここからの離脱はそう難しくないだろう……次に会う時はこんなに平和裏にはいかないかもしれん

彼は睨みつけたまま警戒を続け、全ての兵士が車両へ戻ってから、ゆっくりと車に乗り込んだ

天航都市で……一体何が起こっているの?

彼女は、兵士たちのあいまいな態度の裏に、更に危険な残忍さが隠れていることを感じた

だが、あの爆発の後……ツノ頭の指揮で機械体たちは前任の科学研究主任を「処刑」した。ツノ頭は裏切り者を城主に任命し、乗っ取ったんだ

つまり?つまりあの機械体たちは、24時間稼働する自分たちに合わせるよう要求して人間を苦しめ、労働時間の対価として生活必需品と交換させているんだ

老人や子供だろうが容赦しない。労働時間を満たせない者は飢え死にするしかないんだ

最後に相手にしなきゃならんのが、自分たちの街の機械体だなんて、誰が想像できる……

一体どんな……「事件」が起きたの?

どんな事件が、人間と機械の関係をこれほど悪化させたのだろう?

エンジン音が響き、車両はそのまま真っ直ぐに走り出した。車両が見えなくなるまで、黒い銃口は彼女に向けられたままだった

兵士たちは、密林の中に浅く埋葬した遺体と彼女を残して去っていった

たった今……彼らが仲間ときちんと別れを惜しむ間もなく、急いで去らざるを得ない突発的な「状況」とは何だったのか?

彼女はあの年若い遺体をきちんと埋め終えると、顔を上げて兵士たちが去った方向を見た

それほど遠くない場所に、街の輪郭が見えている。あそこには……もっとたくさんの答えがあるのだろう

何が起こったにせよ、彼女はあそこへ行き、セルバンテスの言う「鍵」を探して、「未来」を手に入れなければならない