ノクティスが去ったあと、突如として町中に警報が響き渡り、収穫祭の後の夜の静けさを破った
21号の頭部の逆元装置が勢いよくピンと立ち上がり、彼女は目を細めて外へと続く道を見つめた
何かが……こっちへ来る
町の中央から、ある人影が泡を食った様子で慌てて駆け寄ってきた
おい、町長!?あんたらまだここにいたのかよ!すぐに避難しろ!異合生物がクソみたいな多さでここへ向かってきてやがる!
デモンは計画実行は3日後だと……
警報を聞いた多くの住民が町の中央広場に続々と集まり、どうするのかと問うようにして町長を取り囲んだ
町長ぉ……!異合生物が何匹か、もう町の中に入っちまったよ。【規制音!】、しかも放火されて、あちこち燃えちまってて……麦畑も……
マックスは首を振った。押し寄せる異合生物と燃える町、彼にももう止める手立てはない
しかし町長として、彼は皆の安全を守る義務がある
この町が……無傷で生き残るのはもう無理だ。皆、空中庭園のこいつらと一緒に避難しろ
マックスは自分を支えるヴァンから離れた
お前らは色んなところから、それぞれの理由でここに集まって、「公平」と「中立」を信じてここで暮らし、働いてた
お前らにゃこの町への借りなんてない。この町のため、避けられねえ災難のために戦う必要なんかない……だから今すぐ逃げろ
マックスの話を聞いた住民たちは、逃げるどころか大笑いし始めた
はああ、町長?収穫祭で酔っ払ってんのか?何、バカなことを言ってんだよ
そうだ!【規制音!】、俺らもなめられたもんだ
町長さん!ここはあんただけの場所じゃない、私らの家で、私らの居場所。この老いぼれはここに骨を埋めるってとっくに決めてたんだよ
俺らはチンピラでごろつきでお尋ねモンだった。でも、ここは俺らを受け入れてくれたろ。じゃあ、俺らだってどこにもいかねえよ!
ただの異合生物じゃないか!追っ払ってやる!
ガガァ!!
皆……
思わず笑い出したマックスは、ヴァンの肩を叩いた
ガハハハッ……命知らずのバカどもめ。いいぜ、じゃあ思いっきり暴れよう!収穫祭を盛り上げてくれ!
おうっ――!
いつの間にか皆はさまざまな武器を手にしていた。酒場のマスターは蓄音機を手にしている――確かにこれだけ見ると、お祭りのような雰囲気だ
野郎ども、このイベントの音頭はバーテン指揮官に任せるぜ。文句ねえな?
まあ、こんなザコの寄せ集めでも、あなたが指揮するなら余裕で勝利ね。そうよね?
そうねえ、あと粛清部隊も……21号、ゲストを「ご招待」して。勝ちたかったら怠けるなってね!
21号、了解!
ヴィラは支えてくれるような素振りで近寄ると、耳元で囁いてきた
ノクティスのやつには、「毒」では死なないって言ったけど……
あらそう。本当にわかってるならいいけど
皆、気張れ!!!!来るぞ!!!!