マックス……
風に揺れる麦畑の中に立っている少女は、マックスが永遠に忘れられない最愛の人だった
迎えに……来てくれたのか……?俺は……
ここが人生の終点なら……俺の人生も悪くなかったようだな
少女は麦畑よりも輝いている笑みを浮かべて、ゆっくりと口を開いた
【規制音】
夢の中で何度となく見てきた少女が中指を突き立てたことで、マックスは固まってしまった
オ、オークレイ……?
バッカじゃない?言ったわよね……死んだら何もなくなるの!私はあなたの記憶の中のただの幻覚よ!
ああ……そうだよな……オークレイは死んだんだ。生き返るわけが……
でも、あなたはまだ生きてる……でしょう?
オークレイはマックスの胸にそっと手を置き、その鼓動を確かめた
ねえ、このオークレイが愛した男は、そんな簡単に死ぬようなヤワな男だったかしら?
マックスはオークレイの手を握ろうとしたが、感じたのは自分の鼓動だけだった
ぼさっとしないで!あなたの息子と若い人たちが戦ってるのよ!
ああ……そうだ、そうだな。まだ別れを告げる時じゃない
でもこれ以上パカパカ葉巻を吸うなら、私たち、もうすぐ会えるかもね
マックスはオークレイにいたずらっぽく笑いながら頷くと、くるりと背を向けて麦畑を後にした
はは……耳が痛いな……じゃあもう少しの間、あいつらを手伝ってやることにするか
オークレイは黙ったまま、マックスの背後でゆっくりと消えていった
ゲホッ……ゲホッ……
マックスはカッと目を見開くと、喉に溜まっていた血を吐き出した
おい!!!!町長のオッサン、まだ生きてたか!?
大声出すな……やられたのは肩だ……耳じゃない
慌ただしい足音が響く。マックスが意識を取り戻したことに気付いたヴァンが駆け寄ってきた
お、親父!!!
拳銃を放り出し、ヴァンはマックスの手をギュッと握りしめた。母親が亡くなって以来、これほど父親の側に来たのは初めてかもしれない
追いやられたノクティスは苦笑いをしながら安堵のため息をついた。もう心配する必要はなさそうだ
ヴァンよ……
何?
泣くなよ……お前の泣き顔はオークレイと同じで不細工だな。見ちゃおれん
うるさいっ……!
ヴァンの支えでなんとか立ち上がったマックスはノクティスに向き直った
ノクティス、助けてくれてありがとよ……
感謝の言葉はいい。相棒があんたらを助けろってよ。もし町長が死んだら、この町が危ないからって
こんな時ですら、あの指揮官は冷静に判断できるんだな……
でも相棒は今……危ない状況なんだ
あの人と話をさせてくれないか……
ノクティスは頷いて端末を取り出した。通信に問題はなかったが、ノクティスがどんなに呼びかけても、返事がない
相棒……おい……返事しろ!
依然として返事はなく、不安と焦燥感が増していく
「うっ……」
どうだ……大丈夫か?
端末からやっと聞き慣れた声が聞こえた。しかし次の瞬間――
「ぐあぁ……!!!」
――それは突如、凄惨な悲鳴へと変わった