Story Reader / 叙事余録 / ER05 撃ち伐る流砂 / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
<

ER05-11 収穫祭

>

おい、バーテン指揮官さん、いつものキンキンに冷えたお冷や!

こいつ、毎日毎日店に来て、氷水だけを頼むんだから……

マスターが用意した「祝日期間は無料のお冷やは提供しません」の札を、ドンとカウンターに置いた

えええ、クソ!そんなのあるかよ……

しょんぼりした彼の前に1杯の電解液疑似酒を置いた

えっと……こんなの頼んでないぜ?

ふおぉおお!あ、あんたはいいやつだと最初っから思ってたぜ!

(んん?空中庭園の【規制音!】とか呼んでなかったっけ?)

男はグビグビと電解液疑似酒を飲み干し、口元についた泡を拭き取ると口を開いた

ふんふん、情報だな。こないだ、町長の管理が気に喰わないチンピラ集団が、町から追い出されたんだ……やつらは今、町の外の酒の醸造工場にたむろってる

バカ言え……俺は町長を尊敬してるんだ!正直な、町長がいなきゃ俺も兄弟たちも飢え死にしてたんだぜ。あん時はな……

長話になりそうだったので、すぐに彼の話の腰を折った

おお、そうだそうだ!あいつら、お前らがこの町に来てから、急に派手に動き出したんだ……お前らが調べていたやつと関係があるのかもな

やつら、どっからか大量のゼニを集めて、収穫祭の前に食料をたんと買い漁ってやがった。一体何のためなのやら……

それに今日は収穫祭だ……やつらも今日、町に飛んでくるだろうよ。きっと何か企んでんだ

グラスを拭きながらこの情報について考えた

もしデモンと彼の手下がこの町に潜伏していて、何かを企んでいるなら……きっと収穫祭という一番混乱するタイミングを狙うだろう

だからこそ、彼を捕まえるチャンスだ……

ああ、全部聞いた。つまりあいつらは今日現れる可能性が高いってことだな?

ノクティスはじっくり考えるのは苦手だが、勘は鈍くない

よっしゃ、元粛清部隊の鋭すぎる「嗅覚」を見せてやるぜ、相棒!

んだよ、一時的でも今のアンタは指揮官じゃないし、俺も執行部隊の構造体じゃないだろうが。だから新しい呼び方の「相棒」がピッタリなんだよ

キキキ、だろ?

相棒……確かにぴったりの呼び方だ。指揮官と構造体の上下関係ではなく、互いを助け合うバディ、協力関係というわけだ

え?これ?収穫祭の露店で買った塗装だよ。こいつが選んだ

【規制音!】兄貴は【規制音!】パねぇよ!

その奇抜な外見は、祭りで仮装している人々の中なので、逆に目立たなくなっている

???

おい、ノクティス、何をしている!?

通信の向こうで誰かがノクティスを呼んだ

ちぇっ……うるさいやつだ。行ってくるぜ

やりたくないならとっとと失せるんだな……

は―ん?ガタガタぬかすな。言っとくが俺はお前の部下じゃねえ、俺の「仕事」をしてるだけだ

ノクティスは急に現れた異合生物を撃退したことで、町の警備を担当することになり、保安官のヴァンと一緒に行動している

お前はあの指揮官にしか従わないのか……それがお前ら空中庭園のルールなんだろ?

俺は誰の「命令」にも従わない。でも……相棒の「頼み」なら、話は別だ

ふたりがある老婦人の横を通った時、老婦人が強引に果物をノクティスの手にねじこんだ。ノクティスは親し気に挨拶を交わし、果物にかじりついた

ケッ……お前はどうなんだ?お前だってパパ町長に躾られてんじゃねえか

父親の話題になるとヴァンの顔は曇った。彼は心底嫌そうな顔でノクティスが持つ果物を睨んだ

あの人は関係ない。親父と会っても喧嘩をするだけだ……僕が保安官になってこの町を守ろうとしたのは……

しゃべりすぎたことに気付いたのか、ヴァンは途中で話をやめた

羨ましいねェ……喧嘩できる相手がいるなんて

ノクティスは果物をかじりながら、お菓子を買ってもらえず駄々をこねているひとりの子どもを見つめた

俺も昔、親父みたいな野郎と、よく喧嘩をする兄弟がいた。でも、どっちも俺の目の前で死んだがな……

親父がまだ生きている時にせいぜい話しとけ。それって楽しいぜ

ノクティスは笑ってヴァンの頭をポンと叩いたが、当のヴァンは嫌そうに彼の手を振り払った

じゃ、俺はこっちをパトロールすっから。また後でな……

ノクティスが去るのを見て、ヴァンは懐から空中庭園の汎用拳銃を取り出した

……

ヴァンは再び拳銃をしまい込むと、身を翻し、人の群れから離れた