Story Reader / 祝日シナリオ / 鳴神嘆妙 / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
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応変

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朝日が山々を黄金色に染め、本堂の屋根瓦を輝かせている。山奥に佇む僧院は、より一層荘厳な姿を見せていた

今日は一転して雲ひとつなく晴れ渡り、昨日の吹雪が嘘のようだった

人間の疲労は想像以上に蓄積されているようだ。眠っていても僅かに眉をひそめている。こんな風に休むのは久しぶりなのだろう

他人からの視線や重荷、要求、そして責任から完全に解放されればいいのに……

無意識に草むしろを掛けなおそうとしたが、左手に微細な電流が走り、思わず手を引っ込めた。行き場のなくなった想いが、胸で大きな鼓動を打った

ひと粒の細い雪が瓦の間をすり抜けて室内に落ちてきて、顔の上に滑り落ちて溶け、静かに消えた――ひと筋の輝く跡を残して

なぜこんな想いが湧いたのだろうか

前回、彼女の意識海とリンクしたせいだろうか?

今感じている喜び、悲しみ、切さ、そして虚しさも、全て自分自身のものだろうか?

何も知らない[player name]は、体内時計に従って目を覚ました。同じ場所で同じ姿勢で起きたことを確認して、ほっとした表情を見せた

タイミングを見計らって目を開けると、静かにこちらを見つめている人間と目が合った。その人は、一気に眠気が吹き飛ぶほど、間抜けな顔をしていた

あの少女にも見せてやりたい。彼女が絶対の信頼を寄せている人が、こんな顔をするのだと

無防備にぐっすり寝てたわね

その人は慌てて自らの体を上から下まで触って確認した。手や足、肝臓や腎臓がまだ残っていることがわかると、少し恥ずかしそうに座り直した

これ以上ここにいても弱るだけだ。ここを出なければ

……出発よ

わざと冷たい口調で言ったが、その人は気付かないまま、後を追ってきた

鈍すぎる

少し苛立ちながら、ようやく本堂へ続く門を見つけた。扉を開けた途端、大きな敵意が一気に集中するのを感じ、意識海が揺さぶられた

なんとか踏みとどまり、中に入ると、刀が鞘の中で震えた

敵が来るわ。覚悟はいい?

[player name]は頷き、馴染みのある電気信号が脳内を駆け巡った。まるで呼吸のように上下している