Story Reader / 祝日シナリオ / 運命のサプライズデー / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
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アイラと過ごす時間

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指揮官、やっと来た!今年のサプライズを受け取る準備はいいかしら?

午後3時、人工の天幕から差し込む日差しは信じられないほど明るい。アイラは両手を後ろに回し軽やかな足取りで、慌ただしく過ごしている自分のもとへと駆け寄ってきた

彼女は明らかに手の中に何かを隠している。その顔に浮かんだ天真爛漫な笑みもうわずった声も、彼女の小さな企みを隠しきれていなかった

うーん、そうね……一般的な場合は何ともいえないけど

私の特別プライベートレッスンを受けている指揮官なら、簡単に解決できるはずよ?

アイラが差し出すカードを受け取ろうと手を伸ばした。磁器のように白いカードの表は地味なものだ。ただ、「[player name]へ」と一行だけ書かれている

カードを裏返すと、油絵の具で緑と青を基調とした現代アートのスケッチらしきものが描かれていた。無造作なタッチで、近くから見ると何を描いたのかすら不明だ

ピンポン!正解よ、これは抽象画であり、パズルでもあるの

その通り!これはパズルの一部であり、全貌はまだお見せできないの

私はこのカードである場所を示唆してるのよ。そのヒントから目的地を見つけて、次のカードを見つけられるかはあなた次第ってわけ

そう!さすが指揮官ね。こんな簡単な説明でもゲームの形式を理解しちゃった。本当に頭の回転が早いわ

アイラは期待に満ちた笑みを浮かべて、パズルを受け取る対象をじっと見つめていた。まるで「早く解いてみせて」と無言で催促しているようだ

熱烈な期待を受けながらもう一度、お祝いのカードをこわごわ眺めた。ピンク髪の少女アーティストの期待に応えるべく、自分の能力を信じるしかない

え!?もうそんなに簡単に当てちゃったの?

指揮官には後5分くらい考えてもらうつもりだったのに。あっという間に正解しちゃったね。私のパズル、簡単すぎた?

そ、そうなの

この言葉が、彼女の心の柔らかい琴線に触れたらしい。アイラは少し照れたような表情を浮かべていた

だがすぐに、彼女はいつものようにぱっと明るく微笑んだ

それじゃあ、すぐに次!ヒントを受け取りに行きましょう!

ふたりは木の影が揺れる芝生の上で、無事に2枚目のカードを回収した

表には「[player name]へ」とあり、ひっくり返すとねじれた黄色のくねくねした線がいくつも描かれていた。それは巨大な正方形を形作っているようにも見える

ふふっ、どう?これは心血注いで考えたハイレベルな謎解きなの

もし難しかったら、アイラMCに助けを求めればいいわ。いつでもオーディエンスのヒントが手に入るわよ

え――なんでわかるの!?

アイラは、完全に予想外だったようだ。相当なショックを受けている

もう、指揮官ったら。せっかくあなたの誕生日クエストを企画したのに、そんなに余裕たっぷりに次々に解かれちゃったら、私……

私が考案した謎解きって、決してそんなに単純なものじゃないのよ!指揮官と私と、ふたりだけの思い出……

アイラの声が徐々に小さくなり、言い終わる前に彼女は首を横に振って自ら強引に中断した。そして普段イベントを主催する時のように、満面の営業スマイルを見せた

ゴホン!今のはナシ!さて、謎は解けました。急いで、次の目的地に向かいましょう

次は世界政府芸術協会の中で、3枚目のお祝いカードを回収した

苦労することもなく、4枚目のカードもアイラのアトリエで見つかった

最後のお祝いカードは、グレイレイヴンの控え室内にあると示されていた

ま、待って!指揮官、最後のお祝いカードなんだけど、私が自分の手であなたに渡したいの!

控え室に入るとアイラは突然、かなりの圧をかけてこちらの足を止めてきた。先ほどの明るい冷静さはどこへやら、悪だくみが大人にバレるのを恐れる小さな子供のようだ

アイラの迫力に圧倒され制止されてしまった身としては、手が届きそうだった勝利の果実を諦めるしかない

だって、このパズルの最後の1枚だから

まったく、指揮官も少しは女の子の気持ちを考えてよね!私が念入りに準備した誕生日祝いなんだから、最後の1枚くらい、自分から渡したいものでしょ?

彼女は顔を赤らめながら、こちらの手を取った。集めたお祝いカードを持ってきて、テーブルに一列に広げていく

その後グレイレイヴンの控え室に隠されていた最後のカードを取り出すと、空いていたスペースにそれを置いた

豪華なジグソーパズルに、欠けていた最後のピースがはまった。5枚の絵柄が組み合わさることで、完全な絵が姿を現した

そこに描かれたのは一見、何の特徴もない抽象的な絵柄に見える。しかしじっと見つめ続けていると、キャンバスを彩る色の下に隠された謎を見つけることができた

ビンゴ!これが最後の謎解きよ。いつもながら見事だったわ、本当におめでとう!

ふう、やっとひと息つけるわ。実はちょっと緊張してたんだ。全部の謎が解けていったのに、最後のひとつだけ解けなかったらどうしようって

幸運にも、私たちふたりの親密さが勝利のカギだったわね!

アイラは微笑み5枚のカードを集めて並べ直すと、改めてテーブルの向こう側からこちらに渡そうと手を伸ばしてきた

指揮官はスマートだし、どんな謎を隠しても簡単に見抜いちゃうけど、これだけはちゃんと目を見て伝えたいの。じゃないと……気持ちが伝わらないもの

少女の手に握られたカラフルなお祝いカード。それは彼女の明るく華やかな性格を象徴しているかのようだった

お誕生日おめでとう、あなたの毎日が色彩豊かでありますように、[player name]