Story Reader / 祝日シナリオ / 年越し列車の夜 / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
<

去りゆく年

>

学院駅に到着いたしました、お降りの方はお荷物を忘れずに降車の準備をお願いいたします

ドアがゆっくりと開いて列車から降りると、外にあったのは空中庭園の実際の「学院駅」ではなかった

これは……?

科学理事会、道順表示ではあちらですね

どうしてここに?

正式なツアーにはまだ何人かの乗客が必要なんですが、リーさんを例にしてツアーに関するルールをご説明しましょうか

僕を?

もちろん、皆さんの安全は保証します

それは保証と呼べるものなのか……

自分たちを列車から降ろしたにもかかわらず、機械体は列車のドアの内側で立ち止まり、少し離れたところで自分たちを見ていた

……いいえ、船長が船を捨てられないように、車掌は列車から離れることはできないのです

私はこれからも車内で皆様を見守っていますから

自分たちを安心させようとするかのように、車掌は手を振ってくれた

なんとなく……嫌な予感が

いえ、ただ正体不明の機械体にお使いをさせられるのがいささか不快なだけです

そうですね、それに常に監視されている感じがしますし

これは確かによくないですね……

皆は廊下に沿って少しずつ進んでいった。車掌に頼まれた任務がどうやって完了できるかはわからないが、今はとにかく一歩ずつ進むしかない

廊下に出て数分も待たないうちに、前方から微かな異音が聞こえてきた

……むしろすぐ家に帰るべきでは……

……コードは?コードはどこだ?……

向こうからやって来たのは、大きなバッグと各種長槍短砲機械を持った構造体のグループだった

戦闘用の構造体ではなく地質探査機や携帯型放射性年代測定装置を持っている。彼らのリュックは多彩な色の埃にまみれ、世界政府芸術協会のロゴがほぼ見えない状態だった

どう見ても、あれは世界政府芸術協会所属の考古小隊だろう

あれ?あなたは……?

先頭の女性構造体が自分たちに向かって一礼した

見つけましたよ!

リーさんッ!!

すぐに会えてよかった、これで科学理事会で資料を探す手間が省けました

どういう意味ですか?

グレイレイヴン……本当にリーさんだ!ちょっと待ってくださいリーさん!訊きたいことが山ほどあるんです!

押すな押すな、あの、リーさん、すみませんが……異重合塔内部の材質構造について……

痛い!俺の足が……

突然、あらゆる装備の構造体たちがわらわらと集まってきて、リーを取り囲んだ

考古小隊がなぜリーさんを探していたんでしょう?

最近、私たちと芸術協会の考古小隊とで何か任務上の関連ってありましたか?

覚えている限りは、特に何も……

リーは側にきた考古小隊の構造体に酷く困惑している。彼もまだ状況を把握できていないようだ

……とりあえず、まず誰か状況を説明できる人はいませんか?

あ……すみません、少し熱くなりすぎちゃって

我々は空中庭園であなたの異重合塔内での戦闘を知って、とても勇気付けられたんです

特にその異重合塔が……捻転……バク転……何だっけ……

逆転!

そうだ、あの異重合塔が機能を逆転したあと、私たちはニコラ司令に近辺地域の探査許可を申請したんです

考古学的発掘調査の?

なぜそこで発掘調査なんかを?考古小隊の出動に値する遺跡があるとは思えませんが

いえいえいえ、考古小隊が入手した情報によれば、異重合塔が出現してからあの付近の地層には激しい変動があったそうなんです……ほら、ご覧ください!

興奮した隊員によって映し出された電子画面には、いくつかの地域を強調した衛星地図が表示されていた

この世界にはどこにでも、発掘すべきものがある!発見されていない、イコール探索に値しないとは限らないんですよ

そうですよ、3年間掘り続けても、本当に価値のあるものを見つけられない人だって、ここにいますし

まだ出会えていないだけだ!

掃除ロボットのくせに、生意気言いやがって!

なんだって!じゃあ今度は表面を掃除しておくんだな!

隊員たちが勝手に騒いでいる間に、考古小隊の隊長が再び近付いてきた

これを見てください

これは……箒?

考古小隊隊長は奇妙な道具がたくさんついた棒状の装置を取り出した。その先端のブラシ状のたわみからそれが箒、あるいはかつて箒だったと漠然と判断することしかできない

これはパニシング環境用に特別に開発されたクリーニングブラシです

本当にこれが役に立つんですか?

すでに工兵部隊の検査を通って、投入基準に達していることを確認しました

あと……これです

考古小隊副隊長はヘラのような別の何かを取り出した

皆さん、考古学だけじゃなく料理もしているんですか?

これは砂や土を取り除くスコップですよ、しゃもじじゃありません!異重合塔の環境のためにですね……

もう結構です、よくわかりました。それであなたたちは異重合塔の近くを探索したいと、そうですね?

その通りです

あなたたちの熱意を否定する気はありません、しかしあの塔にはまだ多くの解明できない点があります

塔周辺にパニシングの脅威がなかったとしても、探査任務は優先的に執行部隊に引き継がれるでしょう

あなたたちの探査申請は通らない可能性がある

そんな……

あの塔は、あなたたちが思ってるほど簡単じゃないってことです

???

これについて、私があなたたちの願いをかなえられるかもしれません

またあの電子音が聞こえてきた。案の定、「車掌」という機械体が皆の背後に現れた

機械体が手を振った瞬間、先ほど目の前にいた考古小隊の隊員たちが忽然と消え、周囲の全てが変わり始めた

あっという間に、そこは真っ赤で不気味な空間へと変化した

ここは……!

リーさんはすでにご存知でしたね

……なぜそれを知っているんです

リーが一歩を踏み出した、銃を持つ手に更に力が入っている

ツアーの原則は、皆さんの過去1年間の周期における重要な履歴データをロードして再現し、これらのデータの詳細な履歴における価値を判断することです

リーさんが科学理事会に提出した戦闘報告書によりますと、大量の詳細資料や核心となる情報が欠けているようですが、異重合塔の初期生態モデルを生成するには十分です

リーさんにとって、異重合塔での戦いの歴史が無視できないものであることは明らか……

それを検証するには、新しい更新が必要です……つまり、皆さんが最もよく知っている――