Story Reader / 祝日シナリオ / 遥陽絵旅 / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
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独特な争い

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赤……青……ここはこう描く……

まだなの?

アイラDM

「バン!」注意が散漫になったため、手中の呪文が浮き上がりました。束縛から解放された瞬間にそれは爆発し、舞い上がった塵がカレニーナを包みました

ド!ル!ベ!

もし本当に世の中に魔法があったら、あんたとの相性は最悪かもね

遠くの兵の叫び声

爆発音がした、早く見に行こう

ちっ……行くぞ、次の場所に移動する

王城の隅で、カレニーナはドールベアとともに、複雑に入り組んだ路地に潜り込んでいた

聖なる館から出るとすぐに、聖具の一部を盗んだことがばれた

そして、消えていた城門の守衛たちにも見つかってしまい、ふたりの状況は更に悪化した

このままだと絶体絶命ね

仕方ねえさ、聖具が盗まれたことに気づいて、まさか全員ワラワラ出てきやがって捜査に加わるなんてな

盗むんじゃなくて、借りるの。勇者が盗んじゃ駄目じゃない

退屈そうな男

……聖なる館に泥棒が入ったらしい。だから城門が閉じられたんだな?

ふたりが路地の角を曲がった時、ちょうど酒場の扉の外での会話が聞こえてきた

好奇心旺盛な男

遠征隊が先に出撃したけど、南下してきた怪物が防衛線を突破して、群れをなして城外で暴れ始めたって聞いたよ

退屈そうな男

親戚が城外に狩りに行って、まだ帰ってないんだ。危ないな、探しにいかないと

……聞いたか?

集合場所は静止の谷、龍の故地があるエリアへの唯一の道ね

この名前の由来、覚えてるぜ。谷の周辺には生き物の気配もなく、隔絶され静止した世界みたいだってな

一般的には、怪物の移動にも規則性があるはずだ。普通は人間の街を襲うことはしないはず……

静止の谷の近くは生き物の気配がない、つまり十分な食料が得られない、とすると……

……南下し続ける。龍の故地を探す冒険者が大変な目に遭うぞ

こうなるとゲーム的にはお涙ちょうだいのターンに入るのかしら。登場人物の誰かが犠牲になるとか

ならば迎え撃つまで……

珍しく意見が一致したな

同感、さぁどうするの?場所を変えてまたあの無駄な爆発……いえ、転送魔法をするの?

……いいこと言ったぜ。慣れたことをやろう。ドールベア、この前の赤色の液体はどこにやった?

一方、同じ頃グレイレイヴンとストライクホークは――

「天空の覇王」がいたエリアから転送されたあとは、まるで別の世界に落ちたようだった

かつては活気に満ちていたであろう風景も、今は落ち葉が積もり、植物は枯れまいと空に向かって必死にただ枝を伸ばしている

これって……リー、俺たちは空間を移動したんじゃなく、時間を移動したってこと?

「パラパラパラ」という音とともに……リーフは素早く勇者の記録をめくった

記録によると、龍の故地があるエリアの気候は特別なものなので、他のエリアとは状況がかなり異なるようです

要するに、俺たちは思いがけず龍の故地のスグ近くにきちゃった?

静止の谷の外側のどこかでしょう。この風景を見ると、なるほど名前の由来が理解できますね

……

どうした?バンジ?

聞こえないの、あの密度の濃い音……

遥か彼方、空と山が繋がるところで、緑色の塊が沈んでいくのが見える

簡単に偵察を終え、バンジは武器固定のスタンドを片づけると、岩から飛び降りてきた

ここに到着するまで30分ってところ。正確にはよくわからないけど、あの塊でなぎ倒されてる木から推測するに、楽に片づけられる大きさや数じゃなさそうだね

同じ方向から来ているのか?

まだ他に動きはない。でも、この世界には巧みにカモフラージュされた何かがあるのかもしれない

グレイレイヴン指揮官は……

ごめん、アイラの言いつけがあって……

……ここで阻止及び牽制すべきだと思いますが

少なくともこの問題を片づけるまで、カレニーナとドールベアに遭遇させないようにしないと

大賛成っ、工兵部隊を守る任務発動、行くぜ!

……何こんなとこでモタモタしてんだよ?

突然、岩の陰からカレニーナが現れて、通信範囲に入ってきた

闘志満々のカムイを一瞥して、彼女は皆の前に姿を現した。それと同時に、聖なる館から持ち帰ったらしき箱をこちらへ投げてきた

えーと、これ、なんだっけ……

「ふたつの魂」、とにかくここは私たちに任せて。あなたたちは目標に向かって前進すればいいわ

ふたりだけで?執行部隊がいた方が……

いいんだよ!重要な戦力は主な任務目標に割り振って、成功率を上げるんだ

カレニーナは断固とした態度で、発破のための瓶を取り出して地面に広げると、数えて振り分けている。ドールベアも側で手伝っていた

リーとクロムも同時に体を屈めて、同じくらいの高さで目線を合わせていたかと思うと――リーが先に口を開いた

多く人が残る方がここの成功率は上がります。そして全員無事なら、揃って引き続き探索できますし、それによって龍の故地への到達率も引き上げられる

記憶が間違っていなければ、龍の故地が出現する確率は時間によって違う。今が絶好のタイミングなの。これを逃せば、もう現れないかもしれない

まず今あるものを守り、その上で今ないものを得る。状況が不透明な今、人員配分については、この基本に従った方がいいと思いますが

でも……

誰が残るべきか残らないべきか、両者とも一歩も引かない議論が続いた

あの、指揮官

ルシアが自分の袖を引っ張ってきた。目の前の諍いを止めてほしいようだ……

えっ?

待って待って、ちょっと待ってくれよ!

準備が終わると、カレニーナはバネのようにぴょんと飛んで立ち上がった

アイラはこれは映画の台本だって言ってたぜ?ここで犠牲を演じるってのもアリだろ?

ちょちょちょ、違うでしょ。ここで防御任務のために一致団結するってのがいいんじゃんか

ったく、奥歯に物が挟まったみてーな話し方じゃまとまらねえ。守る任務とか、オレたちは弱々しい部外者じゃねえっつーの。オレたちは工兵部隊、工兵の、部隊なんだ!

オレたちは工兵部隊、工兵の、部隊なんだ!戦闘能力があって、戦闘任務を執行できる。防御なんか必要ねえよ!

えー、じゃあ俺たちの方がモブってこと?ふたりが犠牲になって、俺たちを守るって?冗談だろ!?

!!!

!!!

両手を腰に当てたカレニーナと、前屈みになったカムイが、真っ向から対立している

ちょっとちょっとちょっと……

カムイ……

???

ぷっ、ふふふふふふ……

うん!?

ふたりは思わず同時に振り向いた。笑い声の方に視線を向けると――懸命に笑いをこらえて震えている賢者アイラがいた

ごめんごめん、我慢できなかったの。カレーちゃんとカムイ君がかわいすぎて

喧嘩寸前のこれが……?

どうぞ安心して喧嘩してね、私が審判するから

本音を誤魔化して話すよりはいいでしょう、ねっ?

朝陽が灰色の霞を一掃するように、その優しい笑顔が皆の気持ちを和らげた

同時にひと息つくと、カムイとカレニーナはお互いの目を見て、揃って肩をすくめた

台本の進行が少し……コントロールが効かなくなっているようですね

しょうがないじゃない。ただシンプルに楽しく冒険したいって思っただけなのに、皆が集まると話し方まで変わっちゃうんだもの。もっとリラックスして欲しいな

「自分を演じて、思うがままに?」

私たちは家族なの、もちろんそうすべきね

家族って……まだ、そこまでじゃねえよ

家族でもないのに、8時間もかけて武器を調整したの?

彼女が私を実験室に閉じ込めて、全ての武器を新式のパーツに交換させたアレ?

なるほど~、だから武器の放熱効率がよくなってんだ。そっか、遅くなっちゃったけど、サンキュー、カレニーナ

カレニーナはぶんぶんと頭を振って、それには答えなかった。そして何かを思い出したように、全員をぎろりと見回した

ま、言っとくけどな、お前ら本当ムカつくぜ!地上の拠点に行く度に、辺りがいつも集中攻撃を受けたみたいに何もなくなってやがる

それは……

イライラした時に侵蝕体を潰すんならいいけど、それ以外に何か壊そうものなら誰かが出てきて議論が始まっちゃう

それは数日前、バンジが工兵部隊が近くにいることに気づいて、万が一のために追加の目標として対処したんだ

やっぱり軟弱な部外者だと思ってるじゃねーか

ベビーシッターとして厄介な問題を解決してくれるなんて、ありがたいことだわ

けっ、弱っちいドールベアが

と、彼女の熱血隊長カレニーナ?ちょっとダサいけど、ユニット名として空中庭園で人気が出るかもね

【規制音――!】

一行の争いが収まりかけた時、遠くからドンドンという足音が聞こえてきた。それはすぐにここも踏み潰されそうな勢いだった

決まったな。グレイレイヴンは先に目標の場所を探しにいく。あいつらは工兵部隊とストライクホークが牽制しておく

思った通りだ。溜まっている思いさえ吐き出せば、問題はすぐに解決する。皆、仲間なのだ。ただ……

あら、起きてた?寝てるのかと思った。あの高名なグレイレイヴン指揮官が、今のバカ騒ぎを止めもしなかった。これ、民衆に教えてあげるべき?

脅迫、実行

アイラDM

自動的に成功

じゃあさようなら、戻ってきたら龍の故地はどうだったかを教えてね。ちょっとは気になるから

その後、リーは再び獲得した素材を数えて、クロムの分を手渡した

役割分担は決まった。グレイレイヴンは皆に見守られながら、谷の霧の中へと進んでいった

じゃあ、これから俺たちは……っとあの騎兵は……援軍か?

遠くで舞い上がる煙。カレニーナたちが来た方向を見ると、輝く騎士たちが武器を手に、辺りに視線を巡らせていた

今はまだ、ね……誰かさんが城門を爆破したから、追手が来るのも無理ないわ

ちょうどいいじゃねえか。一緒になって防衛線をしいて怪物をやっつけようぜ……

(ピンポン、ピンポン、ピンポン )

聞き慣れた通知音がカレニーナの話を中断した、ドールベアはすぐにコンソールを出して、受信した情報を拡大し、端末のモニターに表示させた

アイラのト書きとは異なり、このメッセージの文章はとてもシンプルだった

どうやら地上の保全エリアにまだ残っている各部隊に一斉送信されているようだ――「もうすぐ休暇終了」

これ、結末が早まるってこと?

自身の装備をチェックしながら、気持ちを整理しながら――こういうことには彼らは慣れっこだった

アイラが台本の中で展開している世界と異なり、彼らがこれから計画するのはリアルな戦闘なのだ

龍の故地は完全にグレイレイヴン任せだ。これからの会議……クロム隊長、保全エリアの人手が不足している。オレたちを戦闘チームから排除しないでくれよ

承知しています。工兵部隊が加われば、手配もかなり楽になる。そうだ、人手不足の時に使用する重型武器をドールベアにお願いしてもいいですか?

射撃するだけだから、今度、簡単なプログラミングを書いてあげるわ。浄化塔があれば侵蝕の心配もないし

そして、カレニーナ、輝暁の機体はこれから訪れる脅威への重要な切り札となりうる。会議では一緒に最前線に赴けるよう、進言します

問題ねえ。いつも通りだ、一緒に戦おう

ええ、いつも通り……では各自、出発