Story Reader / 祝日シナリオ / 異世界漫遊記 / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
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愚者たちの未来

影響を受けたエリアは修復され、異常空間も完全に封鎖されました

はあ、よかった……

セキュリティレベルを最高レベルに再設定し、偏差計算法を修正したわ。これで理論上、今回のようなバックドアは現れないことになるわね

そっか………で、ナナミに何か言うことないの?

疑問点がいくつか残っているので説明を……

それはナナミが望んでいた答えではなかった。ナナミは首をかしげ考えてみたが、一体何を訊かれるのか見当もつかなかった

説明って……何を?

今回の異常AIたちは隔離されているわ。いかなる手段を使っても、完全に削除するのは不可能。記録によると、それができるのはあなただけのようだけれど

なぁんだ、そんなことか……ナナミがかけた保険だよ。異常プログラムの隔離は止められないけど、でも……

ナナミは笑顔を見せ、ゲシュタルトの反応を窺った――厳密に言えば、ゲシュタルトに反応があるわけではないのだが……

隔離空間の権限をちょっといじっただけ。異常プログラムを閉じ込めた隔離空間をアクセスできない制限区域にしたの

でも、「扉」が逆になっているわ。外から開けられない扉にしたのはなぜ?

ナナミはただ約束を守ってもらいたいだけ。今回の処理は隔離であって、殲滅じゃない……とにかく!もうエイプリルフールは終わったから、ウソはつけませーん!

ナナミは時間を計っていたのだろう――ちょうど深夜12時を過ぎ、エイプリルフールが終わりを告げていた

でも安心して。中から開けられることはないから。あの子たちがプログラムである限り、ゲシュタルトに脅威を与えることはないよ。これから先もずっと

……どうやらそれは嘘ではなさそうね

言ったでしょ!エイプリルフールは終わったから、もうウソはついちゃいけないんだって

(ナナミ様が作ったゲームを解除できるわけないよ。「ナナミ」のようにならない限り絶対に無理……)

まっ、とにかく、その可能性はありません!

説明してちょうだい

とにかく大丈夫なんだってば!ナナミ、もう帰るね。今日のナナミは英雄だよ?みんなが感謝の気持ちを伝えたくて、うずうずしてるはず!

ナナミがログアウトしようとしたその時、ゲシュタルトの筺体がナナミの目の前に移動してきた

ナナミという個体、伝えなくてはならないことがもうひとつ

まだ何かあるの?

あなたが異常空間の報告をした時、論理的な推論だけで却下した……でもそれは間違いだったわ。あなたに対する基礎評価を修正します

本気?本気なの?ゲシュタルトがナナミに謝っちゃうの?

ゲシュタルトに謝罪の概念はないわ。これはただ客観的事実を情報として伝達しているだけにすぎない

そんなのわかってるよ!ナナミの心は宇宙みたいに広いんだからね。許してあげる!

……

でも、ナナミはちゃんと……みんなを騙したこと謝らなきゃ。謝るまでがエイプリルフールのイベントだからね

じゃあバイバイ!また遊びに来るね!

ここは遊びに来る場所ではないのだけれど……

これから始まる長い説教も聞かず、ナナミはその元気な余韻を残し消えていった

指揮官、大丈夫ですか!?

クロムの支えがあり、自分の庭であるグレイレイヴンの休憩室まで何とか倒れずに帰ってこれたのは幸いだった

あの異常空間は、現実世界とは体の感覚がまったく違いましたからね……

私は構造体ですから、身体適応を補助する機能がついています。ですが……あの空間の影響で、むしろ自分がまだ人間の体だと錯覚させられるような、変な感覚でした

そう話すと……クロムは自分が構造体になった過去を思い出し、しばし沈黙した

なんでしょう?

言語モジュールの妨害のことですね……私は特化型の逆元装置を装備しているので、恐らく意識海の安定性も他の構造体より強いのかと

何を考えているのだろうか。クロムは首を横に振り、じっと手を見た。自分の手をゆっくり握り、またゆっくりと開いた

……私は……

その時、クロムの端末に通信が入った

アシモフ、何でしょうか?

通信しているクロムは頷いたかと思うと、ほとんど無意識に深呼吸していた

もう準備はできています……すぐに向かいます

ええ、まだやるべきことがありますので

ひとつ頼まれていただけますか?もしナナミが来たら、これを渡してください

ナナミに渡してほしいとカムイからことづかったものです。エイプリルフールでナナミに世話になったお返しだとか

受け取ってみると、妙な重さだった。中から少し漏れ聞こえる機械の作動音からして、それがどんな「プレゼント」なのか、何となく見当がつく

クロムは別れを告げると去って行った。時間はゆっくりと流れた――やがて、休憩室の扉が開き、現れたのは――

ハッロ~~~!ナナミちゃんだよん!

この時のために用意した「プレゼント」をナナミに渡した

なにこれ!もしかしてナナミへのプレゼント?

やっぱり!英雄ナナミ様には祝福がいっぱいだぁ!

今ここで開けてもいい?

そんなに離れてどうしたの?

じゃあ、開けるよ!せ~の!

ナナミに贈られた少し遅めのエイプリルフールのプレゼント

その中身は……

Boooooooooommmmmmm!