オブリビオンの基地、早朝
仲間の迎えを得て、ワタナベは無事にオブリビオンの基地へと戻った
彼を出迎えたのはメンバーの他に、さっきまで眠っていた3人の子供たちだ
ワタナベさん!
……あれ、あの物資商人は一緒じゃないの?
[player name]?たぶん、次の取引場所に向かったんじゃないか
これ、物資商人……あの人にあげるって約束した……報酬なの
期待に満ちていたアニーの表情が一瞬にして曇り、下を向いて洋服の裾をいじりながら黙りこんでしまった
報酬?取引をしたのか?
ううん、取引っていうか……あの飾りつけを、物資商人さんも手伝ってくれたの
ああ、聞いたよ。とてもよくできている
うん……あの物資商人はまた戻ってくる?報酬をあげるって約束したから……ちょっと残念だな
こんな日にまで働いてて、物資商人さんも大変だなぁと思って。だから、ちょっとプレゼントをと思って
……しょうがないよ!だって、物資商人なんだもの。あちこち行かないといけないんだから……
僕たち寝ちゃって、出発してたのを知らなかったけど、だって物資商人じゃん?きっとまた戻ってくるよ、その時に渡そうよ
お前たちの希望をかなえてやりたいが、きっとすぐには戻らないだろう。この報酬は……心配いらない。なんとか渡しておこう
ところで、出発する前に約束したな。誰が、料理の手伝いをしてくれる?
そう言って、ワタナベは子供たちの頭をくしゃくしゃとなでた。明らかに、子供たちの興味の矛先をそらそうとしていた
ワタナベが料理をすると聞いて、皆の表情が明るくなった
夜になり風が出てきて雪はやんでいた。しかし、今かすかに赤く染まっている空は、次に更なる大雪を降らせようとしているかもしれない
このような空に立ち上る煙はとても目を引く。食べ物の香りが空気に漂い、オブリビオンの基地内で、団らんの時が再び幕を開けようとしていた
オブリビオン基地内の厨房
報告は以上です……私たちは、ビアンカとカレニーナからの定期連絡を受信していません。彼女たちは指揮官を迎えにいったはずですが……しかし……
落ち着け。[player name]には位置特定装置をつけてある。この通信を切ったら、同期してみる
まだあなたのことを完全に信用はしていませんが……今は、そちらに任せるしかないようですね
ワタナベさん……どうかお願いします
オブリビオンはともに戦った仲間を見捨てたりしない。立場は違えど、オブリビオンは客人の安全は絶対に守るから安心しろ。では、また連絡する
ワタナベは通信を切って一息をつく。調理中着けていたエプロンは外していた
ワタナベは位置特定システムをオンにして、「物資商人」の痕跡を確認した。前回の同期からすでに数時間がすぎていたが、[player name]の位置は変わっていない
ちっ……厄介だな。空中庭園の拠点か……
ワタナベは手をこめかみにやり、困ったようにため息をついた
ワタナベさん!手伝いに来たよ!
そうそう!一緒に厨房の掃除を……あれ、何か困ってるの?じゃあ、ちょうどいいタイミングで来たね!
ま、待ってよ。これは……そ、掃除は終わったの?
手伝いに来た子供たちに目をやった瞬間、ワタナベは何か閃いたようだった
解決策がなく途方に暮れていたが、今、目の前にこうやってベストな解決策が現れたのだ
おい、お前たち、「物資商人」にプレゼントを届けに行かないか?