おい、やる気あんのかてめーら!
こうやって振るんだよ!何回言わせる気だ!?
こうでしょうか?
こうだっつうの!
空中庭園の某地上基地。カレニーナは教官として新兵の指導に当たっていた
こう、ですか……?
アホかてめぇ!
戦闘力は十二分なものの指導の経験がまるでないカレニーナは、初めての先生役に悪戦苦闘している
カレニーナが言っているのは、機械構造を活用しろということです。例えば、刀を収める時は肘の回転機構を活用すれば素早く処理できるのです
こうでしょうか?
ああ……
ええ、そうです。最初は難しいかもしれませんが、何度か模擬戦闘を行えば自然にできるようになりますよ
それに、このアプローチは他のことにも応用できます。構造体としての長所をいかに発揮するか、それが一番重要なことなのです
わかりました!
では、訓練を続けてください。少しカレニーナをお借りしますよ
……ビアンカ
好きにやって構わないとは言いましたけど、あの調子では丸一日かかっても課程ひとつ終えられなさそうなので、口出ししました
すみませんでした
……
一言二言文句を言うつもりだったカレニーナは、ビアンカのあまりに素直な謝罪に何も言えなくなり、地面を蹴って八つ当たりした
どんな面白い任務かと思ったらよ、まさかこんなクソの掃きだめみてぇなとこでひよっこのお守りとはよ…………あーつまんねぇ
カレニーナはそう吐き捨てると、顔を上げた
で、ビアンカ。オレに用事があるんだろ?
ええ。特定の衛星と接続するための通信機を作ってほしいのです
そんなの基地にあるだろうよ。任務の連絡で使ってたやつじゃダメなのか?
ここは新兵の訓練基地ですから、通信チャンネルは常に埋まっている状態なんです。そもそも、任務に関わる通信ではないので基地の設備は使えません……
へえ。じゃあなんの通信だ?
これです
カレニーナの興味を惹くのに成功したビアンカは、携帯端末をうやうやしく差し出した。端末には一通のメール。複数回の転送を経ているようだ
あ~~~~そういうことかよ!ふん、ガキの遊びじゃねぇか……
でも、前回はあなたも手伝ったんでしょう?
そ……それは……
私のお遊びにつき合うと思って。お願いできませんか、カレニーナ?
……
わかったよ、やればいいんだろ