指揮官、こちらでしたか
お邪魔してすみません……カムイを見ませんでしたか?
そうですか……ありがとうございます。では他を当たってみます
やはりあちらでしたか。ありがとうございます。確認してきます
ストライクホークの隊長が立ち去ると、入れ替わるようにして扉の影から金髪頭が躍り出た
隊長行った?よかった~、さすがは指揮官!
そんなことどうでもいいじゃん!もし武器庫のものをこっそり持ち出してることが隊長にバレたら……
見てくれよ!
カムイは振り向いて背中を見せた。背中に不思議な形をした大剣を背負っている
それはクリスマスツリーをモチーフとして制作された大剣だった。昨年のクリスマスに合わせて投入された特別な武器……
ブレイドがツリーの形状をしており、先端にベツレヘムの星が設えられている。見ているだけでクリスマス気分が盛り上がる逸品だ
そのうえ、この大剣には「クリスマスミュージック」を流す機能も備わっている
その通り!でも去年のクリスマスが終わったあと没収されちゃったんだよ。なんか知らないけど、限定武器は期間限定でしか使えないとかなんとか……
だって!クリスマスなんだぜ!?
カムイはしょんぼりしてうつむいた
こんなイカした武器、空中庭園全員にひとりひとつ配るべきじゃない!?そんでクリスマスイブにさ、みんなで一斉に「ベツレヘムの星」を流して――
とにかく!俺はサプライズするんだ!ベツレヘムの星を使って、イブの夜にみんなをわっと言わせるんだ!
カムイが思いっきり肩を叩いてきた。あまりの力に、一瞬めまいがした
へへーん、そこはもうアイラに根回し済みだぜ!俺がツリーの飾りつけを手伝いさえすれば……
……いや、なんでもない!指揮官、期待しててくれよ!パーフェクトでエクセレントなクリスマスイブを見せてやるからな!
それじゃあまたな、指揮官!
カムイはぶんぶんと手を振りながら、廊下を走っていく
あ!そうだ、指揮官――
数十m進んだところでカムイは足を止め、振り返った
先に言っとくな――メリークリスマス!