Story Reader / Affection / 蒲牢·華鐘·その5 / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.

蒲牢·華鐘·その1

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百伶百悼――

往来出入の勢い、規模舞走す――

魚龍変化――

ここは夜航船。今は夜市で賑わっている。昔ほど人出は多くないが、その賑わいは衰えていない

壮麗な建物に珍しい料理、商人は威勢のいいかけ声をあげ、客は値切り交渉を行う。あちこちから賑やかな声が聞こえてくる

夜の帳に覆われた中、密かな取引も行われていた

——

お兄さん、これ1個いくら?

1個200蜉蝣銭です

【規制音――】、これ、メッキかよ?それとも金の歯車で作ったのか?

へへ、特殊なルートで仕入れたんで、詮索はご容赦ください。うちも薄商いなんで、危険な橋を渡ることもあるんで

おい、盗んできたものじゃないよな?盗品なら安心して使えないだろう?ダメだダメだ、こりゃ値引きだな!

ったく、なんで商人を泥棒呼ばわりしますかね。こっそり手に入れただけですよ。いいや、じゃあこうしましょう。3つで550蜉蝣銭にオマケします、いかがです?

そんなに量はいらんよ、珍しい物でもないし。でも500蜉蝣銭にまけてくれるんなら、買ってもいいかな

ちぇ、いいでしょう

商人が3つの部品を取り上げた。暗がりの中で、部品はキラキラと光っている

まるでたった今塗りたてのようだ

この辺のはいかがです?

ちょっと待ってくれ、これは前に採掘の時に使ったのを修理した中古品じゃないよな?

商売なんだ、誰かが使ったのを売る訳ないでしょう?

じゃあ、なんでこの部品の生産マークにまで色が塗られてる?

そのひと言で、場の空気がピシリと固まった。商人は頭を上げると、血相を変えて目の前の客を睨みつけた

あんた、買い物しに来たんじゃなく、因縁をつけるためにここに来たのかい?

そんな訳ないだろ、この部品が新品なら、今すぐにでも買うさ

客はそう言いながら、商人の側まで近寄ってきた

じゃあ、新品じゃなかったらどうしてくれる?

へっ、新品じゃなかったら、いつでも返品してどうぞ。これでどうです?

???

じゃあ、私にもひとついただけませんか

このお人の方が見る目がありますよ……って【規制音――】!!蒲牢衆かよ!

あ、あの、実は妻が産気づいて…これからお産なんで、お先に失礼!

お、俺の妻も今陣痛きたらしいんで、今日はもう閉店します!

ちょっと待って!

背後から聞こえてくる力強い声を聞いて、商人は手に持っていた部品を投げ捨て、100m走を走る選手のごとく、突然あらぬ方向へ全速力で走り出した

しかし、すぐに腕と肩を捕まえられ、更に巨大な力に抑えられ――

――どすんと地面に押し倒された

蒲牢様、お許しください、私は何も悪いことはしていません

部品を盗んできたって聞こえましたけど

えぇ?私は無実ですよ。あれはアディレと取引して入手したものです、正規のルートですよ

「ったく、なんで商人を泥棒呼ばわりしますかね。こっそり手に入れただけですよ。」

ぜ、全部聞いていたんですか?

あの人がこのお店に近づいた時はもう近くにいたので。どこで盗んできたのか、さっさと白状してください

話します、話します。東区です!ガレージに積み上げられててカビが生えそうだったから、少し整備すれば、また使えると思ったんですが……

東区……通報を受けていませんね

蒲牢、逃げ出したもう一人も捕まえました

蒲牢が商人と話していると、あの客が逃げた方向から仮面を着けた構造体が歩いてきた。その横では、先ほどまで値段交渉をしていた青年がうなだれている

ありがとう、睚眦。身元の確認は?

確認しました。もっぱら夜市の商人を狙う窃盗犯です

睚眦は話しながら、乾いた血がついた短刀を蒲牢に見せた

これは彼が常用している凶器です。通報と一致しています

待てよ……要するに、彼は俺の商品を買うつもりなんかハナからなかったと……?

はい、彼はおそらくこの凶器であなたを刺して、商品を奪い取るつもりだったと思われます

正確には、あなたの盗品、ですけど……

彼があなたに接近したので、私は止めに来たんです

けっ、【規制音――】!きょろきょろした目つきで怪しいと思いましたよ。俺を狙ってたのか、くっそ!

蒲牢様、お手柄です!

はい、今日、こんな望外の収穫があるとは思いませんでした

実は睚眦と一緒に、夜市での暴行の容疑者を追っていたのですが、まさか泥棒も捕まえられるなんて

まさに飛んで火に入る夏の虫、一挙両得ですね

……

くそっ【規制音】、お前のせいだ!チッ!

商人はやり場のない怒りを込めて、息を失った青年の顔につばを吐いた

これでようやく一件落着です。睚眦のお陰ですね

当然のことをしたまでです。首領が姿を消したのち、本来闇で働く私が蒲牢衆に入り、夜航船の保安を守ることは、龍の子たちが決めたことですから

でも、睚眦は嘲風衆の方が似合いそうですよね

雰囲気からすると

現時点では、おそらく嘲風は私に多くの情報を与えたくないのでしょう

さあ、お茶でも飲みますか?

飲む飲む!今度直接、嘲風と交渉してみたらいいんじゃないかな?

あ、口調が戻っちゃった……私も、お手伝いします

無理して大人っぽくふるまわなくてもいいんですよ。それにその件は、彼にも考えがあるはず。だからこのままでいいんです……

どうぞ、熱いですよ

ふぅふぅふぅ……うん、循環液まで温かくなった気がします

あと、これもどうぞ

わあ、竜のひげ菓子!睚眦が用意してくれるおやつ、毎晩違って嬉しいです

でも、構造体は食事をしても機体に影響しないから、もっとたくさんあってもいいのかも?

構造体も自制をしなくては。それとも、これも下げましょうか?

ダメです!

蒲牢は素早く身を乗り出して、両腕でお菓子が入った皿を覆った。その時、腕の端末が突然光った

贔屓からのメッセージだ

私は席を外しましょうか?

ううん、大丈夫です。この時間に送られてくるメッセージは重要事項じゃないはず

「通信アンテナの補修を行う空中庭園のエンジニアリング部隊が、明日午前10時に夜航船に到着。作業期間中の部隊の安全は蒲牢衆が担当……」

もうっ!こんな大事なこと、なんでもっと早く知らせてくれないの!

——

「本当は正午に知らせる予定のところ、設計図を書いていて時間を失念しました。申し訳ございません……」

……はあ、贔屓も大変なんですね、文句を言ったらいけませんね!

蒲牢は、失態を戒めるかのように、自分の頬をペチペチと叩いた

明日の巡回計画を調整しなくちゃ。それに、東区の倉庫の窃盗の件、取り調べしないと……

じゃあ、それは私が。蒲牢は空中庭園一行の安全を守ることに集中してください

でも……

蒲牢がその好意を断ろうとした時、突然、先ほどの会話が頭に浮かんだ――

現時点では、おそらく嘲風は私に多くの情報を与えたくないのでしょう……

今度直接、嘲風と交渉してみたらいいんじゃないかな?

……それにその件は、彼にも考えがあるはず。だからこのままでいいんです……

――はい、ではお願いします!

でも睚眦は東区のこと、よく知りませんよね。あそこは小道がたくさんあって、地図を見るだけで目が回ります。注意しなくちゃいけないところを教えますね

……

どうやらその説明には長い時間がかかりそうですね、もっとおやつを用意してきます

わーい!睚眦万歳!!チャーシュー、タピオカミルクティー、エビ餃子、あと、それから……

それは……今時分のおやつとしてはふさわしくないかと……

うーん……

蒲牢が、竜のひげ菓子、チャーシュー、タピオカミルクティー、エビ餃子、桂花餅、蒸しパン、よもぎ団子、銀杏芋餡などをハムスターのように頬張る10時間前――

空中庭園 P.M. 1:00

今回の任務の詳細は理解できたかな?

本任務は空中庭園と夜航船の関係を築くためだけではなく、善意を示すという別の意味もある

地球に帰還するためには、団結しうる全ての力を結集させなければならない。これまでの経歴からして、君の方が今回の任務には適していると判断した

そこまで肩肘張らなくてもいい。通信アンテナはエンジニアリング部が責任を持って修理するから、休暇のようなものと思ってくれ

ハハ、晨星スタジオリゾートのようなことはもう起こらないだろう。夜航船では特有の風景が見られるらしい、思う存分楽しんできてくれ

心配する気持ちはわかるが、今回はもう晨星スタジオリゾートのようなことは起こらんさ。約束する