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All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
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セレーナ·嵐音·その5

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数カ月後

長い間消息を絶ったていたアイリスから、ようやく1通の手紙が届いた

親愛なる[player name]

またあなたに手紙を書く機会があるとは思いませんでした

慰めてくれてありがとう。受け取ったのは数カ月後だったけど、私の心は慰められました

あなたに言わなければならないことがひとつあります――今の私はすでに構造体となっています

そう、私は構造体になることを選びました。改造手術はとても順調だったので、このように文字を書けています

今となっては何も隠す必要はないでしょう。私は空中庭園世界政府芸術協会の考古小隊の一員となりました

構造体になることは……とても不思議な感じ。世界を見る角度が一変したみたい

時々、あなたと文通している今の私は、まだあの頃の私なのかどうか確信できません

少し前に私は武器の使い方、戦闘方法を習得しました

ただの補助型の構造体ですが、私もほかの誰かを守る力を得ました

構造体になれば戦場に行き、任務を執行できると思っていた。そして戦場のどこかであなたに出会い、

この力であなたを守れると思っていました

しかしそうではありませんでした。考古小隊は前線で戦いはしない

私たちは大部分の時間を旧時代の人間の遺産調査に費やし、回収して修復をしています

でもいいんです

私はまだこんな未熟な状態であなたと会いたくありません。

一番最高の状態であなたと会いたい。だからもう少し待ってくださいね

まだあなたに伝えたいことがたくさんたくさんあります。手紙ではこれらの感情を書ききれません。

私は直接あなたに語りたい

実は、来月、世界政府芸術協会がダンスパーティの開催を決めました

私のパートナーになってくれませんか?

心を込めて

アイリス

……

アイリス:

全てが軌道にのったようで嬉しく思います

ダンスパーティーのことも

とても光栄です

でも……

次の日、返信が届いた

[player name]:

言わなければならないことがあります

些細なことに思い悩まないでください。ダンスの目的は喜びのためであって「パフォーマンス」ではありません

それにこの世界に踊れない人はいません。ただ踊りたいかどうか、です

あなたが望むなら、どんな不得意でも、私はあなたに完璧な社交ダンスを踊らせることができます

私はリードとフォローを簡単にこなせるレッスンを受けました。タンゴ、ワルツ、ルンバでも……

私に踊れない社交ダンスはありません

昔の私なら力不足だったけど、今の私ならきっと簡単にあなたを腕の中に包み込めるでしょう

私を信じて、私のステップについてきてくだされば、間違うことはありませんから

では決まりですね

住所は下記の通りです。今度こそキャンセルは受け付けません

お待ちしています

私は耳元に一輪のアヤメの花を飾っています。きっとすぐに私を見つけられるはず

約束の日がおとずれた

世界政府芸術協会の会館の外は明るく照らし出され、美しい中庭は芸術協会のメンバーたちで賑わっていた

そこには、構造体も人間もいる

ドアの前に立ち、長い間待った。だがアヤメを飾った少女の姿は見えない

会場からは「ポル·ウナ·カベサ」という非常に有名なタンゴのオーケストラが聞こえてくる

ほんの、一歩の差だったのかもしれない。ダンスパーティーが終わるまで、彼女が現れることはなかった

自分の家に戻り、私信のポストを開けた

そこには届いたばかりと思われる1通の手紙があった

[player name]:

ごめんなさい。本当にごめんなさい。アレン会長から急な任務を任されてしまいました

空中庭園はもうすぐ宇宙ステーションの合流軌道に入ります。私は考古小隊の一員として、

宇宙ステーションの資料の回収を命じられました

緊急事態なのですぐに出発しなければ。だからダンスパーティーには参加できなくなりました

すぐにこのことを伝えたかったけど、この瞬間まで私はあなたの住所しか知らないことに、今気づいて

本当に、私が形にこだわったことに後悔しています。すぐに通信できるアカウントを聞いておけばよかった

この手紙をあなたがいつ読むのかはわからないけれど、これを読む頃には私はすでに出発しているでしょう

毎回、こんな感じですれ違っていくような気がするの

いつも、あと一歩で会えるのに

まだ話したいことがたくさんあります。もう少し待ってください。次はきっとその一歩を一足飛びに越えられるはず

セレーナ、何をしているんだ?もう出発だ。執行部隊の人たちがせかしてきてる

うん……ごめんなさい、手紙を書いていたの

手紙を蝋で封印すると、セレーナは急いで立ち上がった

お待たせしました。この手紙を出してからすぐに行きます

何をそんなに厳重に……?執行部隊の真似をして出征前の遺書を書いているなんて言うなよ……僕たちは考古小隊なんだし

もちろん違います。ただの個人的な手紙です

まさかラブ……

からかわないで

セレーナは珍しく厳しい声で相手をとがめた。でも言葉では否定しなかった

アヤメよりも美しい笑顔が彼女の口元でほころび、本人も知らないうちにその本心を露わにしていた

あの頃のエデンの花は、これが嵐の前の最後の静けさだったことを知る由もなかった

そして彼女が思うがままに、笑顔になれた最後の時でもあった