Story Reader / Affection / 曲·燕雀·その6 / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
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曲·燕雀·その5

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それでは、今週の定例レポートはここまで。解散していいぞ

グレイレイヴン指揮官?元気がないみたいですね?お腹でも壊しました?

うふふっ、考えすぎですよ。グレイレイヴンは今日は装置テストだけですから、大した問題は起きませんよ

作戦室に戻って休憩してください。でも任務通達の集合は忘れずに来てくださいね

部屋に戻ると、ここにいるはずのない構造体が優雅にお茶を飲んでいた

松針茶ね……紅茶には劣るけど、趣はありますね

何を驚いてらっしゃるの。あなたの「枷」から中継して空中庭園に来ただけです

借りものです。言ったでしょう?この外見に見えるのはあなただけ。他人から見ればただの古びた構造体にすぎませんわ

疑い深いのですね……別に何も。空中庭園や普段のあなたの生活を見たいだけです

私の過去は全部お話ししたのに、あなたのことは何も存じないのは、「伴侶」として不公平でしょう

で、次は何の予定です?

私も同行します。グレイレイヴン隊員はいないようですし、断る必要もないでしょう?

ここが任務通達の場所……どの任務を選んだのですか?

低濃度区域の警戒任務……あなたほど優秀な人には役不足でしょうに

隠すなど愚かな。どんなに危険な任務でも驚きません……お見せなさい

低濃度区域の警戒任務……?これは?

本当だよ……首席サマが我々と同じ任務なんて、新手のいじめか?

そんなこと言わないの。首席さんは私たちと違って、もうノルマがないし。後方任務なのも当然よ

無知な……嫉妬するより自身の無能を反省なさい

あれ、今日はグレイレイヴン不在か。きみ、首席サマの秘蔵っ子?こんな古い体でそれはないか?アハハハ!

だから簡単な任務にしたのね。確かに、この構造体だけでは危なすぎるもの

あなた方……

怒りが爆発しそうな曲を引っ張り、ふたりの指揮官の嗤い声を背にその場を出発した

ほどなく曲とふたり、任務の指定区域に降下した。随行者はなんと先ほどのふたりの指揮官とそれぞれ率いる小隊だった

まさか首席サマとご一緒とは。さんざん言ったのに本当にこの任務を受けるとはな……

どうであれ、足を引っ張らないでくださいね

お互いに

今回の作戦の隊長は自分です。首席だろうと命令には従ってもらいますよ、いいですね?

じゃ、首席さんは西の方を、私たちはこのあたりを

ふん、「合理的」な配置、ね……

……なぜあのように愚かしい命令に従うのです?それも空中庭園の慣習なのですか?

曲は理解できない風だったが、しぶしぶ西エリアの防衛任務に同行した

すると曲の懸念通りと言うべきか、あるアクシデントが起きた

う……

曲がふくらはぎに刺さった侵蝕体の腕を引き抜くと、循環液が流れ出した

大丈夫です、こんな怪我……でも、この洞窟からは出られなくなりましたね

洞窟の周りからは侵蝕体の咆哮が絶えず聞こえてくる。侵蝕体の群れに包囲されているのは明らかだった

通信ポイントを立てる前にこんなに大量の侵蝕体に包囲されるのは、何やら妙ですね

曲はどうやら、ふたりの指揮官に罠に嵌められたと言いたいようだ

甘い……優秀すぎる才能は常に嫉妬にさらされるものですよ

頂点に立ちたければ、誰も信じてはならない……王の道は孤独の道なのです

それは選べるものではありません。例えば今がそう

味方?それどころか……家族にだって裏切りはあるのですよ!

そう告げると懐から信号弾を取り出し、曲に手渡した

本当に愚かな……わずか1%の成功率もないでしょうに、なぜか絶望を感じないわ……

曲は苦笑しながら信号弾を空に打ち上げた。それはこちらの位置を味方のみならず、敵にも示す行為だった

侵蝕体

ガーー!!!!!!ガガ!!

やはり、一瞬にして全ての敵がこの洞窟に向かってきた

曲の手を肩に回して彼女を支えて立ち上がる

前言撤回します。優秀な指揮官なんかじゃなくて、ただのお馬鹿さんかもしれませんね

でも、残念ながら私は優秀です。「伴侶」をそうやすやすと死なせたりはしないわ

侵蝕体の大群が近づいてくる。ふたりは支え合いながら侵蝕体の群れの中をなんとか突き進んだ。が、それも限界を迎えた

キリがない……!

襲ってくる侵蝕体を曲は全力で蹴り飛ばしたが、無事だったほうの足からも火花が散り、ついには動けなくなった

指揮官!あなただけは逃げて!

3つの光が空から放たれ、すぐ側で炸裂した。その爆風で囲まれていた侵蝕体がなぎ倒される

これは……まさか、助けが来たの?

ああ!首席、大丈夫ですか!!!

どうやら、例のふたりの指揮官が空中庭園からの緊急支援部隊を連れて来てくれたようだ

よかった!あの信号弾がなかったら見つけられなかった

首席サマ、さすがです。あの状況で信号弾を打ち上げるなんて……すごい勇気だ

女性指揮官と補助型構造体はすぐ曲の両足の治療にかかる

あなたも、ね。旧式の機体でこんなに大量の侵蝕体と戦うなんて……

この構造体の評価は再考の余地ありだな。戻って科学理事会に報告して再評価すべきだと思う

慌てて取り繕う様子を見て、曲は笑いながら独り言を言った

「人類」という種族をシンプルに考えすぎました。[player name]も、あのふたりの指揮官についても

醜さと美しさ、善と悪、軟弱と勇敢、脆弱と頑強、人類とはかくも矛盾が織り交ざる不合理なものなのですね

遠くで勝利を祝っている人々を見やり、更に曲は視線を皆の中心にいる人物に向けた

[player name]が信じるもの、私も少しわかった気がします