Story Reader / Affection / カム·狂犬·その6 / Story

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カム·狂犬·その2

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司令部中央棟·作戦演習トレーニングルーム、15:15

…………

休日の作戦演習トレーニングルーム。誰もいないというのは珍しい

ふぅ――しっきかーん~~~~!

言われた通りに調整したぜ?チェックしてくれよ!

隊長のとこ、こっそり抜け出してきたんだからな!どう?イケてるでしょ?

カムイはキラキラした目でこちらを見つめている。成果はすぐに褒められたいタイプだ

うぇーい!隊長はさ、俺にこういう調整の仕事任せてくんないんだよ!俺すごい上手いのに!指揮官だって褒めてくれたし!

へへ、他に用事がないなら、戻っとくぜ?

そりゃ指揮官と一緒にいたいけど……でも隊長の怒涛の通信攻撃が炸裂すると思うから、いいや!

待てよ……?もしかして、指揮官?なんかモジモジしてる!?

そんなモジモジすることないぜ!ずっと一緒にいた俺が保証するよ!アイツ、見た目ほど怖くないし、ああ見えてカワイイヤツだし!

俺、アイツとずっと一緒にいたから、わかるんだ。それに、指揮官は人のカワイイところ見つけるの得意じゃん?指揮官だけの奥義、必殺技ってやつだね

カムはさ……ちょっとストレートすぎるってだけで、俺が勝ったし!指揮官がいたから勝てたんだよ。だから指揮官はもうちょっと自信を持った方がいいぜ?

俺はもうアイツを見たくないんだ。毎日毎日、私生活を覗かれてさ……!こういうスイートな悩みは、指揮官、ご対応お願いしま~~す――

こちらが制止するのを無視して、金髪の構造体はベロを出しながら逃走した

カムが戻ってきてから、カムイはずっとあの調子だ。カムの訓練調整のお願いには気合い十分で応えてくれるくせに、本当の感情を表したりはしない

…………

???

おい

おい!

俺を呼び出しておきながら、アホのように呆けているとはどういう了見だ?

カムは少し不機嫌なように見える

アンタが呼び出したんだろう?

アンタが本当にここで待っているのか確認しにきただけだ

カムはボトムスのポケットから手を出し、投げられたものを受け取った

なんだこれは?

調整?この前の戦闘か?

……またあのシミュレート作戦をやるのか?

理事会に訓練はストップって言われてなかったか?

カムがいぶかしげにこちらを見る。その顔には不信感がありありと浮かんでいるが、それでも、受け入れてくれるようだ

……アンタがそういうなら

言っておくが、また事故が起きた時には、自分でどうにかしろよ

アンタがやると決めたんだ。空中庭園の指揮官に何かが起こっても、俺は責任を取れないからな

……先日の行程と何もかもが同じだった。十数分後、カムはあの通路にたどり着いた

通路を奥へと進むカムの、緊張が高まる

……なんだ。どうした?

は?……手伝うだと?

カムイの協力によって、数日間の経験を繰返し総括した。今回のシミュレート作戦は以前の数回に比べて格段に改善されているはずだ

はぁっ……はぁっ……

目の前の、ロランと同じ外見を持つ敵。敵は光の欠片となり、地面に散らばった。通路に再び暗闇が戻る

や、やったぞ……

ようやく吐き出した言葉を噛んでしまったカムは、わざとらしい咳払いをしてから立ち上がった。シミュレーションの戦闘背景が次第に消失し、トレーニングルーム本来の姿が戻る

アンタ……何をしたんだ?

そうだな……アンタ、何をしたんだ?

ふん、そうか

カムの鋭い視線は言葉に含まれた躊躇を看破したようで、盛大に舌打ちされてしまった。そういう意味では、カムはカムイと同様、鋭い洞察力を持っている

俺を子供扱いするなよ、バカに見える

ストレートな問いに、カムはやや面食らったようだ

……カムイか。アイツとやっていく方法はよくわかっている。アンタに心配される筋合いはない

そう言いながら、カムの目は休眠カプセルのハッチを見つめていた

何だ、その目は?

あん?……本当だろうな?嘘じゃないな?

嘘だったら、殺す――

そう答えると、カムは少し気を緩めたようだ

早くしろ、俺に待たせるなよ

おい、お前!その態度はなんだ?正規の構造体じゃないだろう?

指揮官、こいつ……普通の構造体じゃありませんよ!

アンタらになんの関係が?

……グレイレイヴンが侵蝕体との遠隔リンク実験をやっているというのは、ただの噂じゃなかったんだな……

セ、セレン、そんなこと言わなくても……!

誰が侵蝕体だと?あんなものと一緒にするな!

ゴホン、何にせよ……被験体を野放しにするというのは関心できないな

……お前、口の利き方も知らないのか。頭カチ割って修理してやろうか?

片づけを終えて戻ったら、これだ

カムが廊下で複数の兵と睨み合っている。相手のリーダーは、指揮官の制服を着用していた

こいつはあんたの管理下だな?人にぶつかって謝らないどころか、罵倒してくるとは。少しは躾してくれないか?

おい、そこの……グレイレイヴン指揮官だな?こいつはあんたの管理下だろ?人にぶつかって謝らないどころか、罵倒してくるとは。少しは躾してくれないか?

……俺か?

決まってるだろう。お前みたいな不遜な輩のせいで、人類は日夜戦争に明け暮れる羽目に陥ったんだよ。わかったら、さっさと謝れ……

……それから、とっとと……はぁ?俺?ふざけるなよおい、先に煽ってきたのはこいつだぞ!

すみません、状況を明らかにしましょう。我々は何もしていないのに煽られたんですよ!あんまりでは?

それに、こいつは侵蝕体みたいなもんだろう。パニシングの中でも自由に動け、他者を侵蝕するリスクもある。どこから見ても危険因子だ。管理不行き届きの責任があるぞ?

……………………おい。もう一度、言ってみろよ?

気づいた時には、カムの怒りの鉄拳が相手の顔にめり込んでいた

うっ……!このッ……!

し、指揮官、血が!

よくも手を出したな!ここじゃあ、構造体の人間に対する一切の暴力行為がご法度なんだぞ!?

身体の大きい装甲型構造体がカムを思いっきり壁に押し付けた

ハ!空中庭園が何だと言うんだ!?ごちゃごちゃいうなら、お前もバラバラにしてやるぞ!!

怒鳴り声を上げたカムは装甲型構造体を掴み、身体の位置を入れ替えた。続いて、何発も拳を打ち込む

よくも俺の隊員に手を出したな!!!

カムは片手にひとり掴んだまま、大乱闘をおっ始める

攻撃型構造体

バズーカでぶっ飛ばされたいのか!早く指揮官を放せ!!

補助型構造体

おい、誰か応援を!

慌てて制止しようとしたが、逆に拳を一発食らい、床に沈められてしまった。誰の拳だったのかすらわからない

しばらくの間、罵声に怒声の大乱闘が繰り広げられた

頭部を守るのに精一杯で、身体がバラバラになりそうだ――

システム音声

警告――警告――

???

やめろ!全員拘束しろ!

……

混乱が収束し、ぼやけた視界に映ったのは、自分めがけて放たれた拳を掴むカム――

ふたりの男が、肩で息をしながら睨み合っている

警備班長

よし!俺が手を出す前に、全員手を上げて下がれ!

……

カムが「フン」と聞こえてきそうな表情で掴んでいた拳を投げ捨て、後ろへ下がった

相手はかなり殴られたようだが、こちらも顔が腫れている感覚がある

よし『空中庭園日常生活行為規則』違反だ。いかなる理由があろうとも、公共の場での乱闘は懲罰対象。全員、俺についてこい

最初に手を出したのは俺だ

こちらが何かを言うのを遮るようにして、カムが声をあげる。それから、警備隊に向かって歩き出し、すれ違いざまに耳もとで小さくささやいた

俺は恐ろしいだろう?

失望させて悪かったな。まあ悪いとは微塵も思っていないが

カムはそれを無視して、また大声をあげた

おい、俺が先に手を出したのは事実だが

相手は俺を「侵蝕体」などと侮辱してきた。空中庭園はこういう態度で俺の協力を求めるってのか?

どうやら警備班長も事情は知っているようで、少し困った様子で顎をなで始めた

お前の責任者だが……

フン、指揮官なんていない

見知らぬ指揮官

こいつ……ふざけたことを!

……もういい、話はあとでゆっくり聞こう。全員連行しろ!

ふむ、そこの指揮官は無関係なら早く行ってくれ。野次馬もほどほどにな

相手の発言に怒りを覚え、全力で拳をお見舞いする

だが、人間の拳が鋼鉄を叩いても、鈍い音が鳴るだけだ。ほんの少し、相手を牽制できたようではあるが

システム音声

警告――警告――

???

やめろ!全員拘束しろ!

……

混乱が収束し、ぼやけた視界に映ったのは、自分めがけて放たれた拳を掴むカム――

ふたりの男が、肩で息をしながら睨み合っている

警備班長

よし!俺が手を出す前に、全員手を上げて下がれ!

……

カムが「フン」と聞こえてきそうな表情で掴んでいた拳を投げ捨て、後ろへ下がった

相手はかなり殴られたようだが、こちらも顔が腫れている感覚がある

よし『空中庭園日常生活行為規則』違反だ。いかなる理由があろうとも、公共の場での乱闘は懲罰対象。全員、俺についてこい

カムは一言も発することなく、まるでかばうように目の前に立ち塞がった

おい、警備隊の。告発したんだが

俺に協力を要請し、ここに留まるよう懇願したのは空中庭園だ。にもかかわらず、なんで俺はコイツらみたいなアンポンタンどもに好きに侮辱されなきゃならない?

む…………

どうやら警備班長も事情は知っているようで、少し困った様子で顎をなで始めた

お前の責任者だが……

フン、指揮官なんていない

連れていくなら早くしろよ。こんな間抜けどもと1秒でも同じ空気を吸ったら、あっという間に窒息だ

見知らぬ指揮官

こいつ……ふざけたことを!

警備班長がカムを見て、それからこちらを見た。彼が事情を知ってるかどうかはわからないが、少なくとも今は見なかったことにしたようだ

……もういい、話はあとでゆっくり聞こう。全員連行しろ!

そこの指揮官は無関係なら早く行ってくれ。野次馬もほどほどにな

こちらが何かを言うのを遮るようにして、カムが声をあげる。それから、警備隊に向かって歩き出し、すれ違いざまに耳もとで小さくささやいた

グレイレイヴン指揮官に、これ以上迷惑をかけたくはない

だから、今回は勘弁してくれ

こちらにも言いたいことはあったが、カムはそのまま警備隊と一緒に行ってしまった。最後のカムの、あの目を見てしまったから……追いかける勇気がどうしても湧かなかったのだ